『おちょやん』、成田凌に同意なしのキスで物議 「キスシーンは毎回傷つく」と明かした俳優も

文=雪代すみれ
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『おちょやん』Twitterより

 連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)の公式Twitterの投稿が、物議を醸している。

 3月19日、公式Twitterは主演・杉咲花による第15週目分の「花note」の更新をお知らせ。<「成田さん、突然のキスでびっくりしたと思います」>と投稿した。

※一部ストーリーのネタバレが含まれます

 “突然のキス”があったのは第75話。千代(杉咲)と一平(成田凌)がキスをしようとしたところ、亡くなった千代の父・テルヲ(トータス松本)の「アカーン」という声が聞こえ、その直後に千代から一平にキスするのだが、「花note」によればこれは台本になかったのだという。

<このシーンを撮る前日に、ディレクターさんから「一平と千代がキスをしようとしたときに、テルヲの『アカーン』という声が聞こえたら、千代ならその声に反発するように、逆のことをするんじゃないか」と提案されて。それで成田さんには内緒で、本番だけキスをしようということになりました>

 成田は突然のキスにびっくりして、<まるでファーストキスを奪われた男子みたいな顔をして>おり、杉咲はカットがかかった後に<これは私がアドリブでやったわけではないんだよ!>と釈明したそうだ。

 「花note」更新のお知らせのツイートには、「二人ともかわいい」「素敵なシーンだった」と好意的な声が見られるものの、「セクハラ & パワハラでは」「騙し打ちみたいで気分が悪い」「成田さんの演技力なら事前にお知らせしても問題なかったのでは」「事前に了解のないキスシーンを公式が発表するとはモラルを疑う」など批判的な意見も多い。

「キスシーンは傷つく」と話す役者も

 過去にも、役者に対して事前に同意を得ていないキスシーンや、不必要なディープキスが発覚し、批判が集まることがあった。

 例えば、昨年10月に行われた映画『十二単衣を着た悪魔』の完成披露報告会にて“台本にないキスシーン”があったことが明らかに。

 ある日の撮影本番前、主演の伊藤健太郎は黒木瞳監督に呼び出され、タイミングがきたら伊藤沙莉にキスをするよう台本にない指示をされたという。健太郎はその指示に驚き、本番でも迷いがあったものの本番中に黒木から「行け! 行け!」と言われ、悩みながらもキスしたことを明らかにした。

 沙莉は<指令が与えられてると思ってないから健太郎がふざけたのかと思って>「何してんだよ」という目で健太郎を睨んだそうで、台本にないキスシーンに戸惑ったことがうかがえる。

 この件について、黒木監督は<女優の身としたら、そういうことはルール違反なんですよね。もし私が女優だったら怒るかもしれない。だから沙莉ちゃんには申し訳なかったなって思ったんですけど、クレームもなかったので安心しました>と笑顔で語っていた。

 立場上、出演者と監督とでは監督の方が権力が強いのは明白だ。伊藤健太郎も伊藤沙莉も、嫌だとしてもクレームを言えないのは想像できる。この件には「セクハラ・パワハラでしかない」と不快感を示す声が少なくなかった。

 また昨年9月、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)にゲスト出演した鈴木杏は、12年前、21歳の頃に出演した舞台で、鈴木が吉田鋼太郎に軽くキスをするシーンがあったものの、ある日の本番で鈴木がキスをすると吉田がディープキスをしてきたことがあったと告白。「セクハラ」「職権乱用」と批判を浴びた。

 キスシーンを演じることも役者の仕事のひとつだが、心身の負担は役者によって異なる。

 2016年に放送された『ボクらの時代』(フジテレビ系)では、俳優・門脇麦がキスシーンについて<完全に仕事って割り切ってるけど、仕事とは言えど、ちょっと傷ついてる自分がいる><毎回傷つきます。で、だいたいお風呂で泣いてすっきり、みたいな>と、仕事とはいえ、キスシーンに抵抗があることを話していた。

キスシーンも同意がなければ性暴力になりうる

 『おちょやん』の事前に同意のないキスシーンへの批判に対し「あのキスシーンを幸せなものとして受け取れない人が多くて悲しい」といった意見もあったが、キスシーンそのものが批判されているのではない。事前に同意のないキスシーンであり、かつ番組公式がそのエピソードを“素敵な話”として宣伝に利用しているから批判されているのだ。

 また、「信頼関係があったからできたこと」「良い作品を作る気持ちが通い合ってるから」といった擁護も見られたが、信頼関係があることや、良い作品を作る気持ちが通い合っていることと、台本にないキスシーンを嫌だと思わないかとは別問題だ。

 役者業には仕事としてキスシーンが含まれることもあるが、同意なくキスをする(もしくはさせる)ことは、役者を傷つける恐れもある。

 映画・ドラマの撮影現場におけるハラスメントの問題に関しては、今後さらに議論し、改善していく必要があるのではないか。

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