
GettyImagesより
根拠の怪しい健康法や育児法。スピリチュアル風味漂う謎の教え。当連載ではそのような「謎物件」を観察したレポートや、さまざまな形でそれらと遭遇した方々の声をお届けしてきましたが、今回は久々に座談会の開催です。2つのテーマでお送りする2021年度トンデモ座談会、まずは「身内がトンデモになりまして」から始めましょう。家族や親しい友人がトンデモ沼にハマっていると、その周囲では何が起こるのか……?
今回の座談会のメンバーは、4人の女性です。
A子さん
50代、舞台役者。元恋人がマルチ系アロマビジネスで爆走中。親はマルチ×宗教、兄は陰謀論者。
B美さん
40代、シングルマザー。元義実家がスピ系気功師を崇め、その教えにより反医療になっている。
C香さん
50代、バツイチ。歳の離れた姉が細木数子ほか、占いや開運法などにハマっている。
D奈さん
30代主婦。友人たちがトンデモ化。レイキヒーラーになったり、マルチやオーソモレキュラー、人生がうまくいくセミナーなどに熱中しはじめる。
ーーまずはみなさまの自己紹介からお願いします。
A子:昔の恋人がマルチ商法で知られるアロマの「ドテラ」でビジネスをしていて、かつDV男でした。さらに私の母親は矯正下着から水素水までとマルチの歴史を渡り歩いてきたような人で、兄は新興宗教と陰謀論者という環境です。
B美:私は元夫の実家が、自然療法を推すスピ系気功師にハマっていました。病気も怪我なんかのトラブルも、全部手かざしでなおすみたいな。今は離婚して彼らとは距離を置いていますが、まだ元夫も元義母も気功師のところに通っています。
C香:歳の離れた姉が、複数人の占い師にハマりました。「ここには私の人生が書いてある!」と細木数子の本を毎年買うようになったのが、きっかけであるように思えます。そこからいろいろな占い師に見てもらったり、開運グッズを買ったり。
D奈:私は家族ではなく友人たちなんですが、コロナ禍をきっかけに続々と怪しいものに引っかかっています。「コロナありがとう」と言い出した友人は、家電の買い替え時にも「ありがとう」と泣きながらピアノ弾き語っているし、SNSの投稿が一気にポエム化。出産祝いには、マルチ製品を一式送ってきましたね。血便が出たという他の友人は、それを「神のお告げ! だからセッションを値上げします!」とか言い出しました。
ーーこのシリーズの座談会って毎回そうなんですけど、今回も濃厚なエピソードがうかがえそうです。私の周りのトンデモさんは「これさえなければ普通に付き合えるのに」という感じなんですが、みなさまはどうでしょう?
B美:夫とは彼のモラハラから離婚して縁を切りましたが、当時近距離別居していた元義母は、普通にお話もできるし家事も育児も手伝ってくれるし、気功師のことさえなければとてもいい人。でも、その気功師の指導が極端な自然派で、健康問題に口を出してくるのが一番困るんですけどね。ワクチンなんか「異物を体に入れるんでしょう?」とか言ってくる。体調不良になると「日本に生えているよもぎとかの野を煎じて飲みなさい!」、妊娠中に体調を崩せば「肌にビワの葉を乗せ、その上に熱いこんにゃく乗せるといい」と言われたり。少し前にTwitterでも「つわりには酸素がいい」みたいなネタが流れましたよね。あれも当時、夫がどこからか仕入れてきて「1日1本酸素を吸え」と言うんです。そのとおりにボンベで吸入していたら、逆に気持ち悪くなってしまった。病院に行ったら「そんなのエビデンスも何もないんだから、信じちゃダメよ」と叱られました。