「身内がトンデモになりまして」座談会:エセスピ&健康法に傾倒した家族友人とどう付き合う?

文=山田ノジル
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不器用な人たちが、ハマるのか

ーー信じているものが歪んでいるからなのか、もともとの素質にバランスの悪さがあるのか。みなさまから見て、おかしなものにハマった家族もしくは親しい人たちはどんな人物でしたか?

C香:姉は長女ということもあり、将来の不安とかもあったんだと思います。まあもともと占いやスピリチュアルは大好きなんですけどね。

B美:元義実家の場合は、元は重病だった義父を、その気功師に見てもらったことがきっかけだったようです。元義父は若いころ、これから海外で活躍しようというタイミングで重病を患い、帰国せざるをえなかった。そこで気功師に出会って回復し70代で亡くなりましたが、病気を抱えているわりには長生きしたほうなんでしょう。だから義母の中で「先生に長生きさせてもらった」という絶対的な体験・信頼があり、妄信的なんですよね。でも実は義父って、普通に治療を受けて病院にも通っていたんですけど。

ーー見たいものだけを見る、という典型だわ。

A子:元カレの場合は、褒められることに慣れていないんだな~と、常々思っていました。前々職で販売職をやっていて、すごい売り上げを出していた。すると表彰されたり、業界内で知れた存在になるので、その高揚感でさらに暴走してしまう感じ。それでのぼせ上って、もっと大きな成功を! とか思うのかな。私は仕事で舞台にあがるので、人から拍手をもらったり褒められたりすることに慣れている。だから褒められたら「ありがとう」でいいじゃんって思うんですけど、彼はすごく褒められることに執着している感じ。そしてマルチ系アロマを買う側の人たちは、真っ当な努力をしたくないから、耳障りのいいものにハマる印象がありますね。これを飲んでデトックス! らくらく減量! みたいのがあるけれど、あんなバカ高い商品買わなくても、ウォーキングをすれば無料でやせられるじゃん。でも自分は楽して、誰かになんとかしてほしいんですよ、努力なしに。そんな人たちに上から目線で美について語られたくないんですよね。動画でメイクの仕方レクチャーしたり、リップクリームを作りま~すみたいな。

C香:そうそう。自分を律することができないんですよね。姉はかなり太っていて「私は水を飲んでも太る」と言う。「甘いものも食べないし、お酒も飲まないのに~」って。え、はっきり言ってものすごい量を食べてますけど? 金運アップの置物を買って飾っても、部屋は地獄の汚部屋。いやいや、細木数子も部屋をキレイにすることが基本って言ってたよ……? そう伝えても、そこはするっと無視。占い師の鑑定もよいことしか信じないので、父と姉とで経営していた店を潰しました。「頭がいいから何をやってもうまくいくと言われた!」と、経費の計算など超どんぶり勘定だったようです。必要な努力を全くと言っていいほどしない。

D奈:私の友人たちを見ていると、笑えないのはオーソモレキュラー※を勉強している集団です。いま、みんなそろって1カ月の断食を実践中で、まともに歩けなくてフラフラしているようにしか見えないんです。「思考がクリアになる」と言うけど……ねえ。

※「分子整合栄養医学」に基づいた栄養療法と謳われているが、標準治療を否定して、栄養を過剰に評価する傾向がある。「発達障害をグルテンフリーで治療した」など、オーソモレキュラーの影響が大きいと考えられる主張が数多くある(もちろん因果関係は不明)

A子:それで気持ち良くなっているのかもね。食事を抜いて思考力が落ちているところに、つけ込まれるというか洗脳されそう。

D奈:でもそういう人たちは「目覚めた」って言う。周りの友人たちは「あの子大丈夫?」みたいにざわざわしているんですけど、みんな「旦那さんが止めるのでは」と思っていた。ところが夫も一緒に沼入りしてしまい、いまはトンデモ栄養学の人たちを「妻の活動を支えて下さる素敵な方々」みたいにSNSで紹介しています。

ーー夫婦でハマってしまうと沼から出てくるきっかけがなさそう……。さてみなさま、もう渦中からは抜け出した人も多いと思いますが、ご家族もしくはその友人たちと、今後どんなスタンスで付き合っていきますか?

A子:元カレは縁を切りましたし、実家はもう、母たちが幸せならそれでいいんじゃん? って思いますね。だってさっきも言いましたけど、8年ぶりに会ってマルチの集会連れていかれて、話す内容と言ったら「日本人はお風呂に井戸の水を使い、肩までたっぷり浸かってたからミネラルたっぷりで冷えなかった」「それがフリーメイソンのせいで少子化になった」という陰謀論。70代の高齢者が。今は水素水風呂売っているようです。もうそれをどうにかしようと力を注ぐより、自分の人生を楽しむほうを選ぼうと思って。それを周りが「そうは言っても親だから」とかいうの、本当にやめてほしいです。

B美:私の場合は既に離婚して元夫と元義母なので、子どもたちに関わり合いがなければOKです。やはり彼らはその世界で幸せに生きているんだったら、いいんじゃない? って思いますね。ただ今困っているのは、うちの両親です。また別の話なんですが、両親がトンデモにハマっているわけじゃないんですけど、お付き合いしているコミュニティがちょっとアレで。薬を使わない薬剤師・宇田川久美子さんの本を勧めてきたり、自治体のセミナーに呼ぼうとしたり。「それだけはやめて」と言えば、「付き合いがあるから断れない」「選ぶのはセミナーを受けたその人自身」って言い方をするんですよ。

A子:それってもう「いい詐欺だからいいんだよ」って言ってるもんですよね。江戸しぐさとかも「悪いこと言ってないんだからいいじゃない」みたいな。そういうことを言うとまた母から「あんたとは話したくない」って言われちゃうけど(笑)。

C香:うちの場合は、家族みんなが「姉の言うことに振り回されないようにしよう」みたいな感じになっていますね。全員から信頼されていない。私は3人姉妹の末っ子でひとりだけ歳が離れているんですよ。5歳の頃には一番上の姉は家を出て結婚してしまった。距離があるので客観的に見ることができ、ズバズバ言えるのがよかったかもしれません。

D奈:私の場合はきっと、友人たちからもう会いたくないと思われているだろうな。私は彼女たちの世界の「関わっちゃいけない人」の典型ですから。「人のことを応援できないのが友だちですか?」みたいな。こんなんで仲が悪くなるのもな~とは思うんですけれども。

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 参加者のみなさまはもう心の整理ができていて、今はそれぞれが落ち着いて過ごせているように思えますが、そこに至るまではここで語られたこと以上のご苦労があったことでしょう。今回語られたトンデモは基本、「とてもいいものだから教えてあげたい」と善意の皮をかぶって広められるのが定石ですが、その内側ではこんな苦々しい思いをしている人たちがいるのです。お話をしてくださったみなさま、ありがとうございました。

 座談会記事はこの後、第2弾も準備中。次回は「妊活から出産までのトンデモ沼」がテーマです。どうぞお楽しみに。

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