使用シーンに合わせて筆記モードを変えられる最新鋭シャープペン「ユニアルファゲルスイッチ」

文=他故壁氏
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 シャープ芯の先端が筆記によって斜めに減った状態を「偏減り(かたべり)」といいます。この状態では、芯の直径より太くなるので線が当然のように太くなります。これをシャープペンシルの内部メカでどうにかしよう、というのが2008年に発売された革命的なシャープペンシル、三菱鉛筆のクルトガです。

 内蔵ギア機構クルトガエンジンによって芯が回転し、偏減りになることを防いでいます。芯が紙に当たる部分が360度均等に減った状態になるので、書いた線幅はすべて同じになり、細い線を維持できるのです。

 日本語は漢字カナ交じりで、特に漢字は画数が多く複雑です。一般的なノートは横罫線が7ミリや6ミリですので、例えば高さ7ミリの中に画数の多い漢字を詰め込むと、いかな0.5ミリ芯といえど窮屈になってしまいます。クルトガはその窮屈さに対応した、常に細くて一定の線が書けるシャープペンシルとして主に学生層に大人気となりました。

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 それより5年ほど前の2003年、三菱鉛筆はやわらかいグリップであるユニアルファゲルシリーズを市場に投入しています。アルファゲルは株式会社タイカの衝撃吸収素材で、三菱鉛筆はその素材を自社のボールペンやシャープペンシルのグリップに導入していました。

 やわらかグリップのユニアルファゲルと、偏減りしないクルトガ。この両者が合体するのに、さほど時間は要しませんでした。2010年に発売が開始されたユニアルファゲル〈クルトガエンジン搭載タイプ〉もロングセラーの製品です。

 ところで、クルトガ機能は便利なのですが、わたしには使いづらいシャープペンシルでもありました。わたしは絵を描くのですが、先端が押されて芯が回転するクルトガはペン先にぐらつきがあり、書き心地に納得がいかなかったのです。

 また偏減りも味のうちで、軸を回転させ自分で好きなように芯をコントロールすることに慣れていたせいもあって、メカニカルに線幅を調整されてしまうクルトガの線があまり好きになれなかったのも事実です。

 ただノートへ文字を書く際は、綺麗な文字が狭い罫線と罫線の間に苦もなく書けるクルトガは間違いなく便利です。特に資格試験などで数本持ち込んだシャープペンシルは、結局クルトガだけが活躍したという経験もあります。

 つまりわたしのようなわがままなユーザーは、クルトガと、そうでないシャープペンシルを2本持たないといけないのです。

 ところが現在はやれ在宅勤務だフリーアドレスだと、自分の席がなかったり大量のペンを定位置に保管できなかったりして、結果ちいさなペンケースに入れて移動を余儀なくされるシーンが多くなりました。他によく使うペンもありますから、できればシャープペンシルは1本にとどめておきたい。さて、どうするか──?

 そんな悩みを持つ方にお薦めなのが今回の新製品、ユニアルファゲルスイッチです。

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 本製品は2つのモードを持つシャープペンシルです。線がいつまでも細いクルトガモードと、そして何とそのクルトガ機能をキャンセルしてしまうホールドモードです。

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 クルトガは本体内部にクルトガエンジンと呼ばれる回転機構を持っており、実際に回転していることを教えてくれるインジケータがついている場合がほとんどです。本製品もグリップとクリップの間あたり、軸に穴が空いている部分にオレンジのインジケータがついています。ここが書くたびに回転し、オレンジ→白→オレンジと変化していきます。

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 クルトガをキャンセルしたい場合は、クリップをHOLDと書かれた方向に回転させます。

 クリップが90度回転し、クリック感があったら、スイッチが切り替わった証拠です。

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 ホールドモードはクルトガ機能がない、ごくごく普通のシャープペンシルです。大きな特徴はありませんが、わたしのようにシャープペンシルを2本用意して持ち替える必要はなくなります。

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 本製品の内部機構は分解できないので、切り替えのメカニズムはわかりません。ただ見える部分だけで言うと、シャープユニットを覆う金属筒の中からさらに金属筒がせり出してきて、クルトガエンジンが回転するために必要な「隙間」をなくして固定しているように見えます。

 グリップのアルファゲルは、本製品では「かため」と呼ばれる握り具合に設定されています。アルファゲル独特のもちもちとした握り心地で、それでいて高い反発を感じます。

 ボディカラーは黒とネイビー、限定色でオリーブとオレンジがあります。本製品は、「クルトガって使ったことないけど自分に合わなかったらもったいない」と思われるクルトガ初心者や、「メインはクルトガじゃないシャープなんだけど、たまにはクルトガも使いたい」といったわがままなユーザーも取り込むことのできる、一風変わった製品だと感じます。関心がある方はぜひ一度、お手に取ってみてください。

(他故壁氏)

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