2021年3月18日発売の「週刊文春」(文藝春秋)にて、東京五輪開会式の演出を手がける電通出身のクリエイティブディレクター・佐々木宏氏に関するスクープを報道している。
渡辺直美さんを侮辱した演出プランを提案するLINEでのやり取りだけを取り上げる人もいるが、本質はそうしたやり取りが出てくる環境の方だ。
LINEのやり取りで演出への批判をしたのは振り付け担当のMIKIKO氏。500人に及ぶクリエイターチームを中心に佐々木氏の前任者と演出プランを作り上げ、IOCからも好評を得ていた。ところがMIKIKO氏はこのLINEのやり取りの2カ月後には演出チームから排除され、降板している。佐々木氏はMIKIKO氏を重要な意思決定の場に関与させず、放置したまま、新たに小林賢太郎氏を起用した案を作っていたのだ。
MIKIKO氏が辞任するタイミングで森喜朗元五輪組織委員会会長は「あなたは女性だったから佐々木さんは相談できなかったのでは。事を荒立てるんじゃないだろうな」(「週刊文春」より)と言ったとされる。「ジェンダー平等」がいかに現実に必要なスローガンかがわかる事例でもある。
森元会長、森氏と親密な電通代表取締役社長補佐の高田佳夫氏、そして高田氏が指名した佐々木氏。こうした面々が丁寧な議論を踏みにじって物事を決定し、佐々木氏に反対意見を表明したMIKIKO氏を演出チームから排除した構図だ。
こうした案件こそ『報道ステーション』は報じるべきだろう。
議論を超えてはいけない。面倒で時間がかかっても、踏みとどまって言葉を重ねていく。そうした姿勢にこそ支持が集まる社会を目指す──『報道ステーション』は今回の反省を踏まえ、こんな出発点と目標設定を立ててみてはどうだろうか?
(ダースレイダー)
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