妊活、出産、子育ての周りはトンデモだらけ! 振り回された経験者らが語り尽くす

文=山田ノジル
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――トンデモ色が濃い地域とか、トンデモに転ぶ人の傾向とかはありそうでしょうか?

さくらこ:私が住んでいる地域は、自然派出産で有名な産院があった影響もあるのか、相当トンデモに浸食されていますよ。その産院で産んだお母さんたちの会があるんですけど、そのイベントがすごいというか、トンデモのオンパレード。オイルといえばマルチ系だし、相変わらずホメオパシーを信じてるし。どうしてそうなるんだろう? といろいろな人に聞いてみた結果、この地域はわりと裕福な専業主婦が多く、でも夫は忙しい。お金があってワンオペだとおかしな方向に流れちゃうという結論です。

珍タロス:トンデモって無責任だからこそなのか、結構親身に話を聞いてくれる姿勢はありますしね。

さくらこ:悩める母ホイホイですよね。私の周りのトンデモ沼にハマっている方って、みなさん義母と仲が悪いとか、子どもに障害があるとか、そういうのがやっぱりきっかけになってる可能性がすごく高い。そう思ったとき、すごく悲しくなりました。入り口で選択を間違って、沼へ行ってしまう。

珍タロス:私は流産したときに、お腹の赤ちゃんと対話ができるという方にセッションしてもらったことがあるんですよ。精神的に不安定だったときなので、それは今でもやってよかったと思っています。私もですが、流産や死産って「私が悪い」「私になにか問題があった」と抱え込み、病んでしまう人も多いんです。すると胎内記憶の本とかに、「お母さんもお父さんも悪くない」「それは赤ちゃんが決めてきたこと」というようなことが書いてあると、安心できて、精神の安定を保てる感じでした。

さくらこ:前世記憶とか胎内記憶とか、そういう人たちが広める前からもともとあったことだと思うので、それ自体が悪いとは思わないのですけど、それをビジネスにするのはどうなのか。へんな横文字のキラキラした資格を作ったりして。助産師さんも、せっかく立派な国家資格を持ってるのに、なんでわざわざへんな資格を取るの? というような方、結構見かけますね。ブランディングも仕事をするうえでの手法だと思うので、自分に肩書つけることは悪くないですが。

柴田:私にも、かっこいい名前とか肩書つけてハクをつけたい時期がありました(笑)。でも子どもたちにいろいろな職業について教える機会があったとき、ちゃんとした国家資格とそうじゃないものがあるから、厚生労働省のホームページとかで調べようね。情報が氾濫しているから、ということを教えました。私が関わっていたフィットネス業界は、真っ当な資格を持っているもっさりした人より、なんだかよく分からない民間資格しか持っていなくても、キラキラ素敵な写真や記事を発信したり、ビジュアルがよくて楽しくしゃべれる人のほうが活躍できてしまう感じはあります。しかもその民間資格が、すごくお手軽。数時間でヨガの資格取得なんて、普通は無理ですけどね。そこに育児出産が関わると、何でもいい感じに見えてしまうのがすごく怖いなって。

――誕生学とかタッチセラピストとかベビーなんちゃらとか食育とか……ですね。

さくらこ:食育は、ミキプルーン※※※がいますごく力を入れているんですよね。こちらの地域では最近、「防災ママの活動」みたいなのがちょっと活発になってて、その中の食育コンテンツに知人が関わっていたので少し調べたらミキプルーンが母体になっている「上級食育指導士」という資格が出てくるんですよ。味噌にプルーンまぜるとか、そういう食育をしてるらしい。

※※※ミキプルーン
プルーンを加工した栄養補助食品。アムウェイやニュースキンジャパンと並ぶ、ネットワークビジネスの大手企業。シャンプーや洗剤など、日用品も取り扱っている。

珍タロス:それっって純粋においしいのか?

さくらこ:うちは祖母がミキプルーンを食べていましたが、CMもやっていたくらいなので、最近まではマルチだと知りませんでした。味噌関係も、怪しいものたくさんあります。私はそれまで「田舎のおばちゃんたちが教える味噌講座」みたいのが、普通だと思ってたんですよ。でも実は、街中でも結構やっている。なんでこんなにたくさんあるんだろう? と思ったら、だいたい何か怪しい商売とつながっていました。

柴田:食育系の資格とってるママってすごく多いですよ。でも普通に真っ当な免許をとろうと思ったら何年もかかるところ、怪しげなものは数日で取得できちゃったりする。1~3日間セミナーにいったくらいで、どうやって人の健康や食にアドバイスできる自信を獲得できるのか不思議です。食育に限りませんが、無責任としか思えない資格、すごく増えています。

珍タロス:食育とはちょっと違いますが、妊活雑誌ってこういう食べ物がいいとかこういうサプリがいいとか、すごくたくさん載っているんですよ。だからサプリや漢方茶はあれこれ手を出しましたね。漢方茶のひとつ、たんぽぽ茶なんかは結構高くて1カ月分で1万円ちょい。採卵前や治療のスケジュールにあわせて飲んでいて、トータル3箱は買いました。

さくらこ:私も、たんぽぽ茶飲んだかも……。

珍タロス:しかも私が飲んでいたたんぽぽ茶、「コロナに効く」ようなことをほのめかして宣伝したことで、販売していた漢方薬局の店長が逮捕されたんです。「ショウキt-1」という商品名なんですが、私が飲んでいるのと同じだ! と驚きましたねえ。商品と一緒に「このたんぽぽ茶で、こんなに喜びの声が!」というチラシが何枚も入ってくる(笑)。濃い麦茶を薄めて飲むような感じでした。妊活雑誌に「病院の先生もおすすめ!」と大きく広告が出ていたので、完全に信じていました。

さくらこ:私が漢方薬局に行ったときは「20代は1箱、30代は2箱、40代は3箱飲まないとだめ」と言われました。でも予算の都合上、買ったのはとりあえずの1箱。さらにそのたんぽぽ茶を勧めてくるネットワークみたいなのがあった。

珍タロス:妊活雑誌を見ていると、やっぱりなんかいいのかなって思って買いたくなるんです。たんぽぽ茶を飲んでいる妊活中の人、すごく多いと思いますよ。置いてある病院も多いんじゃないでしょうか。

さくらこ:森三中の大島美幸さんも妊活中に飲んでたんですよ、たしか。

柴田:私はいわゆる“きょうだい児”、つまり障害をもったきょうだいがいる立場なんですけど、妊活、妊娠、出産はただでさえそうやって藁をもすがる心境になるのに、さらに怪しいものがめちゃめちゃ入りやすいなと感じています。自分の経験を話す機会がありますが、そこで同じ立場にある若い子から話を聞くと、やはりきょうだいが障害を持っていると、遺伝的に自分も障害のある子を生むのではという恐怖感がすごくあるようで。

さくらこ:そこにつけ込んでくるのが、悩める母ビジネスなんですよね。

――妊活、妊娠、出産、育児、教育。どのステージでも、怪しいものが着実に入り込んでいる現状がよくわかる、まさに「沼座談会」となりました。妊活育児出産に臨むとき、頼れるコミュニティは多い方が心強いけど、そこに必ず一定数いるトンデモには警戒したいものです。お話してくださったみなさま、ありがとうございました!

Information

4月25日『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ズュータン著)出版記念トークライブ!

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山田ノジルがゲスト出演します。

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/heaven/173452

【出演】

ズュータン:『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』著者 twitter@zyuutang

山田ノジル:『呪われ女子に、なっていませんか?』著者 twitter@YamadaNojir

雨宮純:連載「時間も資産も奪われる悪徳商法の実態」ライター twitter@caffelover

【司会】

鈴木エイト:やや日刊カルト新聞社容疑者兼主筆 twitter@cult_and_fraud

 「誰もがこの沼に落ちる可能性がある」ーー帯に書かれたこの言葉が非常に重く感じる衝撃的な内容の著書『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ポプラ社)。出版を記念して、トークライブを開催!

 今回のイベントでは、マルチ商法の話や実体験はもちろん、スピリチュアル、自然派、ニセ医療、疑似科学、陰謀論、カルト宗教などにも共通する「人の不安に寄り添う」怪しげなもの全体を取り上げます!

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