
マリエInstagramより
タレントで実業家のマリエが、インスタライブにて15年前に島田紳助から性行為を要求されたことを打ち明けた問題。
インスタライブによれば、マリエが18歳の頃、番組収録前に島田紳助に挨拶に行けなかったことがあり、別日に指定された場所に謝罪に行ったところ、性行為を要求されたという。その場には出川哲郎やお笑いコンビ・やるせなすもいたが、マリエをかばうことはなかったそうだ。
また、マリエが島田紳助との性行為を拒むと、所属事務所からは「いいの? マリエ。仕事来なくなるよ?」と言われたことも打ち明けた。
インスタライブの内容はネット上で拡散され、Twitter上では「#マリエさんに連帯します」のハッシュタグで連帯を示す声も見られている。
マリエの告白に連帯の声続々 「枕営業」ではなく「権力を利用した性行為の強要」だ
元タレントで実業家のマリエのインスタライブを録画した動画が、ネット上で拡散され話題になっている。 インスタライブで話された内容をまとめると以下の通…
出川哲朗とやるせなすは所属事務所が否定
島田紳助は2011年に芸能界を引退しているため、マリエの告白に出川や、やるせなすがどう反応するか注目が集まっていた。
4月9日、出川が所属するマセキ芸能社は<先日SNSの生配信で女性タレントが発言された内容について出川本人に確認したところ、番組の収録後の打ち上げで出演者、事務所関係者、番組スタッフなど大勢がいる場では同席したことが一度ありましたが、プライベートで食事に行ったことは一度もなく、お騒がせしているような事実はないと申しております>とのコメントを発表。
同日、やるせなすが所属するワタナベエンターテインメントも<先日女性タレントの方がSNSにて生配信された内容についてやるせなすに事実確認を行いましたところ、番組収録後の打ち上げで複数の出演者、番組スタッフらと1度だけ当該の女性タレントの方と同席したことはございますが、配信の中で話されているような事実はなかったことを確認いたしました>とコメントを出した。
どちらの事務所も「事実ではなかった」、つまり「マリエが嘘をついている」とコメントを発表したわけだが、4月15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)の取材にマリエは、<私は嘘を言ってない><インスタも『全部真実です』って言っているので>と真っ向から対立しており、「(インスタライブ中は)酔っぱらっていたのでは」という質問には、首を横に振り否定していたという。
※当該記事の内容は一部、「文春オンライン」でも閲覧できる。
出川哲朗に「ほとぼりが冷めるまでうやむやにしておけば乗り切れる、という処世術はもう無理です」
多くの新聞社やワイドショーは、マリエの告白に触れず傍観状態だが、芸能関係者はどのように見ているのか。
タレントの武井壮は、4月9日に自身のYouTubeチャンネルでのライブ配信にて、視聴者からマリエの告白に関連して「日本の芸能界について話してほしい」とコメントがくると<昔はそういうことがあったんでしょうね><昭和・平成初期ぐらいの頃とか、そんなこともあったのかな。知らんけど。コンプライアンスとか今ほど厳しくない時代だったから>と語り、現在の芸能界でそのようなことは行われていないと主張。
また、続けて<今の芸能界そんなことやっていたらすぐ終わるから。今は無理じゃない?(中略)そんなことしたらすぐ告発されておわるでしょう>と発言し、「芸能界は健全だ」と強調した。
<100%パワハラで無理やり体を要求して番組に出させるみたいな感じというよりも、お互いのしがらみがあったんじゃないの>
<ただ人間同士なんで、芸能界が本当にこう力のある人間だけが、上から順位で番組出てるとかじゃないですから。当然、使う側も作る側も出る側も、人間の好き嫌いがあったり、『あの人感じ良いから出てほしいな』とか(中略)そういったことの要望が噛み合った人が出てると僕は思っているので、仕事をいっぱいもらっている人はそういうふうにして、人に呼ばれやすい、人が呼びたいと思っている人が出ていると思う>
武井はこのようにも述べ、マリエの話は「盛っている」「事実ではない」との主張を展開している。
武井にとって芸能界は「健全」で「今の時代はそんなこと(地位を利用した性行為の強要)はできない」世界のようだが、ネット上では、「『自分が見たことないから性行為の強要がない』と言っても説得力がない」「性的搾取を知らずに来れたのは強者の特権では」との批判が集まっている。
一方でミュージシャンの近田春夫は、出川とやるせなすの対応に異を唱えている。4月15日、「現代ビジネス」の<マリエさん「枕営業」告発…それを全否定する「日本社会と芸能界」の深すぎる闇>の記事を支持するとし、下記のようにTwitterに綴った。
<この度のマリエさんの告発をめぐる件に関しては、ひとりでも多くの人が意見を述べるべきだと考えました。それでこうして文章を書いてます。私が思うに、出川哲郎も、やるせなすも、事務所ではなく、本人がコメントを出すべきです。無論島田紳助もです。このままほとぼりが冷めるまでうやむやにしておけば乗り切れる、という処世術はこの時代にはもう無理です。特に出川哲郎には、勇気を出してほしい。非を認める事は決して恥ずかしい事ではないからね。或いは堂々とマリエは嘘つきです、と顔を出していってくれてもいい>
今の時代、いくら本人がスルーしようとも、ネット上には半永久的に“疑惑”が残り続ける。何食わぬ顔でテレビ番組やCMに出演し続けることは、より視聴者に疑念を植え付けるだろう。自身の間違いを認めるか、あるいはマリエの告白が事実でないのであれば、堂々と自分の言葉で語るべきということだ。
「暴露本」「炎上商法」セカンドレイプを煽るメディアも
マリエの告白をいわゆる“ゴシップ”扱いし、セカンドレイプを煽るような記事もここ数日目立つようになっている。
3月3日に三越伊勢丹のサイトで公開された対談記事において、マリエは「4月下旬か5月頭には本の出版を予定している」と話している。
本の内容については<自分がどうして今の活動しているのかとか、好きなことに出会う大切さだったりとか。女性が日本で起業する大変さをどう切り抜けていけばいいのかっていうウーマンエンパワーメント的なこと。あとは、メンタルヘルスだったりとか。体調を崩していた経緯があったので、どうそれを自分で治していくかっていうヒントがすごく詰まった本になると思っています>と説明しているが、その後、<かなり衝撃的な内容がたくさん入っているんじゃないかなと……>とも話している。
その一文に注目し、インスタライブでの告白は、「暴露本のため」「炎上商法」と煽る記事も散見される。
また、マリエは13日にInstagramで、今月24日に開催するイベントの告知を投稿しているが、これも揚げ足とりの対象となっている。
マリエは2017年に自身のブランドを立ち上げており、以前からイベントの告知や商品のPRをSNSに投稿している。ところが、このことに関しても「炎上商法」「話題作りの宣伝行為かよ」などとマリエを攻撃する声が噴出している。
このように、「被害者らしくしていないと被害者と認めない」と、“被害をジャッジする態度”もセカンドレイプの一つ。マリエは告白後も変わらずに仕事をし、生活をしているだけだ。
また、ネット上では今回の告白に関して「なんで今更?」「当時言えばよかったのに」と疑問視する声もあるが、加害者や第三者からしたら「過去のこと」でも、被害者は何年も、人によっては何十年も苦しみ続けることもある。
なぜ今、告白したのかはマリエ自身にしかわからないが、「性犯罪に対する社会の空気が変わってきたと感じたから」「自分の気持ちに変化があった」といった理由があるのかもしれない。そもそも、第三者にとってわかりやすい理由を求めることが、被害者を傷つけることもある。
15年前の日本では、性暴力被害に声をあげたところできちんと聞いてもらえたか疑問だ。この記事でも触れたが、2017年に海外で#MeTooが話題になった際も、日本ではなかなか広まらず、あろうことか#MeTooを特集したワイドショーでは、セカンドレイプが普通に放送されていたのだ。
「フラワーデモ」を始め、日本でも少しずつ安心して被害を打ち明けられる場は増えてきているが、「被害者らしさ」を求める社会の雰囲気や、何年も前のことであっても、被害者にとっては「今更」ではないことなど、まだまだ正しく知識が広まっていない部分も少なくない。性暴力被害の実態を正しく知り、イメージで語らないことも重要だ。
性暴力被害者のうち警察に相談したのは17% 5899件のアンケートから見えてきた「性暴力被害を相談しやすい社会」のために必要なこと
「なぜ抵抗しなかったの」「逃げられたのでは」——性暴力被害者にこういった言葉を投げかけることはセカンドレイプであるが、このような考えはまだまだ社会に蔓…