インクを自分好みに調合し、“オリジナル”筆ペンをつくれる「からっぽペンカートリッジ式」

文=他故壁氏
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 呉竹と言えば、筆や墨、書道用品といった書に関する道具や、筆ペンなどで有名なメーカーです。その呉竹から2020年に発売され、ヒットした筆記具があります。

 名を「からっぽペン」と言います。

 その名の通り、インクが入っていないからっぽのほそ芯/ほそふでペンで、同社が用意している「ink-café私のカラーインク作り」キットに入った6色のインクを自分好みに調合し、この世に1本だけの「自分だけのカラーペン」を作り出す製品です。

 推奨されるのは前述の呉竹製6色インクですが、自分で持っている万年筆インクを吸わせて好みのペンを作成する方も多かったようです。

 そして2021年、このからっぽペンに新型が登場しました。

インクを自分好みに調合し、オリジナル筆ペンをつくれる「からっぽペンカートリッジ式」の画像1

 それが今回ご紹介する「からっぽペンカートリッジ式」です。

 過去のからっぽペンは「中綿式」といって、ペン内部にある中綿にインクを吸わせて格納するタイプでした。これは単純な構造であるため安価で取り回しもよく、一般的な水性マーカーなどはこの方式で作られているのですが、残念なことにインクがなくなれば本体ごと使い捨てとなります。

 また、調合して作ったインクをペンに入れる前を原液だとすると、攪拌後の原液で行った試し書きと実際に中綿に吸わせてペンとして書いたときに、筆記の濃さに差が出てしまいます。そういう意味では、からっぽペンは初心者泣かせの製品でもありました。

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 ところが今回のからっぽペンは、まるで万年筆のカートリッジのような交換式のシステムが搭載されており、作ったインクをカートリッジ内に入れて持ち歩くことができるようになったのです。

 からっぽペンカートリッジ式は毛筆タイプと、細くて弾力のある細筆タイプの二種類が用意されています。

 パッケージを開け、本体を分解してみますと、その構造がよく判ります。首軸をボディから外すと、軸内からカートリッジが2本出てきます。筆ペンは軸が長いので、装着して使うカートリッジの他に、予備のカートリッジを入れておくことができます。

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 本体軸内からカートリッジを取り出してみます。2本目を出すと、金属球が底に2個入っているのが判ります。この金属球はインクを注入後、カートリッジの蓋をするためのものです。なくさないようにしましょう。

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 別売の「ink-café私のカラーインク作り」を使って、自分好みのインクを調合します。数滴単位で落としては色味を確認し、最終的に「どの色を何滴落としたか」をメモしておくと、あとでその色を再現する際に役に立ちます。

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 調合が終わったら、スポイトでカートリッジにインクを詰めていきます。わたしは不器用なので、かなりインクで指を汚してしまっていますね。こぼしたり飛び散ったりする可能性もありますので、汚れてもいい紙などを下に敷いて作業するのが望ましいでしょう。

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「ink-café私のカラーインク作り」に入っている調合カップは、ひと目盛りが2.5ミリリットルだそうです。カートリッジ1個の内容量は1ミリリットルなので、いちばん下の目盛りいっぱいに作るとカートリッジに入らなくなります。

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 今回はカートリッジ1本分だけインクを作っていますが、同じ色をストックしておきたい場合は「ink-café私のカラーインク作り」に入っている空容器を使うか、あるいは別売の専用カートリッジをご購入ください。

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 カートリッジにインクを詰めたら、金属球で蓋をします。必ず指の腹で押し込んでください。軸内に予備として入れたり、あるいは別に持ち歩くなどした場合はこの押し込みが甘いとインクが漏れてしまう可能性がありますのでご注意ください。

 作業が完了したら、首軸にカートリッジを差し込みます。ぐい、と力強く押すことによって、金属球がカートリッジ内に落ち込みます。あとは毛細管現象で穂先にインクが到達するのを待つだけです。

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 ……書けました。攪拌中に試した色とも差が少なく、想定内の筆記色です。やっぱり嬉しいですね、自分が作ったインクがペン先からきっちり出てくるって。

 こうして好きな色を自分で調合し楽しむことができる本製品ですが、少しだけ注意点があります。

 まず、本体と穂先は何度も使用が可能ですが、カートリッジは使い捨てだという点。分解してボールを取り出すことはできません。

 そして、色を変えたい場合も注意が必要です。穂先は洗浄が可能ですが、使用しているインクによっては完全に色を落とすことができない場合もあります。その際には別売りの穂先がありますので、交換されたほうがよろしいかと存じます。ペン先の手入れについては、パッケージに同梱された「ペン先のお手入れについて」をご確認下さい。

 からっぽペンの醍醐味は、やはり何と言っても自分好みの色を調合できる点です。うまくできると本当に嬉しいです。貴方だけのカラー筆ペンを作ってみませんか?

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