
兼近大樹Instagramより
性的少数者の概念として「LGBT(LGBTQ)」という言葉が認知されて久しいが、セクシュアリティは一言で表現できるものではなく、「グラデーションがある」といったことも知られつつある。
4月26日の『めざまし8』(フジテレビ系)の「ニュースMyプレゼン」のコーナーでは、お笑いコンビEXIT・兼近大樹氏が「性スペクトラム」について紹介した。
番組によると、これまで生物学的な性について、男性と女性の二種類と考えられていたが、実際はグラデーションがあり二分化できないことがわかってきているという。男性と女性の間に連続する性の多様性があることを「性スペクトラム」と呼ぶ。
兼近氏は「性スペクトラム」の概念を知ることによって、自身の性自認について改めて振り返ったとのこと。
<僕自身も納得するなってところがあって。性自認といったうえで、僕生まれたときからずっと自認が男だったかって考えたときに「そうなのかな?」って不安だったんですよ。元々女性として生きていたかもしれないしとか、色々な可能性を考えたときに、自分を納得させていたなっていうところがあって。そういう意味ですごくいいなって思いましたね>
Twitter上では「『どれかに属する』とせず、グラデーションにしてあげるのは優しい」「多様性を大切にする、かねちーらしいテーマ」など、「性スペクトラム」をポジティブに受け取る声が目立った。
また、「性スペクトラム」の考え方に共感する意見や、今回は言葉の紹介程度だったため、「もっと深掘りしてほしい」など視聴者の関心は高かったようだ。
私たちはグラデーションの中にいる
「性スペクトラム」については、4月22日の『あさイチ』(NHK)でも特集された。
番組によると、「Y染色体が極端に短い」「X染色体が1つのみ」「X染色体2本とY染色体の組み合わせ」などが発見されており、男女が単純に二分化できるものではないことが明らかになっているという。
番組が取材した専門家は、概念としての男女はあるものの、一人ひとりの人間を見た場合には男女の間のどこかに位置しており、<すべての人の性がゆらぐことがある。数年後には性が変わるかもしれない>と述べていた。
生きているうちに性に変化が生じることは、自然界では珍しいわけではないようだ。例えば、魚の一種である「カクレクマノミ」は、体の一番大きな個体がメス、二番目に大きな個体がオス、その他は性が決まっておらず、基本的には、オスがメスに性転換する特性を持っていることが紹介された。
シスジェンダー(生まれた性と性自認が一致している)として生きていても、100%生まれながらの性に性自認が一致しているかと問われれば疑問に思う人もいるだろうし、ヘテロセクシャル(異性愛)だと思っていても、生きていくなかで同性に惹かれる経験をする人もいるだろう。
マジョリティとされている人たちにもカテゴリー化されるほどでなくとも、改めて振り返ると小さな違和感はあるのかもしれない。
性別の枠組みに捉われないことは、自分のことをより深く知るきっかけになる。そして、他者に対しても様々な生き方・解釈の仕方があると理解でき、多様性に寛容になれるのではないか。