『きれいのくに』の実験的・難解なストーリーを稲垣吾郎はどう読み解いたのか?

文=秘密のアツコちゃん
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 というのもね、このドラマは新進気鋭の劇作家・加藤拓也氏が描いたものなの。実は一年前、加藤氏の舞台『誰にも知られず死ぬ朝』を吾郎ちゃんは観に行っていたそうで、その時は「楽屋にご挨拶に行くのも何となく気を使わせてしまうかなと思って、加藤さんには会わずに帰ったの。その舞台には共演した村川絵梨さんが出演されていて、そのご縁で観させていただいたんだけど、その時も不思議な二つの世界を彩る面白い劇で、とにかく新鮮だったし衝撃を受けた」んですって。

 村川さんは吾郎ちゃんの主演舞台『No.9ー不滅の旋律ー』に出演されていたから、そのご縁から舞台を観に行ったらしいのよ。で、今回その加藤さんが描かれた難解な作品に偶然にも吾郎ちゃんが出演することになって、「そこで初めて加藤さんに舞台を観に行ったことを話したらとても驚いて、でも喜んでくださって。村川さんもこのドラマに出演されているし、改めて不思議なご縁を感じたし、人とのつながりを大切にしたいなと思った」そう。

 やだ、アツとしては「吾郎ちゃんと村川絵梨ちゃんのご縁が仕事以外でもありますように」なーんて思っちゃったんだけどな。あ、盛大な余談だけど(笑)。

 「また余計なこと言って〜」って吾郎ちゃんに怒られそうだからドラマの話に戻すと、加藤さんの描かれた脚本は素人のアツなんかにとってはとんでもなく難しくて、読み進めるのに時間がかかったし、試写を見たら逆にワケ分からなくなっちゃって、インタビューしようにも何を聞いていいのかちんぷんかんぷん。

 だけど、吾郎ちゃんは「そうだね、確かに読み物としては普通じゃないからね」と理解を示してくれた上で、「だけどとっても不思議なのは、実際にその描かれたセリフを声に出して言ってみると、自然と役が僕の中にス〜っと入り込んできて。そういう感覚は初めてだったな。笑いの中に狂気があったり、狂気の中に優しさがあったり、複雑怪奇なんだけど、こういうものにどんどん挑戦していきたいと心の底から思ったしね。若きクリエイターたちとの刺激的な出会いが僕にいろんなパワーを与えてくれている」と、キラキラな瞳で語ってくれたの。身体中から「毎日が充実しています!」オーラが出ていて、惚れ直しちゃったわよ。

 もちろん途中途中で「様々な脚本を読んできたんでしょ? 記者なのに? 今まで何やってきたんだよ」というツッコミもありつつで、時に「分からないものは分からないの!」なんて返して、いつものように言い合いにもなったけれど、近くで聞いていた編集者やスタイリストさん、ヘアメイクさんには「うわ、相変わらずの通常業務」と呆れられたりでね。「一筋縄ではいかない吾郎ちゃん」をたっぷり堪能してきた昨今のアツでございました。

 取材でバタバタしていた時、ちょうど吾郎ちゃんは主演舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』の稽古中でもあって忙しかったのに、そのタイトルも「えっ、『シャンソン』?」と聞き間違えたアツだから、そりゃあ吾郎ちゃんも嘆きたくなったはずよね。はぁって大きなため息だったわ。しかも緊急事態宣言を受けて、『サンソン〜』の東京公演が一部、中止になったりと、待ちに待っていたファンの皆さんには残念なお知らせがあったばかりだけど、皆様どうかお気を確かに! 時期をみて吾郎ちゃんは必ず再演してくれますから。

 いやぁ、本当に熱演&好演&怪演で、舞台人・稲垣吾郎の存在感たるやもうっ。身体の隅々までシビレまくったわ。さぁファンの皆さん、共に再演を待ちましょう!

 ベートーヴェンとはまた全然違うサンソンという新しい男性があなたを待っていますから。惚れ直すこと間違いなしよ! その為にも今はしっかりと感染対策をして、おうち時間できれいに変身しておきましょ。吾郎ちゃんとの麗しき再会のために……ね!

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