狙われるのは、子育て中の女性たち。マルチ商法の入口は身近にある!

文=山田ノジル
【この記事のキーワード】

その4・保育園&幼稚園関係

 保育園での生活にマルチ系アロマを取り入れ、「香育」を謳うすごい保育園も実在しています。これはもう、マルチ商品を使っているという以前に、乳幼児がそこまで毎日アロマな生活様式で過ごして大丈夫なんかい! という素朴な疑問が立ちはだかります(HPを見ると、子どもらが過ごす部屋にアロマディフューザーで香りを拡散させている写真も載ってます)。

 園内にはカフェのようなカウンターを設置したコーナーもあり、保護者が気軽にコーヒーを飲みながら、育児や仕事の相談もできるそうですよ。いや~んそんなの、親身に悩みに寄り添ってくれたら、愛着関係が深まり、ころりとマルチの仲間に引き入れられそうじゃないですか(注:これに関してはそういった被害が報告されているわけではないので、100%私の妄想ですけど)。

 ほかには過去記事で「森のようちえん」を運営するカリスマ的人物が、マルチアロマをブログで紹介していたり、森のようちえん関連イベントでマルチ系アロマをふりかけたお菓子を配布していたなどの報告もありました。自然派保育とアロマって、相当相性がいいですよね。「薬を使わないお手当」とか「自然の力で健やかに」とか。「森のようちえんにお呼ばれして、アロマ教室をやりました」みたいなマルチ系アロマブロガーの記事も、検索すると簡単に見つかります。

 保育園や幼稚園といった場では、確固たる育児信念を持っていたり、きょうだいをたくさん抱えるベテランママ以外は、「指導者」である先生方のアドバイスはそれなりに受け取ってしまいそうです(それが育児界の有名人であればなおさら)。ですからその人たちが「育児に役立つ!」と謳って愛用していれば、それなりの宣伝効果が見込めます。「勧誘してなければOK」では済まないでしょう。

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 さて、育児関係を軽~く見回すだけでも、この有様です。妊娠・出産を扱う助産院などでも、マルチ系アロマはいくらでも見つかります。しかもこれらは私の元に寄せられた極秘情報などではなく、キーワードを検索すれば誰でも見られるものばかり。ですから、慎重に情報を出さないようにしているグループも、まだまだ水面下に大量に潜んでいると思われます。

 今は少子高齢化の世の中ですから、ひとりの子を育てるのに熱が入り、また子育てしにくい世の状況も相まって、親たちの不安は尽きることがありません。昭和の時代は悪徳商法といえば、先祖の因縁やカルマといったスピリチュアルトークで脅してモノを売りつける手法がスタンダードでしたが、今では不安な親心につけこんで、育児周りがすっかりターゲットにされている様子。しかもマルチ系の日用品は、エビデンスの怪しい効果効能を謳うのがお約束。料理にアロマをじゃぶじゃぶ加えたり、妙なサプリメントを飲ませたり。人間関係や家計が破綻する問題に加え、子どもらの健康も危険にさらされているのがひどすぎる。

 さらにこの先は、第2次ベビーブーム=団塊ジュニア(親が第1次ベビーブームの団塊世代であること)が更年期に突入しますから、そこもバッチリターゲットにされているでしょう。些末な事例ですが、女性向けの教室を開いている講師のブログなどを観察していると、2013年頃は「ジェムリンガ」やら「子宮系女子のお話会」を行っていたのが、最近ではマルチ系アロマを使った腟ケアへシフトチェンジしていました。昨今ブームの腟ケアとは「更年期障害も何もかも、女の健康は腟ケアがカギ!」と謳うトンデモ物件なのですが、それがマルチ系アロマと組み合わさり、大きな市場に乗り込んできたということです。

 また、先日のトークショーでもお話しましたが、マルチ商法は当連載で扱っている物件ともほぼほぼ悪魔合体しています。我流の胎内記憶を布教する池川明医師はドテラ布教者とともに「胎内記憶とエッセンシャルオイル」なるZOOMセミナーを行っていたり、経血コントロールの布教者は「香りで緩む経血コントロール講座」なんかを開催していました。ほかにも「ドテラで不妊改善&妊活セミナー」「アロマで波動を上げて引き寄せを叶える」etc.トンデモと 親和性が高すぎるにもほどがある!

 こうしたマルチの入り口を並べてみると、「たまたまその人が使っていた・会員だった」という例を取り上げているのように見えるかもしれません。しかしこれは「地球で一番大きい生き物がキノコ(正確にはワタゲナラタケ)である」という説と、よく似ているように思えてなりません。地上に生えているキノコ自体は驚くようなサイズではないけれど、遠く離れた土地に生えているキノコを調べてみたら同じDNAを持っていた、という論文です。地中へ菌糸が広がった総面積を、キノコの総体とみなしているのです。つまり、ひとつひとつのマルチは遠く離れて関係ないように見えても、根元は繋がり広がりつづけ、日本の女性を食い尽くす大きな動きに見えるのです。

 これらのマルチは、もともとアメリカでメソッドが確立されたネットワークビジネスです。その手法が日本に入り込み、時にはトンデモ味噌や腟ケアといった日本独自のものと合体しながら、アメーバーのように広がっている。「モノはいいから」なんて気軽に手を出すと、アッという言う間にその巨大生物に取り込まれそう。ただでさえ不安が多いこのご時世、謎生物の養分にされぬよう、どうぞ皆様お気をつけくださいませ。

Information

 4月25日に開催されました『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ズュータン著)出版記念トークライブを、アーカイブ視聴できます!

狙われるのは、子育て中の女性たち。マルチ商法の入口は身近にある!の画像2

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/heaven/173452

家族がマルチにはまってある日突然、家を出ていったズュータン氏 Twitter@zyuutang

若者に忍びよる悪徳商法を取材し尽くす雨宮純氏 Twitter@caffelover

女性が知らないうちにハマってしまうトンデモをウォッチしつづける山田ノジル氏 Twitter@YamadaNojiru

そして司会は、圧倒的な取材力でカルトからマルチまでを網羅する鈴木エイト氏twitter@cult_and_fraud

4人の放談をお聞きください。マルチから自分を守るには、まずその手口を知ることーー。

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