セブン、ファミマ、ローソンのプライベートブランド戦略 大きく異なるそれぞれの強みとは

文=A4studio
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GettyImagesより

 「セブンプレミアム」、「ウチカフェ」、「お母さん食堂」……コンビニエンスストアの商品棚を、各社が独自に展開しているプライベートブランド(以下、PB)商品が占めるようになって久しい。かつては一般のメーカーが展開している商品の廉価版というイメージが強かったPBだが、今となってはコンビニのPB商品から話題性のある商品が登場することも少なくない。

 そんなコンビニのPBは、社会情勢に応じて変化しつつあるのだという。そこで、本記事ではコンビニ記者として20年以上活躍している吉岡秀子氏に、セブン-イレブン(以下、セブン)、ファミリーマート(以下、ファミマ)、ローソンの大手3社のPB展開について話を伺った。

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吉岡 秀子(よしおか・ひでこ)/コンビニジャーナリスト
関西大学社会学部マスコミ学科を卒業後、会社員生活を経てフリーライターとして独立。2000年頃から『AERA』(朝日新聞出版)でコンビニ業界の取材を始め、各メディアでコンビニ情報を発信し続けている。著書に『セブン-イレブン 金の法則 ヒット商品は「ど真ん中」をねらえ』(朝日新聞出版)、『コンビニ おいしい進化史』(平凡社)など多数。 オフィシャルサイト:https://cvs-yoshioka.jimdofree.com/

実は大きく違う? 大手3社が展開しているPB商品の傾向

 吉岡氏によれば、コンビニのPBはベーカリーやドリンクなど多岐にわたるため、いまやコンビニ商品の過半数がPBと言っても過言ではないという。そんなコンビニPBは、どのようにして開発されているのだろうか。

「PB開発の手法はケースにもよりますが、3社ともだいたい共通していて、コンビニ側のマーチャンダイザーと呼ばれる役職の人を中心に、ベンダー(製造業者)や一般メーカーと組んでチームを作り、商品開発を進めています。

 コンビニPBはメーカーの技術に着目して開発しているため、ハイクオリティな商品が並んでいます。店の看板を背負う価値のある高品質な商品が手軽に買えるということは、相当コスパに優れていると言えるでしょう。

 セブンは自社の専用工場を持っていますが、基本的には開発・製造に関して3社で大きな違いはありません。しかし、オールジャンルに強い『セブンプレミアム』を持つセブンに対して、ローソンやファミマは特定のジャンルに個性が強いブランドを持っており、3社のPB展開はそれぞれ異なります」(吉岡氏)

 それでは、セブン、ローソン、ファミマそれぞれのPBはどういったジャンルを得意としているのだろうか。

「セブンの『セブンプレミアム』はイトーヨーカドーなどでも展開している巨大PBで知名度が高く、全ジャンルに強いのですが、この3、4年で冷凍食品が伸びていて種類も増えています。特におかずにもおつまみにもなる『おかづまみシリーズ』や、買い置きできる冷凍フルーツが好評ですね。

 ローソンはスイーツブランドの『ウチカフェ』やコーヒーブランドの『マチカフェ』、ベーカリーブランドの『マチノパン』のような、女性からの支持が高いおしゃれな商品が強く、ゴディバなどの有名なスイーツブランドとコラボした商品も発売されています。また、全店展開されていないので知名度はまだ高くありませんが、店内で調理した商品を提供する『まちかど厨房』も人気が高まっています。

 ファミマではカフェフラッペなど多種多様な商品がラインナップされている『ファミマカフェ』と、お惣菜やおつまみなどを取り揃えている『お母さん食堂』が強いですね。コロナ禍で家呑み需要が増加し、コンビニ全体でお惣菜がよく売れているということも、『お母さん食堂』の好調の一因だと思われます」(吉岡氏)

消費者の変化によって移り行くコンビニPBへのニーズ

 まさしく三者三様の特徴を持つコンビニPBだが、現在売れ行きが好調な商品にはある傾向があるのだという。

「この1、2年はヘルシー志向が強い商品がよく売れていますね。昔のコンビニは脂っこい、高カロリーな健康に悪い商品が多いというイメージが強かったと思うのですが、今は野菜系のお弁当や雑穀米を使ったおにぎり、サラダ、機能性食品や乳酸菌入り商品が目立っています。また、タンパク質に着目してさまざまなフレーバーのサラダチキンを販売している業態も、コンビニくらいではないでしょうか。

 健康的な商品が支持されている背景には、体を鍛えている人や免疫力を高めたいという人、ウェイトコントロールをする人が増え、コンビニのターゲット層が高齢者と女性中心に変化したという点があります。

 ローソンの『からあげクン』など依然として人気の高い商品もありますが、若者を含めて昔のようにドカ食いや深酒などをする人が減少したので、消費者がコンビニにも健康への意識が高い食品を求める時代が来たなと感じますね」(吉岡氏)

 消費者のニーズに対応したPB商品を展開してきたコンビニ各社だが、次なる目線はデリバリー対応にあると吉岡氏は話す。

「コロナ禍で消費者が家から出たくても出られないことが多く、出前などが注目されている現状、コンビニのライバルはスーパーなどの小売店ではなく、デリバリー業界になっていると言えます。ローソンの『まちかど厨房』が好調な要因としても、できたてメニューのテイクアウト需要の増加や『Uber Eats』との提携が挙げられます。

 その点を考慮すると、持ち運びがしやすい商品や、食べやすい商品、家族などでシェアして食べるようなボリュームたっぷりな商品など、今までとは方向性が異なる新商品が登場するかもしれません」(吉岡氏)

 さらに、コンビニは今後自社のデリバリーサービスを構築していく可能性もあるという。

「現在は『Uber Eats』などでデリバリーをしていますが、今後はセブンが展開している『セブンミール』のように、各社が自前でデリバリーをしていくケースが増えると思いますね。

 実は、他社も個店個店でデリバリーサービスをしているものの、業界全体に広がったとは言えません。しかしながら、いつまでも他業種と提携していくとは考えづらいので、やがては新たな自前のデリバリーシステムやアプリを開発して、自社の商品をデリバリーするようになるのではないでしょうか」(吉岡氏)

 コンビニは多くの人が日常的に利用するお店なだけに、より便利なデリバリーサービスを自社で構築したとしたら、大きな強みとなるかもしれない。

(文=二階堂銀河/A4studio)

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