稲垣吾郎が俳優としての新境地を開拓した舞台『サンソン』の魅力に迫る

文=秘密のアツコちゃん
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舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』ホームページより

 4月25日に3度目の緊急事態宣言が出され、エンタメ業界は大打撃を受けました。稲垣吾郎の主演舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』も、4月23日から5月9日にかけて予定されていた東京公演は一部日程をのぞき中止となってしまいました……。しかし、『サンソン』で稲垣吾郎が見せた演技は、あたり役だったベートヴェンに勝るとも劣らない名演で、このままお客さまの目に触れぬままなのは、あまりにももったいない。そこで、ゲネプロを鑑賞したアツが見所をご紹介させていただきます。いつの日か、彼らが再び舞台に戻って来ることができることを願いながら……。
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 皆さん、ごきげんよう。アツこと秘密のアツコちゃんです!

 「毎年のことではありますが、5月6日は“吾郎ちゃんの日”となっておりますので、誠に勝手ながらお祝いさせていただこうと思います!」とご報告申し上げたところ、「ハイハイ、どうぞ。ご勝手に」と稲垣吾郎さんに軽〜くいなされたアツですが、そんなことでは挫けません。世の吾郎ファンの皆様方はどんな幸せな“5月6日”を過ごされましたでしょうか?

 相変わらずの緊急事態宣言下、新規感染者もなかなか減らず不安な毎日が続きますね。イベントの開催等も取り止めになったり、舞台も公演中止になったりで、我らが吾郎ちゃんの主演舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』も、残念ながら東京公演が休止を余儀なくされてしまって。

 「吾郎ちゃん命」を高らかに宣言する先輩女性編集者は「今年の5月6日は舞台を観に行って“吾郎ちゃんの日”を満喫するの」とずっと言っていたのにあえなく断念。涙・涙で「一人でガブガブやけ酒を飲んでいた」とのこと。うんうん、その気持ち痛いほど分かるわ。だってすごーく話題になっていた舞台だものね。

 心待ちにしていらした吾郎ちゃんファンの方々も多いと思うので、お稽古やゲネプロをこっそり覗いてきたアツが、ほんのちょっとだけ役立たずなリポートをさせていただいちゃおうと思います。

 『サンソン』の舞台稽古は、かなりハードスケジュールの中で行われていたのです。現在オンエア中のNHKドラマ『よるドラ「きれいのくに」』の撮影と重なっていたから、体力的にも精神的にも吾郎ちゃんはめちゃくちゃ大変だったはずよ。ドラマも舞台もセリフ量が膨大だし。

 それにね、『サンソン』にはルイ16世役で中村橋之助さんが出演されていて。橋之助さんったら先ごろ、ちょっとした恋愛スキャンダルが発覚したでしょ。そのため週刊誌やスポーツ紙の記者さんたちに追われちゃうことに。もちろん数々の修羅場をくぐり抜けてきたジェントルマンな吾郎ちゃんは華麗にスルーしてあげてたけど、周囲はかなりドタバタ&アタフタしちゃってたの。アツも知らんぷりしてお稽古を覗きに行ったのだけど、当の橋之助さんはよく通る声でルイ16世を淡々としっかりと演じていらして、噂話なんてどこ吹く風の風情。ぜーんぜんブレていなくてある意味、大物感を漂わせていたわ。

 で、そのルイ16世の首を刎ねた男・サンソンを演じているのが吾郎ちゃんなの。先週も書いちゃったけど、そもそもタイトルを『シャンソン』と聞き間違えていたぐらいスットコドッコイなアツだから「サンソンって誰?」状態で伺ったわけよ。勉強不足にもホドがあるけどお許しを。

 そこで吾郎センセにお聞きすると「フランス革命期に実在した死刑執行人がシャルルーアンリ・サンソン。僕が演じてみたいと思っていた人物なんだ。重い時代の中でも、社会を良くするために職務に忠実に生きたサンソンという人物を精一杯、演じてみたい」とキッパリ。その心意気は十二分に伝わったのだけど、難しいストーリーだったらどーしよ? アツのツルツルな小さなノーミソで理解できるのかと不安になりながら観た舞台。

 でもでもね、そんな心配はご無用でした。舞台開始直後、一瞬にして心を奪われちゃったんだもの。群衆をかき分けマントを翻し颯爽と登場した吾郎サンソンにもう釘付け、秒殺よ。何だろ、志の高さと正義感、それ故の大いなる苦悩、懐の深さと孤高をまとったあのたたずまいが目に焼き付いて離れないの。吾郎ちゃんはもともと姿勢がいいんだけど、あの凛々しい立ち姿は本当に圧巻。サンソンのヒリヒリするような哀しみが胸に突き刺さってくるし、セリフも一言一句、しっかりと伝えてくれるし、吾郎ちゃんったらいつの間にこんなにもサンソンになってたの?と驚くばかり。

 それに、出演者も橋本淳さんや牧島輝さん、落合モトキさん、松澤一之さん、田山涼成さん、榎木孝明さんたちといったテレビでもおなじみの方々が多く出演されていて豪華キャストが勢揃い。一瞬たりとも飽きることなし。演出の白井晃さんが鋭い目付きでチェックされていたけど、合間は笑顔も垣間見えたし、手応え十分な舞台になったんじゃないかしら?

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