ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。新型コロナウイルスの脅威にさらされ1年以上が過ぎました。外出の機会もめっきり減り、「おうち時間」という言葉も定着しつつあります。その影響か、家でできる勉強や習い事など「学ぶこと」を考える人も増えているようです。
今回は、そんな方にはぜひ検討してほしい、雇用保険法による「一般教育訓練給付」をご紹介します。なお雇用保険というと「失業」を連想してしまうかもしれません。教育訓練給付のメインターゲットは働いている人にあります。
習い事に近い感覚で学んでいる人も!?
「教育訓練」という言葉の堅苦しい雰囲気から、仕事を見つけるためのハードな訓練を連想してしまいそうになりますが、パソコン関連、各種語学、着付け、フラワー装飾、インテリア、ワイン、フードなど多岐に渡って資格や技術の習得を体系的に学ぶことができます。
これらは筆者が個人的に「へぇ!この講座も!」とワクワクした一部を挙げただけですので、ぜひ次の検索システムで調べて見てください。
https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SSR/SSR101Scr01S/SSR101Scr01SInit.form
自分は対象になる?
この制度をまだ利用したことがない場合、雇用保険の被保険者期間が1年以上という条件があります。自身が雇用保険に加入していることを認識していない方もいらっしゃいますが、正社員であれば、ほぼ該当するでしょう。正社員でなくても長期の契約で週に20時間働くと雇用保険に加入している可能性が高いです。
また転職した後でも1年未満であれば対象になり得ます。
過去にこの制度の利用をしたことがある場合でも、前回受講を開始した日から3年以上の雇用保険に加入しており、かつ、前回の支給決定日から3年以上が経過している必要があります。
いつ、受け取れる?
給付額は、実際に自身が支払った受講料の20%、最大10万円までです。また、分割払いの場合は既に支払った金額だけが対象なので注意が必要です。
最低基準もあります。給付額の最低額が4,000円につき、受講修了時点での支払額が20,005円以上である必要があります(20,005円×20%=4,001円のため)。支払ったらすぐに受け取ることはできません。実際に自身が一般教育訓練給付の対象となっている講座(厚生労働大臣指定講座)を受講し、かつ、修了したタイミングで後日給付されます。
まとめ
この制度の目的には「雇用の安定」「再就職の促進」が掲げられています。そのための支援制度となっているので、今働いている人も仕事を探している人も含んでいるため、対象者が非常に多いのが特徴です。
働き方改革、新型コロナウイルスの影響で会社にいる時間や外で余暇を過ごす時間が減り考える時間が増えた方は、こんな制度を活用しながら学ぶことができないか考えてみるのもいいですね。
もちろん全額ではなく一部の給付ですが、きっかけとしては大きな意味があるのではないでしょうか。