「ボールペンなんてどれも同じだろう」と思われるかもしれませんが、実際に書いてみると面白いほどに個性が表れるものです。
今回ご紹介するトンボ鉛筆の油性ボールペン「モノグラフライト」も、個性溢れる最先端のボールペンです。
写真をご覧になって、「ああ、見たことある」と思われた方も多いかもしれませんね。トンボ鉛筆と言えばMONO消しゴムですが、その特徴であるモノストライプがボディにあしらわれています。
MONOはスリーブと呼ばれる紙巻き部分に、特徴的な3色をまとっています。この青、白、黒は「色彩のみからなる商標」として2017年に特許庁から認可されました。同時に認可されたセブン-イレブン・ジャパンと同じく日本初のことであり、以降この配色は登録商標として機能しています。
トンボ鉛筆はこのモノストライプを自社の看板として使用しており、消しゴムだけでなく製品のいくつかのこの配色を使用しています。現在発売されているシャープペンシル「モノグラフ」シリーズもそのうちのひとつです。
モノグラフは天冠部にMONO消しゴムを内蔵していることを売りにしたシャープペンシルのシリーズです。2021年現在、モノグラフには回転繰り出し消しゴムとフリノック(振って芯が出る機構)を持ったオリジナルのモノグラフ、それにラバーグリップと金属クリップを装備したモノグラフグリップモデル、極細消しゴムと金属ローレットグリップを持った高級タイプのモノグラフゼロがラインナップされています。
また、消しゴムが出ることの他にペン先にあたる固定ガイドパイプが製図用シャープペンシル同様に長く、筆記時に高い視認性を持っていることも共通点のひとつです。
さて、今回登場したモノグラフライトは、油性ボールペンです。「モノグラフ」はMONO消しゴムを内蔵したロングパイプシャープペンシルだったはずなのですが、ボールペンでも「モノグラフ」を名乗る理由は何なのでしょうか。
モノグラライトのボディデザインは、シャープペンシルであるモノグラフによく似ています。もちろんモノストライプのカラーのため、という点もありますが、見逃せない類似点があるのです。
それはペン先です。
モノグラフライトはニードルチップと呼称される、細長いペン先を持っています。過去にニードルチップを持った油性ボールペンがなかったわけではありませんが、全長5.2ミリは例がありません。シャープペンシルであるモノグラフよりもパイプが長いのです。
この細いニードルチップのお陰で手許の見渡しが良く、モノグラフライトは細かな文字や図を書くことが得意なペンとなりました。これはシャープペンシルであるモノグラフの特徴でもあります。モノグラフライトは、油性ボールペンでありながら製図用シャープペンシルと同様の視認性を得たわけです。
ただ、シャープペンシルと異なり、油性ボールペンは筆圧をかける書き方をする場合があります。複写伝票やカーボンを敷いた用紙などに書くこともあるでしょうし、メモを取る際に慌てて力強く書いてしまうこともあるでしょう。
そんな時でも、モノグラフライトのニードルチップは丈夫で堅牢です。切削加工で作られた先端はまったく不安を感じることなく、力を込めて書くことに対応できます。
内蔵インクは、本製品のために新たに作られた超潤滑油性インクです。書き心地は滑らかで、ニードルチップの視認性とマッチして気持ちよく筆記を楽しむことができます。
先端ボールは0.38ミリと0.5ミリの2種類。インクは黒、赤、青が用意されています。インクはボテやカスレがなく、比較的渋めに出るタイプなので、0.38ミリでも充分に超極細な文字を書くことができます。
またモノグラフライトには、過去にないグリップが装備されています。高密度テクスチャーグリップと命名された樹脂グリップは細かなテクスチャーが表面に立っているデザインで、適度なグリップ感を持ちつつラバーグリップ独特の粘りを極力抑えたつくりになっています。手汗の多い方など、グリップが効いても粘つくあの嫌な感じがないので、気持ちよく使用できるのではないでしょうか。
シャープペンシルでないモノグラフは本製品だけですが、今までにない「新しい油性インク」「ロングニードルチップ」「新型グリップ」「トンボ初の0.38ミリボール」といった贅沢仕様の製品だからこそ、シャープペンシル同様にモノブランドデザインでアピールするのだ、ということなのかもしれません。180円(税抜)という普及価格が嬉しいですよね。
モノストライプ以外のラインナップもありますが、そちらはインクが黒のみになります。メタリックなシルバー、ライトブルー、ライム、ピンクの4種類がモノストライプとはまた異なった高級感を醸し出しています。
油性ボールペンの書き心地がお好きで、細かな書き込みをされる方に、いちどお試しいただきたい製品です。
(他故壁氏)