いまでは単に「のり」と言っても、いろいろな種類がありますよね。昔ながらのでんぷんのり、強力な液体のり、手軽で便利なスティックのり、そして最近では主流となりつつあるテープのり。
その中でも、お子様の工作でもっとも頻度が高いのは液体のり、家庭や職場でもっとも手軽に使えるのはスティックのりではないかと思います。特に小学校で「工作の授業があるのでのりを持参してください」と言う場合、低学年ではでんぷんのりを、中学年以上では液体のりを意味している場合が多いのではないでしょうか。また、学校で「ノートにプリントを貼ります」と言われた場合は、スティックのりが一般的なような気がします。
ところで、液体のりでもスティックのりでも、使っていて不便だと感じることはありませんか。市販されている液体のりやスティックのりの多くは断面が円形で、用紙の角にきっちり塗ることができません。どうしてもはみ出してしまったり、あるいは塗りが足りなかったり。端だけがぴらぴらして気持ちが良くない、とわたしなどもつい思ってしまいます。
今回コクヨが発売した「カクノリ」は、塗る面が四角いのりです。液体のりと、スティックのりの2種類があります。
まずはスティックのりからご紹介します。スティックのりの断面が四角いものは、実は以前から存在していました。ところが技術的な問題から、出ては消え、出ては消えている製品だったのです。
のりは、紙表面にある細かな凸凹の中に入り込み、のり成分の中にある水分が蒸発することで固まる「アンカー効果」で貼りつきます。問題は、のりから水分が蒸発するとのり本体が固まってしまうので、キャップがしっかり閉まっていないと使用前ののりが「干上がる」ことでした。
特に四角いスティックのりの場合は、ボディが円柱形をしていれば必ず隙間が発生します。隙間があると言うことは、のり本体の水分が蒸散して逃げやすいということです。またボディを隙間なく四角柱で構成したとしても、キャップを四角にしてしまうと歪みが大きく、円形キャップに較べ気密性が低くなってしまいます。過去の四角いスティックのりはボディ内部で乾きやすく、こうして市場から消えていきました。
コクヨは研究を重ね、「のり本体は四角」「ボディはのり本体との隙間を極力なくす四角柱」「キャップは気密性の高い円形」という、過去の四角いスティック糊の弱点をすべて克服した上で、四角いスティックのりを世に出すことに成功したのです。
実は、今回のカクノリがコクヨ最初の四角いスティックのりではありません。過去に海外向けに四角いスティックのりを販売しており、その技術を以てデザインをリニューアルした大人の事務用品「グルー」シリーズのスティックのりを国内販売したのが、2019年1月でした。
今回のカクノリ・スティックのりは、グルー版とは異なる「学校で使う学習・工作用のり」として登場しました。ボディカラーは青とピンクの2種類を選択でき、のりの色は青のみ。この青い色は、塗った後に透明に変化します。写真を撮ろうとカメラを向けると、もう青が透明になっています。そのくらい、変化は早いです。
また角を意識して塗りやすいよう指がかりがデザインされ、作業性の良さにも貢献しています。ボディ中央には名前を書く欄があり、学校での紛失にも安心な設計になっています。
カクノリ・液体のりも「四角いのり」です。過去に四角い先端を持った液体のりがなかったわけではないのですが、正方形のスポンジヘッドは直感的にコントロールしやすく、特に工作などで角の塗り残しを気にされる方には最適ではないでしょうか。
キャップが下方にあり、スタンドを兼ねています。キャップオープンは指でつまんでリリースする方法で、右利きの方であれば本体を右手で持ち上げ、左手の親指と人差し指でキャップのリリースボタンを軽く摘まむだけ。さっと取り出しが可能です。戻すときも、置かれたキャップにぱちんと戻すだけで大変楽ちんです。
ボディはスティックのり同様に四角く、指がかりよくコントロールしやすい形状です。またボディカラーも青とピンク、ボディ中央に名前を書く欄と、スティックのりにある便利ポイントは液体のりにも完備されています。こちらはのりに色はついていませんが、塗られた面は濡れているので、まったく判らないということはないでしょう。
わたしは「立つ文房具」が大好きで、この連載でも積極的に「立つ文房具はいいぞ!」と言っているのですが、このカクノリ・液体のりは実にすばらしい「立つ文房具」です。工作にも、事務にも、家庭にも、これがひとつあればとても素晴らしいのりライフを満喫できるのではないでしょうか。
技術的な革新を秘めたスティックのりと、便利を極めた液体のり。ぜひお好きな方をお試しいただきたいと思います。