PILOTの女性社員によって企画された、「書く」のを楽しむための文具シリーズ「イルミリー」

文=他故壁氏
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 女性が企画し、女性の感性に沿う文房具シリーズがまたひとつ、この春に登場しました。パイロットコーポレーションの「イルミリー」です。

 イルミリーは「I Like Me, I Like You」の頭文字ILMILYから来ているブランド名です。インク開発も商品企画もデザインも販売企画も、すべてが女性社員によって行われた画期的なプロジェクトによる製品群で、これはパイロットコーポレーション100年の歴史の中でも例を見ないものでした。

 女性社員が心から欲しいと思い、それを経営陣に提案して形にし、自分たちの理想と市場の声を具体化する──イルミリーは「芯の通った企画」でした。

 筆記具メーカーは筆記具を新製品として企画する際には、世の中に役立つオンリーワンを生み出すことに注力しますが、イルミリーチームはそれだけには飽き足らず、「イルミリーという筆記具」ではなく「イルミリーという世界」を作ることに挑戦しました。

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 2021年3月に発売となったイルミリーは、以下の製品ラインナップを持っています。

・ゲルインキボールペン12色(4本パック3種類も同時発売)
・フリクションスタンプ8種類
・ふせん3種類(1個に4色のふせんを多段内装)
・ぽち袋(懐紙つき)3種類
・テンプレート

 イルミリーのゲルインキボールペンは、同社のゲルインキボールペン「ジュース」をベースにしています。0.5ミリのボールを持ち、筆記線は一般的な細字になります。カラーは独特で、その名を並べるだけでも気分が上がるものばかりです。

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 ペールトーンブラウンは「15時のココア」。
 ペールトーンブルーは「夢に見たブルーローズ」。
 ペールトーンバイオレットは「しとやかなスミレ」。
 ペールトーンコーラルピンクは「ごきげんチーク」。
 ペールトーンピンクは「オトメツバキ」。
 ペールトーンオレンジは「おひさまの微笑み」。
 ペールトーンイエローは「日曜日のオムレツ」。
 ペールトーンイエローグリーンは「よつばのかんむり」。
 ペールトーングリーンは「フレッシュミント」。
 ペールトーンアイスブルーは「澄み切った水」。
 ペールトーンマゼンタは「真夜中のハーブティ」。
 ペールトーングレーは「ダイヤの原石」

 また、4本パックはパイロットが以前から提案しているスライダーポーチ型で、ヘッダーを切り落とすとそのままペンケースとして使用できます。

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 パックの中にはイラストレーターのニシズミユカさんが描かれた線画シールが同梱されており、ゲルインキボールペンで塗り絵を楽しんだあとは手帳などに貼り込むことができます。

 ゲルインキボールペンの筆記線はすべて淡いペールトーンで、正直に言えば筆記した文字がはっきり読めない色もあります。ですが、本製品は筆記を「楽しむ」製品です。はっきり書きたい場合はすでに持っている筆記具があるはずで、イルミリーはそこに寄り添うプラスオンの存在なのです。アンダーラインだったり、塗り絵的なカラーリングだったり、あるいはさりげないデコレーションだったり。強く主張はしない、でも自分にとっては元気をくれる楽しい色合い。それがイルミリーのゲルインキボールペンです。

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 フリクションスタンプも、イルミリー独特の解釈が成されています。パイロットコーポレーションのフリクションスタンプと言えば、「スタンプを押した後に消すことができる」フリクションシリーズのひとつ。これはスケジュールなどで予定していたものが移動になった場合、スタンプを消すことができるため便利であるという「機能」を売りにした製品でした。

 ところが、イルミリーのフリクションスタンプでは「ゲルインキボールペンで塗るとかわいい」と言います。消去できるという「機能」ではなく、「装飾」としてのスタンプを全面に押し出しているのです。もちろんフリクションスタンプですからこすれば印面を消すことはできますが、イルミリーのゲルインキボールペンはフリクションインキではありません。

 用意されている柄も「オヤスミ」と名づけられた休マークのものを除けば、あとはローズ、ジュエリー、イエ、ハート、ツキ、リボンと、必ずしもスケジュールとは関係のない柄ばかり。「イエ」は在宅日のアイコンになるかもしれませんが、それ以外は恐らく一度押したら消さない、スケジュールとは関係がない柄ですよね。

 一回押してみて、位置が気に入らないから消してもう一度押す、そして位置が確定したらゲルインキボールペンでかわいく塗る──そういう使い方を想定しているのでしょう。本当にリスケの可能性のあるスケジュールがあるなら、それはすでに市販されている従来のフリクションスタンプがあるのですから。

 パイロットが自社工場でつくることができるのは、ゲルインキボールペンとフリクションスタンプのみです。

 しかし、彼女たちはそれだけでは「イルミリーという世界」にはほど遠いと考えました。書くものと書かれるもの、互いが融合して世界観を作るのが「実際の机上」です。一般に、筆記具メーカーは筆記具しか生み出すことができません。筆記具だけで世界を統一できると思うのは「机上の空論」でしょう。書くものは、書かれるものがないと存在価値がありません。

 イルミリーチームは、現代女性が行っている「書く行為」に注目しました。書くことは仕事の一環ではなく、心を癒やす行為。そして恐らく、書かれるものとしての相手──手帳はすでに用意されている。だったら、手帳に付随したものを以て世界観を作りだそう、と。そこで登場するのが、ふせん、ぽち袋、テンプレートです。

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 ふせんは波形にカットされた多層構造で、ひと束に4色がセットされています。この色はスライダーポーチで販売されている4色セットのゲルインキボールペンと連動しています。気に入った色や大きさのものを途中から使うことが出来、裏面に折り込まれたカバーを前面に持ってくることで、持ち歩きも安心です。

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 ぽち袋には二つ折りの懐紙が入っており、略式のメッセージを添えてミニ封筒として使用することができます。懐紙にある線画にゲルインキボールペンで色を添えることで、淡いながらも温かみのあるメッセージカードにすることができます。スライダーポーチに入れることのできるサイズですので、いつでもどこでもメッセージを書くことができます。

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 テンプレートは、開けられた穴にゲルインキボールペンを沿わせるだけで簡単にイラストが描ける定規です。絵心がなくて手帳が寂しい、という方も安心してイルミリーの色の世界を堪能できる補助器具です。

 手書きの時間を素敵なものに──徹底された癒やしのコンセプトで、あなたもイルミリーの世界を楽しんでみませんか。

(他故壁氏)

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