家庭・仕事に苦しみ、閉塞感を抱く女性たちに伝えたい“生きるヒント”/篠原ゆき子インタビュー

文=小野寺系
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ーーその中で、コメディーなのかと思えるやり取りがいくつもありましたよね。緊張感ある演技や、シリアスな問題を描いた作品なので、笑っていいのかどうか戸惑いましたが……。

 そこは、笑えるように作ってあるところだと思うので、我慢せず笑ってください(笑)。登場人物が真面目にしている方が、より面白い場合っていうのもあるじゃないですか。私自身もそういう作品は好きなんです。

ーー精神的にギリギリなところを見せる、クライマックスの演技には驚きましたが、そのあたりのシーンに特別な思い入れはありましたか。

 自分では、他の演技と区別してるつもりはなかったんですけど、ホテルにこもって役のことをずっと考え続けていたので、役だか自分だかよく分からなくなっている状態になっていたのだと思います。高畑さんと演技の打ち合わせをしているときに、私、恐くて泣いちゃったんです。高畑さんはいつも通り優しくフランクにお話しして下さっていたのに。それも役と現実が、自分の中で混ざってしまったからかもしれないなと思います。

 順撮りだったので、映画の展開でも撮影でも、私の“ラスボス”になる存在が高畑さんだったんです。そこでは自分の全てを出したいと思って、もう死に物狂いの気持ちで、高畑さんにぶつかっていきました。

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©「女たち」製作委員会

ーー演技自体が戦いのようなものになったわけですね。

 そうですね。対決のシーンは、『ゴジラ対キングギドラ』みたいな覚悟で臨んでます(笑)。高畑さんとのシーンは、自分にとって役者人生に残るものになったと思うので、本当に感謝しています。

 対決シーンの後、私は役に入り込んだせいか、何もできなくなってしまったんです。身体が固まってしまって、どう演技したら良いのか、休憩のときに一人で悩んで悩んで、最終的に高畑さんに泣きついたんです。「芝居ができなくなっちゃったんですが、どうしたら良いですか」って。共演の方にそんな相談をしたことは初めてでした。

 そしたら高畑さんが、本当に素敵な言葉を下さって、優しく笑っていただいたときに、心がスッと解けたんです。

 自分自身か役の心情なのか、もうはっきりしないんですけど、人を信じたいし、人と繋がっていたいという気持ちがあったんです。そこで高畑さんに助けていただいたことが、映画の内容ともリンクしていると感じます。

ーー女性たちの繋がりが作品の重要な要素でしたね。その繋がりが、救いにもなるし、悪い意味で共依存関係を生み出すものとしても描かれていました。

 泥にしがみつくような関係が、母娘の間に出来上がってしまっているんです。多分、家族二人だけだったら、事態は変わりづらかったと思います。そこにサヘル・ローズさん演じるヘルパーさんなど、外の人が割って入ってくれたことで救われた部分があると思うんです。それで、泥が初めて取り除けるようなチャンスが生まれたということですね。アメリカなどでは家族の問題にカウンセラーが対処する場合が多いようですけど、本作の関係を見ていても、そういった、他人が介入する手法は効果的だと思います。

 今はコロナの影響で、共に暮らしている家族との時間がすごく増えた一方、嫌でも向き合わざるを得ない場合があると思うんです。これまで適度な距離があったことで成り立っていた関係が、支障をきたしてしまった人も多いはずです。この映画が、そういう方たちの何かヒントになることが出来たら嬉しく思います。

(取材・構成:小野寺系、撮影:細谷聡)

『女たち』
6月1日(火)TOHOシネマズシャンテ他全国公開!!
配給:シネメディア、チームオクヤマ

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