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師匠の教えが裏目に
菅義偉首相が師と仰ぐのが梶山清六元官房長官です。その梶山氏から「国民の食い扶持を作るのがお前の仕事だ」と教えられたと言います。以来、国民が食べてゆけるような経済を確保できれば政権は安泰と考えていました。それが新型コロナ禍で菅政権がとった経済重視の姿勢に表れていました。観光業などを支援し、国民の消費活動を刺激するための「Go To」キャンペーンも実施しました。
従って、経済に負担となる緊急事態宣言の発出には慎重で、北海道や沖縄県への発出も遅れました。岐阜県や群馬県、石川県など感染が急増している地域には、緊急事態宣言ではなく、まん延防止等特別措置を適用するにとどまっています。経済活動の制限につながる緊急事態宣言を広げると、国民の食い扶持が得られないとの思いがあると言います。
しかし、結果的に経済重視の姿勢が感染防止の遅れにつながり、大阪、神戸、北海道などで医療崩壊を招き、救える命が救えない事態となり、国民を大きな不安に陥れました。そんな中での東京五輪開催は、国民の命より経済重視そのものとの批判が高まり、国民の6割から8割がこの夏の開催に反対しています。
しかし、新型コロナ以外にも国民の命を脅かす問題が多発していて、経済優先の政府の姿勢が問われています。
自然災害の季節に
「何十年に一度」という規模の豪雨や自然災害が毎年のように日本を襲い、兆円単位の損害が毎年の様に発生。このため火災保険・地震保険料は毎年の様に引き上げられ、今年も昨年から15%あまり上昇しています。
今年も自然災害の被害が心配です。九州や近畿地方では例年になく早い梅雨入りとなり、九州では早くも豪雨災害に見舞われるようになりました。政府は避難勧告の指示が分かりやすいようにと、避難勧告を「避難指示」に一本化し、地方の各自治体にハザードマップを整備させ、住民がどういうリスクを抱える地域に居住しているかわかるようにしています。
それは良いとしても、国土の7割が山岳地帯で、海(津波)からも山(土石流)、川(氾濫)からも安全な地域はそう多くはありません。日本の国土を考えた上での安全対策を考える必要があります。
河川の増水で堤防を越えて起きる災害よりも、堤防の決壊で生じる災害がより甚大と言います。国土強靭化をうたい、公共事業を行う際には、具体的に防災につながる対策が必要です。護岸工事を急ぎ、ゼロメートル地帯を抱える都市部には地下貯水プールを増設して洪水被害を軽減するなどの具体策を急ぐ必要があります。
併せて温暖化を防ぐための温室効果ガスの削減を急ぐ必要があります。また洪水や砂漠化につながる森林の伐採を止め、むしろ緑化を世界規模で進めることが、CO2の抑制、温暖化の抑制、干ばつ、洪水の抑制、地球の保護につながります。昨年夏にはシベリアで摂氏38度を記録したため永久凍土が溶け出し、メタンガスや新たなウイルスの発生が懸念されました。
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