世界の万年筆のブランドPARKER(パーカー)は、およそ文房具に興味や関心がないひとでも一度は耳にしたことがある有数のメーカーです。
「世界でももっとも愛された万年筆」と呼ばれる「PAKER51」が、惜しまれながら製造中止になってから30年余りの歳月が流れました。長い時を経て今、現代の技術で新しく生まれ変わったのです。
昔と変わらない姿に懐かしさを感じる往年のファンから、新鮮に目に映るはじめてのユーザーまでレトロモダンな「PAKER51」の魅力的を、新旧の違いと合わせて紹介します。

歴史と共に語り継がれるPAKER51
PARKER51歴史
初代「PARKER51」はPARKER社の創業51年にあたる1939年に誕生しました。
このネーミングは、創業からの年数という意味に加えて、どの国においても、統一した商品名での販売を視野にいれた、野心的な戦略の意味も含まれていました。
1939年といえば、第二次世界大戦が始まった年で、その影響もあったのか発売になったのは1941年でした、発売と同時に革新的なスタイルが話題となり、筆記具でありながら「ファッション・アカデミーアワードデザイン賞」を受賞する偉業を達成しています。
はじめて世界に登場してから36年という長い間ずっと販売され続けてきた「PAKER51」は、その間になんと約2000万本もの数が作られたという実績を持つ、世界のスタンダードと呼べる万年筆です。
「PAKER51」の特徴

万年筆っぽくない独特のペン先が特長
キャップを外すと、目に飛び込んでくる可愛らしい小鳥の嘴のような形状のペン先は「フーデットニブ」と呼ばれる構造で、万年筆の大きな特徴である金属製のペン先が、まるでフードに覆われように先端部分しか見えません。
これはペン先をドライアップ(インク乾燥)から防ぎ、掠れることがなく滑らかに文字を書き出すための工夫で、他にはあまり類を見ないペン先構造になっています。また、ペン先を保護するという役目も担いながら、一定のしなりを保ちつつペン先が安定することで、万年筆がはじめての人でも、その書きやすさを実感できるはずです。
「PAKER51」のペン先と軸がまるで一体化したような美しい流線型のフォルムは、「万年筆」という言葉から伝わる敷居の高さや、仰々しさを感じさせないフレンドリーさを醸し出しています。

女性にも優しい軽いスクリューキャップ
旧PAKER51からキャップの開閉方式が大きく改良されました。
旧モデルはカチッとはめ込む嵌合式(かんごうしき)でしたが、新モデルではキャップ内の密閉性を向上させるために、スクリューキャップ式に変更。
また、手の当たりを極力少なくできるように開発されたねじ切り構造を採用して、他の万年筆よりもキャップの回転が少なく開閉する事ができ、嵌合式に負けない速記性も備えています。

インクはコンバーターとカートリッジの両様式
長い歴史を持つ「PAKER51」の旧モデルは、販売期間中にいくつかの改良が加わり、インクの吸入方式も様々でした、2021年の新しいモデルではカートリッジとコンバーターの両方が使える、現在もっともオーソドックスなスタイルを採用しています。
本体には専用のコンバーターが付属しているので、お好みのカラーインクで筆記を楽しむことができるほか、手軽にインク交換ができるカートリッジ派の人にも、安心して使える仕様です。
2つの「PAKER51」

手頃な価格で購入できるコアライン
復刻された「PAKER51」には2つのラインナップが用意されています。
「コアライン」はコストパフォーマンスに優れたエントリーモデルとしての位置づけで、ステンレススチールのペン先を採用して求めやすい価格に設定されています。
また、4色のカラーバリエーションがあるのは「コアライン」だけの特徴で、近年万年筆を日常の筆記具として愛用する女性ユーザーを意識したラインナップが揃います。

14金の本格派プライムライン
金ペン仕様の「PAKER51」が欲しいという方には、ひとランク上の「プライムライン」(ペン先18金)も用意されています、ゴールドに輝くキャップは「コアライン」よりもさらに上質な存在感を漂わせます。
プライムラインにのみ、字幅F(細字)とM(中字)があります、中字が欲しい人には「プライムライン」がオススメです。

世界でもっとも愛された万年筆
PAKERから新製品が発売されるのは、2011年に5th(第5世代)筆記具として話題をあつめた「インジェニュイティ」以来、実に10年ぶりになります。
文房具の専門誌や大人の趣味の雑誌などを眺めていると、毎号新製品の情報が溢れていることを考えると、「えっ!」と思わず声が漏れそうになりますが、ひとつの製品を長く作り、販売し続けることは、ある意味ユーザーにとっての1番のサービスだと思います。
「PARKER51」のコンパクトな筐体は、女性のしなやかな指先にもよく似合い、小さくても筆記性を損ないません。
いつでもどこでも筆記する楽しさを体験できる万年筆として、令和の時代にも、きっと「世界でもっとも愛された万年筆」と呼ばれつづける1本になるはずです。
PARKER51ラインナップ
万年筆コアライン
・ミッドナイトブルーCT
・ブラックCT
・バーガンディCT
ペン先:ステンレススチール
字幅:F(細字)のみ
価格:13,200円(税込価格)
万年筆プライムライン
・プライムGT
・ブラックGT
ペン先:18金
字幅:F(細字)・M(中字)
価格:36,300円(税込価格)