「料理好き」じゃなくたっていい 『ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん』著者インタビュー

文=柳瀬徹
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「人に見せられない料理」が気になる

――料理できるのに「得意じゃない」と言ってしまう心理って、「映え」の問題もありますよね。僕も「人様に見せるほどのものでは」と思うタイプです。

ぶたやま ホームパーティーの料理とか、おもたせのイメージが強いのでしょうね。「とても人に見せられるようなものじゃないから」と言われると、「人に見せられない料理って何?」ってがぜん気になってしまう(笑)。見せられないって何? パンツを履いていない料理ってこと? みたいな(笑)

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イラスト:金沢詩乃(@shinop_k

――ぶたやまさんにごちそうになった料理はどれもおいしかったけど、「映え」とは違う魅力があって、なんというか「信用できるごはん」でした。さすがにパンツは履いてたと思うけど(笑)。

ぶたやま 今はSNSで、他人の食卓が見えるようになったじゃないですか。お互いに「とても人に見せられない料理」を見せ合えば楽しいし、みんながラクになるかも知れないな、と思っています。

――でも人に食べさせるのは、少し勇気がいるかな。学生時代にカレーを作りすぎちゃって、近所の友だちに「食べにこない?」と電話して即座に断られたことを、いまだに根に持っているのかも知れません。

ぶたやま 私がもし学生時代に料理に目覚めてたら、さぞかし厄介だったでしょうね。やたらと友だちに食べさせたがる。お義理で少しでも褒めたら、調子に乗って止まらなくなる。

――あだ名は「タッパー」で(笑)。

ぶたやま 「タッパー、またお前のこと見てるぞ」みたいな(笑)。「あいつから借りたタッパー、洗っても洗っても何かが流しきれない気がするんだよ」とか言われてそう。

――本の中には「名もなきレシピも立派な料理」という言葉がありますが、普段からSNSで「名もなきやり過ごし料理」を見せ合えれば、ごはん作りへの抑圧は少し軽くなるのかも知れませんね。

ぶたやま 私が「やり過ごしごはん研究家」と名乗っているのは、もちろんプロの料理人ではないし、プロの料理研究家の技術や発想の凄さも少しはわかっているからこそではありますが、毎日「やり過ごしごはん」を作り続けることもけっこう凄いんだぞ、という主張でもあります。本をきっかけに、人に見せられない料理を見せ合う人が増えると嬉しいですね。

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