嫉妬心や誹謗中傷…SNSとの適切な付き合い方を臨床心理士に聞いた

文=小澤佐知子
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Getty Imagesより

 ブログやInstagram、Twitter、Facebookなど人々の生活を覗き見できる現代。他者の充実した生活に嫉妬心を抱いてしまう人は少なくありません。そして、他人の喜びや幸せに対して悪感情や意地悪な目線が芽生える自分に嫌悪してまいそう……。

 そんな負の感情やモヤモヤの原因の正体、そしてこれらを“デトックス”するにはどうすればいいか、臨床心理士・公認心理師の吉田美智子さんに話しを伺いました。

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吉田美智子
「はこにわサロン東京」代表。臨床心理士、公認心理師、東京都スクールカウンセラー。外資企業勤務を経て38歳で心理学大学院へ。「自分らしく生きる・働く・子育てする」を応援。モットーは「わかりやすく伝える」こと。

感情を乱す情報やニュースとは距離をおく

――なぜ私たちは、SNSで見た他人の生活に嫉妬したり、自分と比較して落ち込むのでしょうか?

吉田さん:私たちは社会的な生き物ですから、他者の様子に関心を持つことは自然なことです。これは、見知らぬ人よりも知人や身近な人に強い関心を向けます。SNSに限らず、知人の成功や幸せに共感できる反面、悔しさや悲しさを感じたり、落ち込むことはごく一般的な感情です。

 SNSの登場によって、他人の幸福に容易にアクセスできるようになったため、よりそのような感情が起こりやすくなったといえます。

―― 一方で、SNSと程よい距離を保てる人、SNSで繰り広げられる世界に引っ張られない人もいます。両者の違いは、どこにあるのでしょうか?

吉田さん:ひとつは、SNSの使い方。例えば、目的の仲間とつながる、仕事上の情報収集で使う、そのような場合は自己開示も限定的で、自分への影響も少ないでしょう。ところが、パーソナルな情報発信や私事のアピールが目的になると、他者に嫉妬心を抱きやすくなるのではないでしょうか。

――では、自分がSNSに振り回されていると感じた場合、どうすれば心の安定につながるでしょうか?

吉田さん:やはり、情報ツールと距離をおくことです。SNSは便利なツールである反面、使い手が翻弄されやすい面もあります。感情を乱す情報やニュースに自分からアクセスする必要はありません。

SNSで誹謗中傷をする人の心理

――近年、SNS上の人権を侵害するような誹謗中傷が問題視されています。なぜ、このような問題行動に至るのでしょうか?

吉田さん:SNSでは匿名で変身することが可能です。普段は自制できる暴力的・破壊的な一面がコントロールされずに発出するケースがあります。社会から取り残されている疎外感や、損しているのではないかという被害感情などが、匿名で暴発するのです。ただ、暴力性や破壊衝動は誰もが持つ感情であり、すべての人が認識しておくことも必要です。

――具体的にはどうすべきでしょうか?

吉田さん:自分なりのイライラ解消法を持っておくことです。また、主張すべき時には怒りの感情も抑え込まない。心身のメンテナンスを怠らないようにすることです。

――心身のメンテナンスとは?

吉田さん: ‟自分を労る”ということに尽きます。疲労していれば、じゅうぶんな睡眠をとる、ハーブティを飲んでリラックスしようなど、ささやかなことでいいんです。自分を労ることができる人は、嫌な出来事に遭遇しても深い傷を負わずに済みます。

――ネガティブな心が暴走しないためにも、自分自身を労うことが大切なのですね。

吉田さん:そうですね。心の疲労を溜めないためには、自分を責めないこと。そして、日常生活を整えることも重要です。時には、デジタルデトックスも必要です。自分への‟労い”を意識するだけで、心に軽やかさが生まれます。ぜひ、意識してみてください。

(取材・文=小澤佐知子)

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