超吸収型サニタリーショーツBé-A〈ベア〉に込められた思いを訊く 「生理の悩みを理由にやりたいことを諦めないで」

文=雪代すみれ
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Getty Imagesより

 国内で急速に「フェムテック」への関心が高まっている。フェムテックとは「female technology」を略した言葉で、女性の健康に関する課題をテクノロジーで解決するサービスや製品のことだ。

 中でも注目を集めているのが「吸水ショーツ」。吸水ショーツを身に着けることにより、ナプキンを使わず生理期間を過ごすことができる。吸水ショーツは臭いや伝い漏れ、肌のかぶれなど生理に関する悩みを解消するアイテムであることに加え、洗って何度も使えるため、サステナブルな観点からも評価されている。

 「望めば変わる。人生も、世界も。」——そんな想いを掲げている超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A〈ベア〉(https://withbe-a.com/)」(以下、Bé-A)。

 Bé-Aは、2020年6月から45日間クラウドファンディングを行い、1億円以上の支援金を集めた。2020年7月末からはオンラインストアでの販売を開始、現在はAmazonや伊勢丹新宿店本館、阪急うめだ本店、「LOFT」の一部店舗などでも購入できる。

 今回は、製作の過程や商品の特徴、消費者からの反応について広報担当者に話を聞いた。

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社名の由来は「Girls be ambitious」(株式会社Bé-A Japanより提供)

1日中穿いても安心できる吸水ショーツを

——Bé-Aの製作にはどのような思いがあったのでしょうか。

 「女性特有の悩みで何かを諦めることがないように」という思いがありました。女性たちから「仕事中になかなか自分のタイミングで取り替えられない」「漏れてしまった」といった悩みを聞き、生理が女性の社会進出を阻む要因になっていると感じたんです。

 定期的に取り替える必要がないショーツを作ることで、生理であることを気にせず仕事や家事に集中できるのではと考え、開発に至りました。

——開発で苦労したことはありましたか。

 まず、私達はアメリカで流通している吸水ショーツの存在を知ったのですが、試してみたところ、すぐに漏れてしまうものもありました。そのため、海外製品を輸入するのではなく、改めて作る必要があると考え、日本での開発に入りました。

 日本人の綺麗好きという特性から、「ショーツを取り替えずに1日過ごすことが受け入れられないのでは」と、最初は何社にも製作を断られました。そうした中で、ようやく辿り着いたのが国内屈指の尿漏れショーツを手がける工場で、結果的に完成まで2年半かかりました。

——この1年で急激に国内の吸水ショーツの種類が多くなったように感じますが、特にBé-Aが力を入れている部分についてお伺いします。

 Bé-Aが大切にしていることは「一日中穿いていても安心できる」という点です。そのため吸水量の多さには力を入れています。一般的に最も多いとされる2日目で30~50mlと言われているのですが、Bé-Aはその約3倍の約120ml(※)の吸水量があります。量には個人差があるので、心配であれば使い捨て商品と併用していただくことも可能です。

 また腹部は2 枚重ねの生地でおへそまですっぽり覆い、冷えや痛みから守る温もり設計にしています。

 お手入れが簡単であることも重視したポイントです。体調が優れないときに手間のかかるお手入れはしたくないですよね。Bé-Aの超吸収型サニタリーショーツは、水またはぬるま湯で3~4回すすぎ、水が透明になったらかるく絞り洗濯ネットに入れ、洗濯機で洗濯できます。

 今年3月には、サイズや構造の見直しを行った「ベア シグネチャー ショーツ02」の販売を開始しました。「S/M/L/XL/3L」の5サイズ展開に変更しており、よりピッタリなサイズを選んでいただけたらと思います。また、吸水布・防水布の範囲を広げたり、横漏れ防止テープを搭載したり、より漏れにくい設計にアップデートしています。

——使い続けているうちに吸水量は落ちないのでしょうか。

 100回洗濯をしても、約120mlの吸水量(※)を維持していることは、公的検査機関による試験で実証しているのですが、経年劣化による生地の寿命はあります。通常のショーツと同じ感覚で使っていただければと思います。

——デザインがボクサータイプであることも、Bé-Aの特徴だと感じました。何かこだわりがあるのでしょうか。

 女性用の下着にはフリルがついているものや、淡い色のものが多いですが、そういったいわゆる“女性らしい”デザインを好まない方も少なくありません。また、トランスジェンダーの方からは、「サニタリーアイテムを購入することや、生理があること自体がストレスに感じる」といった声も届き、シンプルな黒のボクサータイプを最初に製作しました。

 Bé-Aでは穿き心地と安心感を大切にしているので、ボクサー型にすることでより漏れにくい構造にすることができたことも理由の一つです。

可視化された障がい者の生理の悩み

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ベア シグネチャー ショーツ 02(株式会社Bé-A Japanより提供)

——まもなく販売開始から1年になりますが、消費者からはどのような意見が届いていますか。

 「こういうショーツを待っていた!」という声をたくさんいただいています。ムレや臭いで仕事に集中できなかったけれども、Bé-Aの超吸収型サニタリーショーツを使ったことで悩みが解消されたという声や、「憂鬱でなくなった」との声もあり、嬉しく思います。

 また、医療従事者の方からは「制服が白や薄い水色で、万が一漏れてしまったら目立つので、常に漏れないか気になってしまう」「平時でも自分のタイミングでトイレに行きにくいうえに、新型コロナが流行してからは何重にも防護服を着るので、取り替えたくてもなかなか取り替えられない」といった悩みがあり、「1日中取り替える必要がないのは助かる」といった意見もありました。

——今年2月にはジュニア向けの製品「ベア ペティート シグネチャー ショーツ」の販売も開始されましたよね。

 昨年6月にクラウドファンディングを実施した際、「娘にも使わせたい」というお声をいただき、そこで得た資金をもとにジュニアラインの製作に入りました。

 「ベア ペティート シグネチャー ショーツ」も、機能とデザインは大人向け製品と同じなのですが、吸収体の色だけ大人向けと同じ黒ではないんです。大人は自分の量やどこに出るのかなどを把握していますが、お子さんは周期や量が安定していない場合もあり、目で見て確認できたほうが安心できます。そのため、「自分の身体やリズムを知る」という性教育的な観点からも、吸収体の色をグレーにしています。

 また、障がいのあるお子さんの保護者の方からもたくさんお声をいただきました。知的障がいのあるお子さんは、生理自体の認識が難しかったり、サニタリー用品を何のためにつけるか理解ができず外してしまうこともあります。その他にも、たくさん出ていても気にならず、何時間もナプキンを取り替えないため漏れてしまう、ナプキンの羽根をしまうことが難しいなど、様々な悩みがあることをお伺いしました。

 加えて、障がいのある子どもの親御さんからは、「相談できる場所も悩みを共有できる場所もなかった」とも打ち明けていただきました。つい最近まで生理自体がタブー視されており、女性同士でも気軽に話せるものでもなかったと思うのですが、障がいのある方の生理の悩みは、より可視化されていなかったのだと気付かされました。

 子どもだけでなく、身体障がいのある大人の方からも、「サニタリー用品の交換に介助に入ってもらっているものの、お願いするのも心苦しかったので、日中の交換の必要がなく助かっている」といったお声もいただいています。

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