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■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A
Q. 虫よけは、どんなものを選ぶべき?
A. 12歳未満の場合はイカリジン、 それ以上ならディート配合の虫除けもOK
毎年、梅雨前くらいから、蚊に刺されることが多くなりますね。蚊に刺されるとかゆくなったり腫れたりするだけでなく、日本脳炎やデング熱、ジカ熱、マラリアなどの蚊が媒介する病気も心配ですね。実際、2014年にはデング熱、2015年には日本脳炎が発生しました。そのため、2016年には、昆虫忌避剤のディートとイカリジンを高濃度で配合した虫除けの製造が許可されるようになりました。ですから、虫除けは、このディートまたはイカリジンを配合したものがおすすめといえるでしょう。ただし、それぞれに違いがあります。
<ディート>
年齢と使用回数についての制限があります。6か月未満の子は使えません。6か月以上2歳未満は1日1回、2歳以上12歳未満は1日1〜3回までしか使えません。効果の持続時間は、濃度が10%のもので2時間、24%のもので5時間です。
<イカリジン>
年齢や使用回数についての制限はありません。効果の持続時間は、5%の濃度のもので6時間です。
つまり、小さな子どもの場合は、年齢や使用回数に制限のないイカリジンがいいですね。濃度に対して持続時間も長いので便利です。12歳以上なら、ディートでもいいですね。
この二つ以外に、ユーカリ油には低濃度のイカリジンくらいの効果があるという報告がありますが、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が3歳までは使用しないよう勧告しています。そのほかにもハーブなどを使った虫除けがたくさん売られていて、「天然だから安心」などと書かれていることが多々あるのですが、上記以外のものは効果が確かめられていません。また、腕につける虫よけリングや網戸に下げるタイプも効果が確かめられていなかったり、「蚊には効果がありません」と書いてあったりします。医薬品や医薬部外品でなく雑貨の扱いで、蚊を対象にしたものはありませんから、使っていても蚊に刺されるでしょう。説明書きをよく読むようにしましょう。
虫除けと並行して使うといいのは、部屋では香取線香(できたら火を使わないタイプ)を使う、蚊帳をつる、屋外では長袖長ズボンを着たり、ソックスと靴を履いたりなどするといいでしょう。蚊に刺されやすい人は足の裏の常在菌の種類が多いという研究もありましたから、外出前に除菌ティッシュで足を拭いたり、やはりサンダルではなく、靴下と靴をはいたりすると刺されにくくなるかもしれません。
実際に蚊にさされたら、市販のかゆみ止めを塗りましょう。早めに塗ると効果的です。かゆみ止めパッチでもいいのですが、赤ちゃんが口に入れないよう注意しましょう。よく「セロハンテープを貼るといい」「塩で揉むといい」「熱湯をかけるといい」などという説がありますが、どれも効果がありませんし、お湯をかけるのは危ないのでやめましょう。なお、すごく大きく腫れた場合は、ストロフルスといって蚊の唾液に対する過剰反応が起こっているので冷やしたり、小児科や皮膚科でステロイドをもらって塗ってください。
蚊にさされると、子どもは思いっきりかいてしまって傷を作り、そこに黄色ブドウ球菌が繁殖し、とびひになることも。そうなると、対処が大変ですので早めのケアが大切です。
<今回のポイント>
○ 効果が確かなのはディートとイカリジン
○ 小さい子にはイカリジンがいい
○ かゆみ止めは早めに塗る

森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK ~いつものケアから不調のときの対処法まで』(内外出版社)