育児経験者なら誰もが感じたことがあるであろう、子どもに対する「◯◯できなくてごめんね」という罪悪感。そんな思いを抱いた時の“肩の力の抜き方”を解説しているのが、あらいぴろよさんの著書「『ごめんね育児』をやめてみたら、肩の力を抜けるようになりました」(光文社)です。
同書では、イラストレーターとして活躍し、7歳の息子を育てる母親でもあるあらいさんが、小児科医や保育士などの専門家によるアドバイスのもと、育児でモヤモヤした際の対処法をわかりやすく漫画で紹介しています。
今回は、同書を作ることになったきっかけや育児を通して感じたことについて、あらいさんにお聞きしました。

あらいぴろよ
イラストレーター。7歳男児の母。 実写映画化もされたコミックエッセイ『“隠れビッチ”やってました。』で漫画化デビュー。 著書に、『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』(主婦の友社)、『美大とかに行けたら、もっといい人生だったのかな。』(光文社)、『虐待父がようやく死んだ』(竹書房)など。
――はじめに、この本を作るきっかけについて教えてください。
あらいさん:私はもともと親に虐待を受けて育ったので、「自分はそんな親にはならない」と心に決めていました。ところが、いざ子どもが生まれてみたら、親にされたことを半分繰り返しているような状態になってしまっていたんです。
その理由を考えた時に、自分に余裕がない上に、“普通の家庭”の在り方がわからなかったということに気づいて。子育てで「辛い時は肩の力を抜けばいい」と言われても、具体的にどうしたらいいのかわからなかったんです。
その頃の自分を振り返って「肩の力を抜いて育児をする方法をもっと早く知りたかった」「こんな思いをしているのは私だけじゃないかもしれない」と思い、『ごめんね育児』の企画を出させてもらいました。
――あらいさんが育児をする中で、一番ツラかった時期はいつでしたか?
あらいさん:息子が新生児の頃は心身ともに極限状態でしたね。それまで新生児を見たことがなくて「こんなに脆そうだけど大丈夫かな?」と不安だったし、ホルモンバランスが乱れていたせいか、あまり眠れなかったので。
その後も、離乳食について悩んだりはしましたが、息子が2歳になってイヤイヤ期に突入してからは、少し楽になりました。たとえ「イヤ!」程度でも意思を伝えてくれるようになったことで「私はもうこの子のことを“死なせないよう”にお世話する必要ないのだ」と感じたんです。これからは、私は助けるだけ、見守るだけでいいんだと。
――育児がツライと感じていた時、誰かに相談しましたか?
あらいさん:会話すらめんどくさいし、自分の気持ちを言葉にできるような状態ではなかったので、誰にも相談しなかったです。夫は仕事があるので、もし私が頼ったことで共倒れになってはいけないと思っていたのと、誰かに悩みを相談してもその人が子どもの面倒をみてくれるわけではないという気持ちが強かったので。
――自分一人で頑張ろうとしていたんですね。
あらいさん:そうですね。妊娠中のつわりや出産の痛み、母乳を出すまでの痛みなんかを経験したことで「母親は痛みを我慢するもの、頑張らなきゃいけないもの」と刷り込まれた感覚があって、自分を追い詰めることに抵抗が無くなっていたんです。今となっては、自分が無理をしているせいで「子どもと一緒にいることが楽しくなくなってしまっては意味がない」と思えるんですけどね。
――育児がツラかった時期は夫にも頼れなかったとのことですが、当時を振り返ってパートナーには何をしてもらいたかったですか?
あらいさん:夫は仕事が激務で、家事・育児を平等に分担することは現実的ではなかったので、一時保育や家事代行の登録をしてほしかったです。実際に利用しなくとも「もし私がダメになった時に頼れるものがある」という、お守りのような存在があるだけでも安心感が生まれると思います。
「家事や育児を人に任せることにお金を使うのは無駄」みたいなイメージがありますが、一番大切なのはツライ時期を乗り切ること。一時保育や家事代行にかかるお金は、ミルク代やオムツ代と同じ“必要経費”として考えてよいのではないでしょうか。
――当時のご自身が、肩の力を抜くためには何が必要だったと思いますか?
あらいさん:完璧を目指さなくてもいいと気づくことです。余裕がなかった頃は理想の子育てをしようとしていたんですが、いまは「今日を生きて、怒らずに過ごせたんならいいんじゃない?」と思えるようになりました。
ただ、私もそうだったのですが、余裕がない時って誰かのアドバイスに聞く耳を持たないんですよね。でも、しんどいと感じたり、イライラしたりしてしまうのは無理している証拠。そんな時こそ、肩の力を抜いてみようかなと考えるべきタイミングなのかもしれません。
――最後に、妊娠中や育児中の読者にメッセージをお願いします。
あらいさん:育児ってどんなに知識を備えていても、子どもの個性や性格が大きく関係するので、結局は“出たとこ勝負”だったりします。親子で相性が合わないこともあるし、いつも子どもと仲良しでいることを無理に目指さなくてもいいんです。お互いが元気に生きて、育児は「楽しいけど、ツラい。でもやっぱり悪くないな」って思えるくらいで大丈夫です!

「『ごめんね育児』をやめてみたら、肩の力を抜けるようになりました」より

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