2020年の緊急事態宣言から以降、自宅で受け取る宅配便って増えましたよね。たいていの荷物はダンボールに梱包されて配送されると思うのですが、その際に困ったことはありませんか。
例えば、宛名の処理。個人情報保護の観点から、宛名はダンボールから剥がして別に捨てる方も多いと思います。でも、その宛名、そのままただゴミ箱にポイで安全でしょうか。印字されている住所、本当は読めないようにしたほうが安心なのではないでしょうか。
例えば、ダンボールの開封。キッチンや机上に置かれたカッターやはさみなどを使って、テープ部分を切っていませんか。うまく切れなくて焦ったり、あるいは切れすぎて中身まで傷つけたりしていませんか。
過去にも、宛名を見えなくする専用道具と、ダンボール開梱の専用道具はたくさん製品化されています。ただ、これらが一体化した製品はあまり見当たりません。
今回ご紹介するプラスの「ローラーケシポン箱用オープナー」は、ご家庭の玄関先に常備すると便利な、宛名消し道具と開梱道具が一体化した優れものです。
ケシポンシリーズは、プラスが2007年12月に発売した初代モデル「ケシポン」から始まった個人情報保護スタンプです。
2005年4月1日、「個人情報の保護に関する法律」が全面施行され、これ以降国内にも個人情報保護の機運が高まっていきます。調査によると紙媒体による情報漏洩が最も多く、企業ではシュレッダーによる廃棄措置が必要不可欠となりました。
翻って個人ではとなりますと、シュレッダーは大仰ですし、漏洩といってもほとんどが宛名による住所情報です。これが「読めなくなれば」問題はない、という観点からプラスは研究の結果、アルファベットを特殊配列したスタンプによる目隠しを考案します。
ケシポンは販売後その個数を順調に伸ばし、2008年の日経トレンディ版ヒット商品ベスト30で10位に入るほどの注目商品となりました。ちなみに、この年日本で発売されたiPhone3Gは11位です。
プラスは製品に改良を重ね、インクの供給がよく連続作業が可能となった「ローラーケシポン」を2010年5月に発売します。ここから主流はローラータイプに移行していきます。
今回のローラーケシポン箱用オープナーも、その名の通りローラーがインクを転写するタイプです。
ボディデザインは座りのいい釣り鐘型で、置いた際に容易に転倒しない形です。上は平たくつまみやすくなっていますので、上面を持って下面の色違いになったふたを軽く捻ります。取り出したローラーは剥き出しですので、手で触れないようにご注意下さい。
過去のローラーケシポンはインクの乾きが遅く、特にインクが浸透しない感熱紙やコート紙ではいつまで経っても乾かないので、手で擦ってしまって汚れるというトラブルがありました。今回の製品ではそのインクに改良が加えられ、宅配便のラベル、レシート、圧着式葉書の内面(手で引っ張ってぺりぺりと剥がすお知らせの葉書ってありますよね)やラミネート紙など、つるつるした紙にも使用ができます。
さきほどつまんで持った平たい上部に、箱用オープナーが収納されています。
刃は厚みを持った丈夫なステンレス鋼。欠けた穴から顔を出していますので、刃の中に穿たれた穴に指先をかける要領で引き出して下さい。ロック機構はないので、引き出す際に力を入れる必要はありません。
一番上まで刃を引き出すと、かちりとロックがかかります。これで刃は固定されました。
切断面にはセレーションが入っていて、指が切れるような鋭利な加工は施されていません。このギザギザには、紙の粘着テープや布テープ、また透明なOPPテープのような滑って裂きにくいテープでもざくざくと切っていく効果があります。
とはいえ、実際に使用する際には刃先のほんの数ミリだけが活躍することになります。本体を軽く持ち、刃先を深く入れない状態で押し当て、ゆっくりと引いて切ります。刃には厚みがあって丈夫なので、作業中に折れ曲がってしまったり、あるいはテープとダンボールの溝を外れてダンボール自体を切断してしまう、などといった事故を未然に防ぐ効果があります。
刃先は後部にあるロックレバーを引くことでリリースできます。レバーを引いたまま、もう片方の手で刃先を持ち、ゆっくりと折り曲げて下さい。収納時のロック機能はありません。
この収納を忘れると危険です。確かに手が切れるような加工はされていませんが、このパーツが刃物であることは常に意識しておいたほうがいいと思います。
開梱し、個人情報を保護し、玄関や机上などに単体で置きやすい。本製品は今後、宅配を受ける際に家庭でなくてはならない存在となることでしょう。
(他故壁氏)
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