SDGsは環境問題だけではない 遅れをとる日本のジェンダー平等

文=雪代すみれ
【この記事のキーワード】

SDGsは一つの目標を達成すればいいものではない

——SDGs市民社会ネットワークとしては、遅れをとっている分野に対してどのようなアプローチを行っているのでしょうか。

長島:SDGsでは「だれひとり取り残さない」ことが掲げられています。その観点から、女性、障害のある人、海外にルーツのある人など、声を届けにくい人たちの当事者団体と連携しながら、日本政府に声を届ける政策提言活動を行っています。

 SDGsは17のゴールで一つです。日本が遅れをとっている5つの目標について、達成されないゴールがあることで他のゴールにどう影響するか、映像を作成して伝える活動も行っています。

——17のゴール及び169のターゲットを見ると、正直、スケールが大きく感じてしまうのですが、取り組むと決めた目標以外については、どのような姿勢であるべきでしょうか。また、特にジェンダー分野で個人で何かできることはありますか。

長島:無理やり全部取り組もうとすると負担が大きくなってしまいます。なので、別々のゴールを紐づける考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 例えば、気候変動は、ここ数年の日本を見ていてもわかるように「想定外の災害」を招きます。そうすると、被災者は避難所に行く必要が出てきますが、避難所では男性がリーダーとなることが多く、女性の意見が反映されにくいがゆえに、生理用品のような女性が必要としている物資が届かないといった問題が生じたこともありました。

 また、公正な教育の点でも理系に進む女子や、大学院に進学する女性が少ないことについて、「なぜなのか」という視点を持つことで、教育とジェンダー平等のゴールの繋がりに気付くことができます。

 個人で出来ることとしては、「私もできる」と自信をもてるかどうかだと思います。ジェンダーギャップ指数でも示されているように、日本では、リーダーやマネジメント職に就く女性が少ない・就きにくい状況があります。そのため「自分にはリーダーはできない」「自分にはマネジメント能力がない」と考える女性も少なくないのですが、本来、同じような経験をしていたら性別関係なく誰がやってもいいはずです。

 ただ、ジェンダーギャップ指数では、女性の管理職割合が見られていますが、必ずしも管理職になる必要はなく、仕事・家庭・地域など自分が属するコミュニティの中で、自分が置かれている状況に対し、どう責任を持ってポジティブに関われるか、チームに対する意識の変革が大事だと思います。

 そのために、「自分の得意なこと・苦手なこと」について考えてみてください。小さなことでもかまわないので、「自分の得意なこと」を知っていることで自信につながります。また、自分の得意・不得意の線引きができると、チームで協力が必要なときに、自分ができることを伝えられますし、できないことを無理に抱え込むこともなくなります。

 今はボランティアやインターンシップで、やってみたいことが自分に合うか試すこともできます。就職してから「全然向いてなかった」と気付くと、合わないながらも続けるのか、転職するのか……とその後の選択のハードルが高くなってしまいますが、ボランティアやインターンシップを通じて自分の苦手に気付く経験ができることは、決してネガティブなことではないですよね。

——最後に、SDGsで日本が遅れている分野の目標について、今後どのような取り組みが必要でしょうか。

長島:まず、もっとデータが必要だと考えています。国としてSDGsに関するデータは出しているものの、抜け落ちている分野があったり、包括的なデータではないんですね。データを取り分析し、それをもとに政策に反映していくプロセスが大事なので、何が本当に足りていないのか、どんな対策が必要なのかを明確にする必要があります。 

 ただ、データで全ての声が拾いきれるわけではなく、データから抜け落ちた声ほど、支援を求めている人である可能性があります。例えば、アンケート調査をネット上で行ったとすると、ネットにアクセスできないほど困窮している人の声が届きにくいといった問題が生じます。

 今日出たお話の中でいうと、ジェンダー平等であったらLGBTQ当事者の声を聴いているかとか、男性の産休・育休に関してだったら本当に育休を取ろうとしている男性の声が反映されているかとか、今後、当事者や関係者の声を聴くプロセスはより重要になると思います。

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