いきすぎた自然派&キラキラスピリチュアルの有名人、この二人に極まれり!

文=山田ノジル
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GettyImagesより

 2回にわたりお届けしてきた「あの人は今」シリーズ(いつの間にかシリーズになってる)。ひとまずラストとする第3回目は、前回の「渋谷系」後に登場した、ラスボス感漂う物件です。それは、ミュージシャンのUA&作家の蝶々。まばゆいオシャレ界は消え去り、ディープな異次元へ……。

 UAがメジャーデビューしたのは、渋谷系が終わりに向かいつつある1995年。野性味あるビジュアルにハスキーな歌声。民族音楽テイストも取り入れた楽曲がハマって最高にカッコよく、クールな原始世界を見ているような気持ちになったものです。大ヒットとなった「情熱」リリース当時、その素顔はあまり知られていなかったように思えますが、その後結婚・出産・再婚したことで私生活にも注目が集まると、イメージそのままの……いやいや、想像以上の人物であることが明らかになっていきました。

 UAは現在4児の母ですが、長男(俳優の村上虹郎)以外を自宅出産しています。当連載の前2回でも、吉川ひなのやカヒミ・カリィなど「自然派ママ」は登場していますが、UAのそれは自然派を通りこし、野生みを感じてしまう。長男出産後に再婚したクリエーターの夫の存在も大きく、自宅出産を当然のものとし「お金を払って助産師を呼ぶこと」すら反対したというエピソードが、子育てライフスタイル誌で語られていました。つい先日、吉川ひなのが第3子を自宅出産した旨を報告していましたが、水中出産のためにビニールプールを室内に設置した様子を「自分専用分娩室」とInstagramにアップしていたキラキラ報告すら、薄っぺらく感じられてしまうガチ度です。

家族の命が危ない!?

 出産だけでなく、夫がスズメバチに刺されたエピソードも凄まじいものがあります。過去にも刺されたことがある夫は、再度刺されることの危険を知っていたため、アナフィラキシーを起こすと用意していたエピペン(症状を緩和するために、自己注射する補助治療剤)をUAに手渡したそう。ところが「それを打つのがすっごいイヤ」だからと、自己判断で代わりにレメディ※を与えたうえ、塩・ワカメ・ドクダミ等を入れた風呂につけたそう。レメディはただの砂糖玉ですから医学的にはなんの根拠もなく(あるとすればプラセボがせいぜい)、普通はエピペンを打ったあと、即病院というのが標準医学の一般的な対応なんですが、UAの感性がそれを許さなったということです。幸い症状は治まったとの話ですが、生きててラッキー、つまりは下手すりゃ死んでたこの出来事を鼻高々にインタビューで語るワイルドさよ。

※レメディ=民間医療や伝統医療しかなかった時代、欧米各国で「副作用がない治療法」として広がった「ホメオパシー」で使われる治療薬。植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振盪(しんとう)する作業を10数回から30回程度繰り返して作った水を、砂糖玉に浸み込ませたもので、要はただの砂糖玉。実践者たちには「物質の記憶が残っている」と信じられている。

 UAといえば、2010年に相模原市の自宅が火事で全焼した事件を、覚えている方は多いでしょうか?(原因は薪ストーブ)。これは長男がラジオでそのときのエピソードを語り、ネット記事でも取り上げられていましたが、当連載的には火事の怖さよりも「喘息で体が弱い」のに、「母(UA)が西洋医学を嫌うので、漢方薬を飲もうと夜中に起きた」という点に釘付けとなりました。アナフィラキシーショックを起こした夫にも、喘息の息子にも、野生派ママは西洋医学を徹底して排除。でも漢方はOKとするのも(自然だから?)、自然派あるあるぅ……。

 その後は沖縄移住を経て、現在は一家でカナダの島へ移住。ラジオ番組の出演時で「すごい自然なんでしょう?」とふられると、「でも熊は出ない」と回答するスケールの大きさ。ナウシカの世界で言うなら、「火を捨てた森の人」でしょうか(※火=文明やテクノロジーの比喩)。現在は「ワクチン危険」メッセージも発信しているようで、「接種によって自然免疫を破壊してしまうのではないか」と、某インタビューで語っています。

 こうしたネタを書くと「音楽が好きなだけで、私生活は興味なし!」という意見もあるようですが、影響力のある歌声が思想を広げていくのは、世の定石。UAの歌声が素晴らしいだけに、彼女のトンデモ発信が海より深い悲しみです。

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