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■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A
Q.あせものケアってどうしたらいいですか?
A.なるべくこまめに汗を流すなどし、ひどいときは小児科にかかりましょう
よく動き、よく遊ぶ子どもは、夏場になると大量の汗をかくことが多く、皮膚が薄くデリケートなこともあって、あせも(汗疹)ができてしまいがちです。あせもは、高温多湿の環境下で、汗がうまく蒸発しないことによって汗腺にたまり、炎症が生じることで起こります。
このあせもを放っておくと、どうなるでしょうか。もちろん、自然に治ることもありますが、子どもが皮膚のかゆみや痛みに困るだけでなく、細菌が入ることによってより強い痛みや腫れを伴う「汗腺膿瘍(かんせんのうよう)」になることがあります。また、手で引っ掻くことによって黄色ブドウ球菌などの細菌に感染し、「とびひ」になることも。とびひになると、少し離れた部分の健康な皮膚にも、まるで火事の火が飛ぶかのように細菌が広がり、治療が大変になりがちです。さらに、とびひは感染するため、プールや温泉などにも入れなくなってしまいます。
ですから、あせも対策は先手必勝です。汗をかいたら、できるだけこまめにタオルで拭き取る、なるべく手足だけでも公園などの水道で流す、家に帰ったらシャワーを浴びるようにしましょう。長袖長ズボンを着せるのもいいでしょう。薄手で涼しい素材の長袖長ズボンを着せればさほど暑くありませんし、汗を吸い取ってくれますし、日焼けや虫刺されやケガなどをある程度は防げます。一方、昔はお風呂上がりにベビーパウダーをつけるのが流行しましたが、これはパウダーが汗を吸収するためです。ただし、パウダーをつけすぎると、よれて炎症の原因になることがありますし、一度あせもができてからは悪化させるかもしれないので、やめたほうがいいでしょう。
そして、室内ではなるべく扇風機やクーラーを使って、ちょうどいい室温と湿度を維持しましょう。よく「扇風機やクーラーは体に悪い」という声を耳にしますが、病院では常に一定の室温と湿度をキープしています。むしろ、それは体に負担をかけないためです。空調を使うと、ある程度成長した子でも体温調節ができなくなるという説にも根拠はありません。「小さいときに涼しいところにいると、汗腺が発達しなくなる」と言われていますが、少しも汗をかかない生活をすることはほぼ不可能なので気にする必要はないでしょう。
実際にあせもができたら、小児科や皮膚科で診てもらって、効果的なローションや軟膏を出してもらってください。そして上記のようなあせもの予防法を併せて行うと、治りやすくなると思います。
<今回のポイント>
○ あせもは予防することが大切
○ こまめに拭き取る、洗い流す
○ クーラーや扇風機を使う
○ 薄手の長袖長ズボンを着る
○ あせもができたら小児科か皮膚科へ

森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK ~いつものケアから不調のときの対処法まで』(内外出版社)