しばらく前までは、ダンボールの開梱は工場や倉庫といった仕事の現場の光景で、家庭では年に数度あればいいところでした。でも今は、毎日のようにご家庭にもダンボールで荷物が到着する時代になりましたよね。
開梱作業に使用する道具も増えました。使い勝手のいい製品が数多く登場しています。中でもオルファの「カイコーン」は使い捨てとはいえ低価格で使い勝手が良く、現場だけでなくご家庭でも便利に使用されている方、多いんじゃないでしょうか。
「カイコーン」でダンボールの開梱が楽に!スムーズかつ安全な作業をサポート
年々増え続ける、インターネット通販による宅配。みなさまも昨今の新型コロナウイルス事情により出かける機会も減り、通販を利用することがさらに増えたのではないで…
ただ、使い込んでみると、便利なのは当然として、個人的な不満点も出てきます。
例えば、その薄さ。厚さは手許のカイコーンを実測すると4.5mm。しなるようなことはありませんが、ぐっと握るには薄すぎて不安定です。
例えば、テープスリッター。先端に樹脂の突起があり、ここを粘着テープに突き立てて破りながら引くのがカイコーンの開梱スタイルですが、テープの素材によっては切り裂きにくいものがありました。
例えば、ガードされたカッター刃。粘着テープを切り裂くと粘着剤が付着してすぐに切れ味が落ちてしまい、本体そのものはまだ新品同様なのに廃棄しなくてはならなくなることもしばしばです。
わたしが感じていた「握りにくい」「テープ素材によっては切り裂きにくい」「カッター刃の交換寿命が短い」問題は、きっとカイコーンのヘビーユーザーなら同意していただける不満点ではないでしょうか。
毎日使う道具ですから、もう少し高くても使い勝手のいいプロ仕様が欲しい──そう思っていたら、さすがはオルファ、専門メーカーです。わたしの不満をすべて解消した製品が登場しました。
それが今回ご紹介する「カイコーンPRO」です。
カイコーンは市場での参考価格が198円(税込)でしたが、カイコーンPROの参考価格は1,100円(税込)。カイコーンとカイコーンPRO、外観はぱっと見では似ているようですが、細かく見るとすべてがアップグレードされていることがわかります。
まず、不満だった厚さはぐっと増して、手許のカイコーンPROは実測15.2mmあります。この厚さであればしっかり握って力を入れることができますし、軍手をしての作業でも不安がありません。
テープスリッターは先端から後部に移動し、金属製になりました。刃物ではないので触っても切れませんが、薄くて丈夫なステンレス製のスリッターは切り裂くテープを選びません。
本体をぐっと握ってテープ面に突き立て、刺してから引いて切っていきます。ダンボールどうしが合わさった溝にスリッター先端が挟まり、そのままずれることなくまっすぐテープを切り裂くことができます。
テープスリッターは突出部分が5mmしかないので、深く切り込むことがなく梱包物を傷つけません。
また、蓋を側面からテープで覆って貼っている場合もありますよね。そうでなくても、側面に回り込んだテープを切るのは難儀なものです。そこで活躍するのが、先端に2枚装備されたカッター刃です。指が入らないように工夫されたガード部分をダンボールの隙間に入れ、カッターの刃を使ってテープを切ります。
このカッター刃もカイコーンより厚みが増し、より切断能力が上がっています。開梱用途としては海外輸入品などでよくあるシュリンクでぐるぐる巻きになったビニールの切断やPP結束バンドなどの切断ですが、ゴムシートやカーペットなどといった厚手のものを切る作業も不安なく行うことができます。
カイコーンPROのカッター刃は交換式です。本体前面にある赤いボタンを親指で握ってぐっと引き、カッターパーツを引き抜きます。入れるときは押し込むだけでパチンと填まります。固定はがっちりしており、作業時の大きなぐらつきなどもありません。背面にも同じボタンがありますので、どちらで操作してもいいですし、ボタンを引く動作が重くてやりにくいと思ったら前面ボタンに親指を、背面ボタンに人差し指をかけて同時に引くと楽に抜けます。
替刃は2個入りで参考価格440円(税込)、10個入りで参考価格1,936円(税込)です。
替刃の状態でも刃に指が入らないような配慮がなされています。ただ粘着テープの付着などはカイコーンと同条件ですから、使用し続ければどうしても交換は必要です。替刃は2個入りと10個入りを別売りしていますので、カッター刃の使用頻度が高い場合は10個入りをお勧めします。
テープスリッターが頭部から尾部に移動になったことで、現場作業されている方は少しだけ不便になることがあるかもしれません。以前のカイコーンは尾部に大きな穴が空いていて、ここにカラビナでセーフティコードを装着して落下や紛失の防止を行う設計でした。カイコーンPROでも不可能ではないのですが、本体が分厚くなった関係で小型のカラビナは装着できない可能性がありますし、尾部にテープスリッターがあるのでカラビナの移動に制約が生じます。実際に作業される方でセーフティコード必須の場合は、カイコーンPROとお手持ちのカラビナサイズを実際に合わせ、確認してみる必要があります。
とはいえ史上最強の開梱専用カッターとなったカイコーンPRO。プロの道具の便利さを、ぜひご家庭でもお試し下さい。
(他故壁氏)
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