ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。夏のボーナスの季節です。エン・ジャパンが発表した従業員数299名以下の企業に対する調査「2021年の夏季賞与」によると、支給予定としている企業は全体の80%とのことで、多くの企業でボーナスが支給されているようです。
皆さんはボーナスをどんな風に活用していますか? 「近いうちに使う予定はないので、良い預け先があれば……」と思いつつ、損することが怖くて投資もできず、日々の忙しさでそのまま放置という人もいらっしゃるのではないでしょうか?。 今回は選択肢の1つである個人向け国債について解説します。
個人向け国債と国債はちょっと違う
日本の国債に投資をするということは、「国にお金を貸す」ということです。国債への投資を行っているのは主に日本銀行などの機関です。貸したお金ですから、国が破たんなどしなければ元本割れすることもなく返ってきます。お金を貸す相手としては、国内では安全性は極めて高いです。
個人向け国債は、私たち個人も国債への投資を気軽にできるように作られた仕組みです。普段使っている銀行や郵便局などの金融機関で1万円から投資可能です。。
また、各金融機関でキャンペーンなどをやっていることもあります。筆者が活用しているSBI証券ではしばしばキャッシュバックキャンペーンを行っており、100万円の投資で1,000円を受け取ったことがあります。
個人向け国債のパターンは3つ
まず次の3つのパターンから選ぶ必要があります。
①変動10年(2021年7月募集:年率0.05% 税引き後0.0398425%)
現在は最低金利として定められている0.05%なのでこれ以上は下がることがありません。一方、半年ごとに利率が見直されるので、上がったら自分の利率も上がります。
②固定3年(2021年7月募集:年率0.05% 税引き後0.0398425%)
③固定5年(2021年7月募集:年率0.05% 税引き後0.0398425%)
それぞれ3年、5年利率は変わらないので、利率が上がっても喜びには繋がりません。でも、3年後、5年後に現金化したいという目的であれば10年変動を中途換金するよりもいいですね。
利率0.05%の考え方
お金を貸した相手からもらう利息で、レンタル料と考えるとわかりやすいと思います。毎年2回(7月に購入した場合2/15と8/15)受け取ることができます。
現在0.05%なので、100万円購入した場合は年500円です。
実際には、所得税と住民税が20.315%かかるので半年ごとに100円(端数処理後)引かれ、半年ごとに200円受け取れます。「変動10年」なら、もう少しもらえる可能性もあります。
現在、定期預金の多くは利率0.002%です。100万円預けても20円で税引き後16円なので、個人向け国債の方がお得ですね。
(遺族年金を受けている方、身体障害者手帳の交付を受けている方などは非課税制度があります。)
1年経てば途中でやめてもOK
発行から1年経てば、手数料もかからず1万円単位で中途換金することができます。
それまでの利息(受け取り前の経過日数分の利息)は受け取ることができますが、直前2回分の各利子(税引き後)は差し引かれます。でも、経過日数も計算されるので、何日にやめると損などを考える必要はありません。理論上、ジャスト1年の最短でやめれば、2回分を受け取って2回分を戻すのでトントンですね。
個人向け国債はオススメか
「投資」で儲けたいなという目的であれば、収益面ではオススメではありません。預金よりはちょっと良い「預け先」と考えるといいでしょう。
しかし、オススメできる点があります。
給料等が振り込まれる普通預金に入れっぱなしだと、無意識に振り込まれたり引き落とされたりするので、貯まっても使い過ぎても実感がわきにくいものです。
そこで、あえて10万円とか50万円とか100万円という切りのいい金額で別の物に預けると取り崩すことに抵抗が生まれるので、無駄遣いしにくくなる効果が考えられます。筆者はこれを「パッケージ効果」と呼んでいます。
お金を貯めるのが苦手で、無駄遣いしがちな方には、例え金利が低くてもパッケージ効果はオススメです。
今年は特にボーナスどころではない状況の方もたくさんいらっしゃいます。そんな中、ボーナスを受け取ることができた方はありがたいことと捉えて、使い方、貯め方、増やし方をぜひとも意識的に考えてほしいですね。