正直「紙ねんどにホントもウソもあるのか?」などと考えることすらしたことがありませんでした。この商品「ホントの紙ねんど」を手にするまでは……。
「ホントの紙ねんど」は2020年夏に開催されたISOT(国際文具・紙製品展)にて、「第29回日本文具大賞2020」で機能部門グランプリを受賞した商品です。
ホントの紙ねんどは楽しく遊びながら子どもたちの「そうぞう力(創造力・想造力・想像力)」を引き出し、「自分の頭で考える能力」を伸ばすお手伝いをするという商品です。
なお、創造とは「新しいものを初めて作り出すこと」、想造とは造語ですが「イメージしてクリエイトする」「想いを馳せて作り上げる」、想像とは「頭の中に思い描くこと」と説明されています。
さて、何度も「ホントの」という言葉が出てきましたが、では、普段子どもたちが使っている紙ねんどは何からできているのでしょうか? この商品のWebページによると、紙は材料のごく一部にとどまっていて、主原料は炭酸カルシウムなのだそうです。そう聞くと、普段娘に買い与えている紙ねんどもホントの紙ねんど……ではないかもしれません。
この商品を作ったのは相馬という紙の卸をしている会社です。
普段紙に囲まれて仕事をしている紙のプロフェッショナルたちが、紙にまつわる色々な「コト」に着目してみんなで一緒に考え、想像し、制作し、発見していく【考える紙屋さんの研究所】として、「紙のコト」が立ち上がりました。
そこから生まれたプロダクトの1つが「ホントの紙ねんど」なのです。
さて、商品を見てみましょう。
持ち運びやすいパッケージ(しかも飾る時には展示用の台にもなる)の中には材料が全て入っています。

箱側面の説明

実際の中身
家庭で用意するものはバケツ(2つ)・タオル・お水とどれも身近にあるものです。
所要時間は30分から50分となっていて、小学校の授業一時限ほどの時間で出来上がります。
実際に当時4歳だった娘と作ってみました。写真を交えながら作り方を見ていきましょう。
1.バケツに1リットルの水(またはぬるま湯)を入れて材料の「紙」を包みごと水の中に入れます。
2.そこへ重曹とクエン酸を袋ごと入れてよくかき混ぜます。
重曹やクエン酸が入れられている袋は水に溶けて紙ねんどの材料となります。重曹とクエン酸を混ぜるとブクブクブクと化学変化が起き、紙が溶けていきます。娘は初めてみたこの反応におっかなびっくりしながらも興味津々でした。
3.化学反応の発泡が始まったら、手で紙を細かくちぎります。
当時4歳で小柄な娘は手の力も弱く、上手に千切るのは難しいかった様子。でも、少し荒めの状態になってもいいから、「自分の力で作った」という気持ちを持ってもらいたかったので、今回はできる限り本人にしてもらいました。
4.細かくちぎった紙の水気をタオルで絞ります。
これは力作業だったので、母(筆者)の出番でした。ここでしっかり水を絞り切るのがポイントです。
5.絞った紙を乾いたバケツに入れて、さらに細かくちぎりバラバラにします。
細かくするほど滑らかな出来になりますが、やはり娘の力では上手に千切るのは難しい様子でした。
6.最後にのりを入れてよくこねて出来上がり。
のりを入れた感触はとても気持ちがよかったようで、娘はしばらくの間コネコネを続けていました。
1つのキットからかなりの量のねんどが出来上がります。

市販のものより水分量が多いのでズッシリ
私たち親子が作った「ホントの紙ねんど」は目が粗く、大雑把な形を作ることに向いていて、乾燥するのにも結構な時間がかかりました(通常でも5〜10日かかります)。でも、何よりも自分で作り上げたという達成感が得られたのが今回の一番の成果でした。
紙からできているので乾燥後に絵の具で綺麗に色を塗ることができます。また、原料が紙なので、パーツごとに作成したものを糊付けすることもできます。

2021年に開催されたISOT(国際文具・紙製品展)会場ブースの作品例
紙のコトWebページでは用語解説を含めてわかりやすく紙ねんどのことが書かれています。
「紙ねんどはどんなもので出来ているのか? 作った手順は? 材料は? 自分で作ってみた感想は? どんなことが楽しかった? 大変だった?」をまとめるだけでも素敵な自由研究になりますので、夏休みの自由研究のテーマに悩んでしまうという小学生低学年のお子さんがいるご家庭にもおすすめの商品です。
(ふじいなおみ)
著者の他の記事はコチラ→ふじいなおみ