女性主体の避妊に対する偏見
先日、ある女性タレントがIUSの使用をSNSで報告したところ、ネット上では「ヤリマン」「ビッチ」などと揶揄する声が上がった。男性がコンドームを所持していても、こうしたバッシングは出ないだろう。
先述したように、IUSは避妊だけでなく生理を軽くする効果もあるうえ、男性用コンドームだけでは避妊効果が十分とは言えず、ダブルメソッドでの避妊は理想的でもある。
こうした批判が生まれるのは、女性主体の避妊方法を特別視する考えが残っているからだろうが、福田さんによると、スウェーデンでは「女性主体の避妊は当たり前のヘルスケア」と見られ、そういった風潮はないという。
低用量ピルが承認された頃も同様の空気があった。福田さんが当時の雑誌を研究したところ「ピルが承認されたらコンドームをつけなくてよい」といった間違った見解や、「妊娠不安がなくなり女性が性に奔放になる」「ピルのせいで女性が性感染症を運んでくる」といった捉え方が多く、「ピル解禁=女性上位革命」「避妊も女性主導で不倫も加速」といった表現も見られたという。
だが、女性からすればピルを飲んだところで避妊は100%とは言えず、妊娠不安から解放されるかと問われれば違う。ましてや、「性に奔放になる」「不倫が加速する」など飛躍し過ぎである。性感染症については、男性がコンドームをつけたり、心配ならばパートナーと一緒に保健所で性感染症検査を受けることも可能だ。
日本でも、すべての人において「性と生殖に関する健康と権利」が保たれるよう、認識を改め、制度を整えていく必要があるだろう。