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■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A
Q.子どもへの新型コロナ(mRNA)ワクチンの接種はどこで行うの?
A.大規模接種ではなく病院やクリニック等で接種する予定です
子どもは大人と違って、今のところかかりつけの病院やクリニックで個別接種を進めていく予定です。成長過程にある子どもは、一人ひとりをよりしっかり見ていく必要があるためだと思われます。ですので、基本的には接種券が送られてきて予約可能になれば、事前に近くのクリニックや病院等に予約して行くことになるでしょう。持病のあるお子さんの場合は、持病のかかりつけの病院で医師に相談しておきましょう。近くのクリニックで接種してもいいのか、持病のかかりつけの病院で接種するのがいいのか、事前に相談しておくとスムーズで安心です。
新型コロナ(mRNA)ウイルスワクチンは、多くの場合、持病があっても接種可能です。例えば、子どもに多いアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息などのアレルギーがあっても問題ありません。今のところ、子どもも接種可能なファイザー・ビオンテック社製のmRNAワクチンの添付文書には、「ワクチンの成分によって重度の過敏症を起こしたことがある人」は接種しないよう書かれています。しかし、自己免疫疾患でも接種可能とされているので、ほとんどの子どもは接種することができるでしょう。
他のワクチンと同じく、発熱しているときには受けることはできません。また、喘息でも、今流行しているRSウイルスでも、ただの風邪でも、どんな病気であっても急性期(症状が激しい時期)にはワクチンを接種することはできません。症状が落ち着いてから接種するようにしましょう。持病のある場合も、かかりつけ医と相談し、様子を見ながら症状が落ち着いているときに接種することになると思います。
ワクチンを接種する日は、スムーズに打てるよう上腕部がすぐ出せる半袖やランニング、前開きの服などを着ていくといいでしょう。筋肉注射なので、意外と上のほうに打ちます。接種後は15〜30分ほど待機して、アナフィキラシーショック(重篤なアレルギー反応) や迷走神経反射(一時的な意識障害)などが起こらないか様子をみます。主な副反応は、腕の痛みや発熱などです。子どもが服用する解熱剤はアセトアミノフェンがいいのですが、 大きい子はイブプロフェン、ロキソプロフェンでも構いません。 処方してもらう場合もあるでしょう。
なお、当日は激しい運動や長時間の入浴のほか、いつもと違うことはしないようにしてください。子どもはじっとしていないでしょうから、できる範囲で構いませんが、なるべく安静に過ごしましょう。
また今のところ、新型コロナ(mRNA)ウイルスワクチンは同時接種できません。前後2週間は他の予防接種ができないので、他のワクチンなどのスケジュールも確認しておいてくださいね。
<今回のポイント>
○子どもは基本的に個別接種の予定
○持病があってもほとんどは接種可能
○発熱時はアセトアミノフェンなど
○同時接種はできない
※ この記事は2021年8月1日現在の最新情報をもとに作成しています。

森戸やすみ、宮原篤『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK 疑問や不安がすっきり!』(内外出版社)