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■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A
Q.子どもが新型コロナウイルス感染症を発症したときはどうしたらいい?
A.まずは近くの小児科などに電話して受診可能かどうか確認しましょう
新型コロナウイルス感染症が流行している今、お子さんが発熱すると、親御さんも非常に不安になりますよね。「子どもが新型コロナかもしれません。どうしたらいいですか?」「PCR検査をしてもらえますか?」などと問い合わせがくることもあります。
周囲に新型コロナウイルス感染症の人がいた、新型コロナウイルスの検査で陽性の人がいた、子どもが激しい咳をしている、熱がある、お腹を壊しているなどで新型コロナウイルスの感染を疑うときは、まず近くの小児科クリニック等に電話で連絡しましょう。新型コロナウイルスに感染したかもしれない旨を話せば、発熱外来の時間帯、別の出入口などを案内してもらえると思います。そして実際に医師が診察して検査が必要だと判断したら、PCR検査や抗原検査ができる医療機関の場合は、その場で行います。その場で検査ができない場合は、PCRセンターなどを紹介されますので、検査に行ってください。
実際に保育園・幼稚園や学校で新型コロナウイルス感染症の人がいた場合、保健所の人が詳しく本人や親御さん、周囲の大人に聞き取りを行います。濃厚接触者と判断されてPCR検査が必要な人に対しては、親御さんがお願いしなくても検査するように言われるのが一般的です。また、小児の新型コロナウイルス感染症は、無症状だったり軽症だったりすることが大半です。
PCR検査を受けた場合、大体の場合は1日程度で結果がわかります。陽性だったり、新型コロナウイルス感染症と診断されたりした場合は、保健所から連絡がありますので、必ず指示に従ってください。お子さんが新型コロナウイルスにかかった場合、その8割は保護者からの感染ですし、いずれにしても保護者などの同居の家族、濃厚接触者も2週間の隔離生活が必要になります。くれぐれも仕事などに出かけないようにしてください。
その後、子どもの療養はどうしたらいいのでしょうか? 自分たち親と離れて、大切な子どもだけが隔離されたり入院したりすることになったらどうしようと心配する保護者の方もいるかもしれません。
2021年4月に日本小児科学会が「小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解—入院や付き添いの考え方も含めてー」を公表しました。これによると、子どものほとんどは軽症であり、軽症の場合は原則として精神的に不安定にならないよう保護者と一緒に自宅療養することを真っ先に考えるべきだということです。
ただし、重症化のリスクを考慮して毎日電話などで医療者が状態を確認すること、自宅に高齢者やハイリスク者(持病のある人)がいて確実に距離をとれない場合は担当医と保護者でよく相談することが強調されています。つまり、高齢者と同居しているなどの場合は、保護者とともにホテル療養をするケースもあるかもしれません。
子どもが中等症以上の場合は、もちろん入院することがあります。その場合は、子どもの心の安定のためにも、医療者の負担軽減のためにも保護者の付き添いが求められることが多いでしょう。ですので、子どもだけが隔離されるということは、ほとんどないと思います。保護者も中等症以上の場合は、他の養育者がいない場合は同室か別室かを検討しつつ、両方が入院することもあります。
<参考>
小児の新型コロナ感染では「自宅療養」を基本とし、入院の場合は感染防止策を講じて保護者の付き添い検討を―小児科学会
https://gemmed.ghc-j.com/?p=33662
日本小児科学会サイト
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200423_kenkai.pdf
<今回のポイント>
○ 必ず電話で問い合わせてから受診を
○ 子どもは軽症であることが多い
○ 軽症なら自宅療養が基本
○ 中等症以上は保護者が付き添って入院する場合も
※この記事は2021年8月1日現在の最新情報をもとに作成しています

森戸やすみ、宮原篤『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK 疑問や不安がすっきり!』(内外出版社)