「いつかは専業主婦に」という人生設計が危険な理由 コロナ禍で浮き彫りに

文=サンドラ・ヘフェリン
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 人生には思いもよらないハプニングがつきものだということを考えると「専業主婦という選択肢」は女性にとってリスクが高いといえます。

 ただこういった「現実的な考え方」が世間で必ずしも支持されるかというとそうではありません。「女性の生き方は様々なのだから、働く女性がいるように、専業主婦という生き方もあっていいんじゃないか」という意見も日本ではよく聞くのです。

 でも「専業主婦という生き方があってもいい」と話す人の話をよく聞いてみると「予期せぬハプニングが何も起きない専業主婦生活」を前提に考えていることに気付きます。

 「離婚の可能性」「離婚後にそれまで無職だった女性がどのように食べていくのか」、さらには「女性が離婚した場合の老後の生活」というような現実で起こりうることがすっぽり抜けていることが多いのです。

 先日、ある女性は「夫婦はチームワークだと思うんです。だから女性が料理や家事が得意であれば専業主婦という生き方があってもいい。専業主婦だからといって女性の地位が低いとは思わない」と話しました。

 その女性は「夫婦というチーム」の話はしましたが、「そのチームワークが何らかの理由で崩れ、チームでなくなった場合の女性のその後の収入」について触れることはありませんでした。

 つまり「成功例」の専業主婦しか見ていないわけです。一旦は専業主婦になったものの、途中で何らかの事情で「専業主婦の道」から外れてしまった女性のことを日本の社会はあまり真剣に考えていない気がします。それどころか、日本では彼女たちに厳しい視線が注がれがちです。

 巷では秋篠宮家の長女・眞子さまのお相手である小室圭さんの母親が叩かれていますが、誤解を恐れずにいうと、小室さんの母親は「男性に頼って専業主婦として生きていくのが女性として幸せ」だと教育されてきた世代です。小室さんの母親は夫の死亡により予期せず専業主婦という立場を離れることになりました。そこから懸命に生きてきたともとらえられるわけですが、世間の人は何かと小室さんのお母さんに厳しいのです。バッシングには様々な理由がありますが、筆者は「日本の社会がレールから外れた女性に厳しい」のも一因だと見ています。

 冒頭で、コロナ禍により女性の貧困が深刻化していると書きました。それらの女性のなかには「いずれは結婚するのだから」と「一生食べていける仕事に就かなかった」女性も含まれます。しかし若い時に夢見た結婚が叶わなかったり、結婚生活に問題が生じるなどして、若いといえる年齢を脱してからも「独身の非正規雇用」という立場のままという女性も多いのです。

 「専業主婦も一つの生き方」という価値観が残ったままの社会だと「将来は家庭を中心に生きたいから、一生食べていける仕事に就く必要はないかもしれない」と考える女性がいても不思議ではありません。

 コロナ禍で女性の貧困や自殺が増えているいま、「女性の生き方」について真剣に考える時が来ているのかもしれません。

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「いつかは専業主婦に」という人生設計が危険な理由 コロナ禍で浮き彫りにの画像2 ウェジー 2021.06.18

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