「生理の貧困」へのバックラッシュはなぜ起こる? 背景にある「無知」と「無理解」

文=ヒオカ
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優遇ではなく是正

 生理の貧困対策についての議論では、「生理のあるひとだけに補助があるのは優遇だ」「男性の納めた税金を生理のために使うな」という声もある。

 つい先日には、日本維新の会の梅村みずほ 参議院議員が、<「生理の貧困」を入れるなら「ひげそりの貧困」も入れませんか。つい女性に支援を!の声が大きくなりがちだが男性も困ってる人はいる。貧困世帯の男子のことも考えてあげたい。>とツイートし、物議を醸した。

 目を疑うような発言であるが、「生理の貧困っていうなら、スーツの貧困や〇〇の貧困はどうなんですか!」といった、まるで中学生レベルの発言は、ネット上でも複数見られる。これも、Period Povertyへの無知からくる無理解であり、この問題の深刻さを無視し、議論を妨げる発言といえよう。

 そもそも、生理のないひとには最初からない出費であり、それを軽減するのは優遇ではなく是正である。また、費用面だけでなく、生理痛を始め種々の煩わしさや苦痛を鑑みれば、補助はいくらあっても足りることはないだろう。始まったばかりの動きに対して、このような不平等というレッテルを貼り批判することは、あまりに実態と乖離した、不等な言いがかりであり、到底看過できるものではない。

 また、そもそも政治の役割は富の再分配であり、国民から集めた税金を元に、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することだ。男性の払った税金を使うなという意見は、障がい者用のスロープを健常者が払った税金で設置するなというようなもので、愚劣きわまりない。

狭義の生理の貧困から広義の生理の貧困へ

 「生理の貧困」と括って議論をしていく必要性は他にもある。初潮に始まり、中絶、妊娠、出産、不妊治療、更年期障害など、女性は長期に渡り痛みや出費が避けられない。生理の貧困に関する議論をきっかけに、不快さや苦痛はケアするべきものであるという啓蒙と、そのための出費を社会が負担することで軽減していくという議論が推し進められる必要がある。

 生理の貧困は、現状、ナプキンやタンポンなどの生理用品が手に入れられないことだけが想定されている。しかし、生理というからには、生理痛の鎮痛剤、月経困難症や子宮内膜症、無月経などの時にかかる婦人科の受診へのアクセスも対象になって然るべきだ。

 狭義の生理の貧困から広義の生理の貧困へ。バックラッシュに邪魔されることなく、これからも議論が深まていってほしい。だれでも生理による苦痛をケアできる、健康で文化的な最低限度の生活が保障されている社会を目指していく必要があるだろう。

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「生理の貧困」へのバックラッシュはなぜ起こる? 背景にある「無知」と「無理解」の画像2 ウェジー 2021.07.13

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