「誰でもわかる無料のオンライン授業」はなぜ可能なのか eboard代表理事・中村孝一さんインタビュー

文=柳瀬徹
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GettyImagesより

 「学童1人に1台の端末」と「教育現場の高速通信化」を目指し、文部科学省が2019年に打ち出した「GIGAスクール構想」は、 翌年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う全国一斉休校により一気に加速した。

 とはいえ、十分にオンライン授業の準備がされていたわけではなく、感染状況しだいで再休校の可能性もあるなかで、教員のスキルに合った教材の充実は大きな課題のままだ。

 そんな中、個人や公立学校などでの利用であれば無料という「eboard」への関心が高まっている。やさしい授業動画と演習問題を無償公開する目的と、それを可能にする運営の仕組みについて、NPO法人eboard代表理事である中村孝一さんに話を聞いた。

eboard https://info.eboard.jp/

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村孝一(なかむら・こういち)
大学在学時、学習塾や学習支援現場での経験から、子ども達の学習課題を痛感。外資系コンサルティング会社勤務を経て、eboardを創業。2016年より、世界経済フォーラムGlobal Shapers Osakaハブメンバー。

「誰でもわかる授業」の作り方

――eboardのサイトには小1から中3までの主要教科と、高校の数学Ⅰの映像授業と問題がアップされていますが、どれも本当にわかりやすいですね。

ありがとうございます。私たちは「学びをあきらめない社会へ」というスローガンの元に活動するNPO法人です。スタッフの多くも学校や学習塾で勉強が苦手な子に指導した経験のある人で、スタッフ同士でよりわかりやすい教材と授業を目指して切磋琢磨しています。

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eboardで公開されている教科一覧

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それぞれの単元ごとに5~6分の授業動画があり、2~5問程度の演習問題がある。

――映像授業での話し言葉が関西弁のイントネーションなのも、親しみやすく感じます。

私ともう一人、関西弁の講師がいますが、とくに意識してやっているわけではなくて、地です(笑)。授業の音声は私を含めて4人で、みな指導経験があります。

――映像授業というと予備校のサテライト授業がすぐに思い浮かびますが、それとはだいぶ違う雰囲気ですね。

予備校の映像授業は軽妙な語りにたくさんの情報量が詰まっていて、勉強ができる子にとってはとても楽しく意義のあるものだと思うのですが、eboardが想定しているような子どもにとっては、スピードが速すぎてついていけないんです。聞き取りだけでも困難なんですね。

eboardの映像授業では、なるべく普段使っている言葉で、噛みくだいて、画面の動きと連動したスピードでゆっくりと話すようにしています。そのせいで関西弁が出てしまうのですが(笑)。

――予備校の授業はどんなにわかりやすくても、講師と受講生の間に共有されている情報がたくさんあって、その上で成り立っているコミュニケーションなので、勉強が苦手な子や学校からドロップアウトしてしまった子にはハードルが高いのでしょうね。

おっしゃる通りで、元予備校講師の方がボランティアを志願してくださって、授業動画を送ってくれたことがあったのですが、とても難しかったんです。優れた授業で、私には面白く感じられたのですが、想定している子どもたちには理解できない内容でした。やはり常に勉強が苦手な子、取り組みにくい子のことを想像する必要がありますね。

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