わかりにくくなった敵、政治的対立のエンタメ化の先を描く韓国映画 西森路代×ハン・トンヒョン

文=wezzy編集部
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韓国映画・ドラマの印象的な食事シーン

(参加者の方からの質問について)

ハン 事前にいただいた質問にお答えしますね。 「韓国映画の楽しみ方として、食べ物を豪快に食べるシーンがあると思うのですが、印象に残っている韓国映画の食事シーンについて教えてください」

西森 いっぱいありますね。

ハン 最近観た中だと、『夏時間』(2019年 ユン・ダンビ監督 韓国)も、食事シーンがいいんですよ。家族がおじいちゃんの家で過ごす話で、昼間ふつうにワシャワシャって麵料理みたいなのを作って食べるとか、あと『はちどり』(2018年 キム・ボラ監督 韓国)のチヂミのシーンも好きだし……。

西森 なんかチヂミって雨の日に食べる、みたいな感じなんですよね?

ハン うん。そう、あの雨のザーザーという音が、チヂミを焼く音みたいだっていう。

西森 うん、私昔、ピ(RAIN)が好きだったので、それで思い出して(笑)。

ハン 食事シーンって言うと、ドラマの方が印象深くて。最近だと『秘密の森』でシモクがごはん食べるところがポイントで、笑うか笑わないか、とか(笑)。

西森 あんなに笑うのを見えることがうれしい人というのもいないですよね(笑)。

ハン ね(笑)。なんやかんやよくモグモグ食べたりしてて。あと、食べようとしたら電話が来て食べられなくなるとかさ、昼ごはんをね。いつもそういう忙しい感じで。『サイコだけど大丈夫』(2020年 脚本:チョ・ヨン tvN 韓国)とかもごはんのシーンとても良かったですし。

西森 それでいうと私、チョ・スンウさんの『インサイダーズ』とかも、お酒の飲み方がうまいというか……『KCIA』もそうだし。

ハン 『KCIA』もお酒の使い方うまいよね~。

西森 そうなんですよ。

ハン お酒の飲み方で表現する演出うまいよね。

西森 そう。(『インサイダーズ』の)悪い人たちは、日本料理屋で接待させて、あのチンゴル爆弾酒っていう、ほんとにセクハラ・パワハラの象徴みたいな飲み方をしていて。でも、チョ・スンウとイ・ビョンホンは昼間に、郊外の家の外で肉を焼きながら、ふたりで焼酎をしみじみ飲むという感じで。で、『KCIA』になると、あのふたりの……大統領とキム・ジェギュの部長の飲み方も、昔、日本に居た頃にはこうやって一緒に飲んでた、みたいな話をしていたのを見ると、ああ、かつては、このふたりは青春時代を共に過ごしていた同志だったんだな、と思えると、そうではなくなってしまった今との対比でじわっときますね。

ハン お酒の使い方はうまいですよ。

西森 うん、すごいうまいんですよね。印象に残ってます。

(2021年4月7日 チェッコリにて)
(構成:こまくさWeb編集部)

※イベント当日(2021年4月7日)の書き起こしを元に、西森さん、ハンさんが加筆・修正等を加えたものを掲載しています。

『韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』
四六判/並製 284ページ
ISBN 978-4-909646-37-8
定価(税込み) 1,870円(税込)

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