ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が経過しました。日本だけでなく世界経済への影響を及ぼしてる中、今年もボーナスの時期がやってきました。
日本企業の夏のボーナスはどうなっているでしょうか。今回はボーナスに関するいくつかのデータを確認していきます。自身のボーナスとの向き合い方を考える際の参考にしていただければと思います。
経団連発表の2021夏の大手企業のボーナス
ボーナスについてお話しする際に、経団連のデータは外すことができません。経団連とは、「一般社団法人 日本経済団体連合会」の略称で、2021年4月1日現在、日本の代表的な企業1,461社、主要な業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体などから構成されており、大手や歴史のある会社など日本のリーダー的な立ち位置の団体の集合といえるでしょう。ボーナスのデータに関しても原則従業員数500人以上の東証一部上場企業のものとされています。
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6月25日に発表された経団連のデータによれば、2021年夏のボーナスは、総平均で前年よりマイナス7.28%の841,150円と3年連続の減少となりました。非製造業が前年よりマイナス6.52%の842,115円、製造業は マイナス13.46%832,485円となっています。
※2021年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)第1回集計より
筆者の体感として、経団連のボーナスはこれまで総平均、非製造業、製造業ともに90万円超が当たり前だったので、上記3つのデータすべてが90万円を切ったことが衝撃的でした。
実際にマイナスが非常に大きく、リーマンショック以降最大の下げ幅で、製造業に至ってはマイナス13.46%で、日本の主要産業の1つである自動車業界もマイナス10.76%です。
中小を含む夏のボーナスは?不支給も!
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社では、事業所規模5人以上の企業の2021年夏のボーナス見通しを発表しています。こちらは大手だけでなく、中小企業も含むデータとなっています。
こちらも前年よりマイナス2.3%の374,654円、非製造業が前年よりマイナス2.0%の353,722円、製造業はマイナス4.1%471,797円です。
前年との単純な比較でも減少していますが、新型コロナウイルスの影響を受ける前のボーナスと比較するとダメージが大きいことは想像に難くありません。実際、2019年夏のボーナスは390,321円、非製造業は361,312円、製造業は524,568円でした。
また、お金に関する情報メディア「まねーぶ」(株式会社GV)による20代から60代正社員371人を対象にした2021年度の夏ボーナス調査によれば、「2021年度の夏ボーナス支給はあるのか?」という質問に対して「支給あり」が68.5%(254人)、「支給なし」が31.5%(117人)という回答結果になっていました。3割以上がボーナスなしという実態も見えてきます。
当たり前ではないボーナスとの向き合い方
会社員にとってボーナスはとても嬉しいものですが、給料と違い会社側に支給する義務はありません。つまり、働く側も「もらえるのが当たり前」のものではないと考えるべきものです。
住宅ローンやや自動車、普段のクレジットカードの買い物にボーナス払いを組み込むのも当然リスキーなお金の使い方です。
また、大手企業のボーナスデータを見て「マイナスとはいえ、もらいすぎ!」などと感じる方も多くいらっしゃるでしょう。
筆者も個人事業主なのでそういう気持ちはよくわかります。しかし大手企業で働く人のボーナスの変動は、現在の日本の経済がどういう状況にあるのかを知る一つの指標となります。
ボーナスがもらえた/もらえなかっただけでなく、大手企業を含む日本全体の動きを知る機会として活用し、今後の家計を考えることも重要だと思います
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