広告業界で感じた女性の生きづらさの正体『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』笛美さんインタビュー

文=雪代すみれ
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あなたの言葉で伝えられる人がいる

——「#検察庁法改正案に抗議します」でも、貴著やTwitterで使われている言葉を見ても、笛美さんの言葉選びは優しい印象を受けるのですが、何か意識していることはありますか。

 世の中の多くの人は、自分の周りの悩みのことだけでいっぱいいっぱいだと思うんです。誰かが大きな声で訴えている話を聞くのを嫌がる人もいます。この考え方はトーンポリシングと紙一重だと思うのですが、自分のことだけで忙しい人たちの耳に入るためには、浸透するような言葉を選びたいという思いでいます。

 日本では社会運動が身近ではなく、社会運動に慣れていない人たちは声をあげること自体に抵抗があります。「なんとなく怖い」といったイメージでシャットダウンされないよう、「仲間ですよ」という気持ちで発信しています。

——貴著を読んでいて、笛美さんからは自己効力感を感じるのですが、「社会を変えたい」と思いつつも、一歩を踏み出せない人へアドバイスをいただけますか。

 私も「世論を変えなくちゃ」という思いはあったものの、Twitterデモがあそこまで注目を集めるとは思っていなかったんです。不安な気持ちを日々呟いていた中で、偶然その中の一つが当たっただけでした。

 広告の世界では、口コミが重要と言われています。「知人が言ってること」の影響は大きいんです。SNSでも普段の生活でも、人それぞれ得意な伝え方があると思います。私が伝えられなくても、あなたなら伝えられる人がいます。少しでもいいので、何らかの方法で周囲の人に話をしてみるといいかもしれません。

——最後に、貴著に込められたメッセージをお伺いします。

 日本では今も、「若い女性であるうちはチヤホヤされて、一定の年齢になったら追いやられる」運命ができています。過去の私も含め、そんな運命を自己責任と考えてしまう女性もいると思いますが、フェミニズムを吸収し、自分のせいにするフェーズから脱出してほしいです。

 自分がミソジニーの真ん中にいたとき、仕事も恋愛も婚活も、全てにおいて力が湧いてこない状態でした。でもフェミニズムを知って「私が酷い状況を変えよう」とエネルギーが満ちてきたんです。以前の私のような疲れ切ってる人にこの本を通じフェミニズムを伝えることで、別のベクトルで元気を届けられたらいいなと思います。

 頑張っている女性は世の中にたくさんいて、でもその頑張りを“わきまえること”や下からお伺いを立てることなど、変なところに使わされている人が多いと思います。多くの女性が本来向けられるべきところにエネルギーを使えるようになったら、日本は良い方向に変わっていくんじゃないかと私は期待しているんです。

 また、広告業界を含めビジネスの世界では「自分だけが成功すればいい」という思考が強いですが、日本全体を見たり民主主義を考えれば、多くの人が声をあげ動くことが重要だと思うようになりました。私の本をきっかけに色々な人が気づいて動くきっかけになってほしいです。

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広告業界で感じた女性の生きづらさの正体『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』笛美さんインタビューの画像2 ウェジー 2021.03.24

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