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■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A
Q.大流行したRSウイルスってどんなもの? 対処方法を教えてください。
A.手洗いと咳エチケットを徹底し、かかったら小児科へ
今年の夏は、6月頃からRSウイルスに感染する乳幼児が増え、幼稚園や保育園などで広まり、なかには入院する子もいたようです。現在も減ってきたものの、まだ流行しています。本来ならRSウイルスは冬に流行しやすいのですが、一昨年の夏の終わり頃に流行してからはあまり多くみられず、その反動で今年の夏になって急激に増えたのかもしれません。
RSウイルスは、その名の通りRSウイルスによる感染症——つまり風邪の一種です。ほとんどの子どもが4歳頃までに初めて感染し、その後も何度でも、何歳でも感染します。つまり大人がかかることもあるわけです。大きくなれば軽い鼻水や咳くらいで治ることも多いのですが、小さい子は特に初めての感染で症状が重くなりやすいのが特徴。特に1歳未満の子がかかると、入院する場合もあります。
ですから、なるべく小さいうちはかからないほうがいいと言えますが、新型コロナウイルスの感染対策をしている現在でも、これだけ流行するのですから、完璧な対策はなかなか難しいかもしれません。それでも、大人はマスクをし、子どもも咳エチケットを徹底したり、こまめに手洗いをしたりするようにしましょう。
また、家族の誰かがRSウイルスに感染した場合は、できるだけ別室に隔離するか、マスクをしてもらうことが大切です。感染者が乳幼児の場合は隔離が難しく、マスクもできないので、大人が感染対策をしましょう。ほかに感染していない子どもがいる場合、特に赤ちゃんはできるだけ距離を離すようにします。また、同じお皿や箸、タオルなどを共用しないようにしてください。
実際にRSウイルスにかかった場合、潜伏期間は3〜5日で、咳や鼻水、熱などが出ることがあります。小児科を受診しても、RSウイルスの特効薬はありませんから、ウイルスを特定するための検査を必ず行うわけではありません。ただ、周囲で流行している場合、RSウイルスだと診断されることはあるでしょう。熱が高い場合は解熱剤、咳や鼻水がひどい場合はそれらをおさえるための対症療法の薬を出す場合があります。
その後、呼吸をするたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴がしたり、胸がペコペコと凹む陥没呼吸などが見られたりしたら、重症化のサイン。細気管支炎や肺炎になったりすることもあるので、心配な場合は再度受診してください。突然呼吸が悪化する恐れのある乳児、あまりにも呼吸が苦しそうだったり、食事や水分がとれていなかったりする場合は、入院することもあります。その場合、多くは保護者が付き添うことになるでしょう。
<今回のポイント>
○ 乳幼児の初感染は症状が重くなりやすい
○ 特に月齢の小さい乳児は要注意
○ 家族が感染したらうつらないよう対策を

森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK ~いつものケアから不調のときの対処法まで』(内外出版社)