「虫目」を育てる絶好のチャンス!? 夏は子どもとセミフェスだ・前編

文=ムシモアゼルギリコ
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 夏の夜の楽しみは、花火? ナイトプール? いいえ「セミフェス」です。セミの幼虫を捕まえて羽化を観察、そしてリリースもしくは食べる。夏を味わえるうえ、コスパも最高。虫に慣れ親しむ一歩としても最適。前編となる今回は、「幼虫の探し方」から始めてみましょう。

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 7月下旬——。逢魔が時になると、平常心でいられなくなります。ああもう、日が落ちてしまう。このあたりも、すぐに暗くなる。そうすると……来る! ライトと洗濯ネットを手に、走り出したい衝動にかられます。

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ちょっとホラーみもある黄昏時。この後、来るんです。アレが。

 「食べられる虫」の中でもとびきりおいしいのが、セミの幼虫。関東地方は例年、7月下旬から8月頭くらいまでの約2週間前後、日の落ちるタイミングで羽化のために地中から這い出てくるのです。期間限定、旬の味が食べ放題! 採り放題!(※1) これが俺ら(昆虫食愛好家)の夏フェス、いや、セミフェスだ。こんな時期に、じっとしていられる訳がないのです。

※1 ここ数年「食用目的のセミ捕獲を禁止する」という看板を出す公園が増えています。キャッチ&イートを楽しむ人たちは、捕獲場所に気をつけましょう。

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セミ幼虫。素揚げと生体を楽しみながら、ビールがすすむ夏の夜。

 私が虫を食べ始めた当初(2008年頃)、虫食いビギナーとして大変お世話になっていた同好会・昆虫料理研究会では、皆でセミを捕まえて食べる「セミ会」が超人気イベントでした。参加者を募ってもすぐに満席となるので、夏の短い期間に2回開催しないと収拾がつかなくなるという展開になったほど。後にNPO法人食用昆虫科学研究会の理事長を務める佐伯真二郎氏が「セミ会のガイドライン」を公開したこともあってか、全国で自主的に開催する人たちも増えていきました。

 虫は食べるばかりで採取が苦手な私でも、セミ採りだけは毎年楽しみにしている夏のレジャーです。自然豊かな土地まで行かずとも、都市部で手軽に捕まえられるのが、出不精な自分にぴったり。手つかずの自然の中では、落ち葉などで幼虫が出てくるセミ穴(※2)が見つけにくいうえ、樹の高い所へ上ってしまった幼虫を捕まえようとすると、足場が悪くて危険。でも都市部なら、背の低い植え込みや柵や看板などのポイントでも羽化するので、樹の実をつむような感覚で採れてしまう。しかも、幼虫が出てくるオンタイムは日が落ちてから(東京だとだいたい19時頃)。直射日光を浴びると塩をかけられたナメクジのようになる自分も、闇の中なら体が楽。また、這い出てきた幼虫はここぞというポイントを決めると数十分ほどで殻から出てくるので、そこまで時間をかけずとも「羽化」の観察もできる。刺激と楽さが両立する、最高さ。そんなテンションをこめ、幼虫捕獲→羽化観察→セミ料理の一連を、個人的に「セミフェス」と呼んでいます。

※2 セミ幼虫が這い出てきたあとの穴を著者はこう呼んでいる。地表に直径1.5~2cmほどの穴が残る。

 もともとセミの羽化観察は、子どもの自然観察イベントとしてど定番です。昆虫料理研究会のセミ会にも、よく子どもが参加していましたし、今6歳のわが子もそろそろセミフェスデビューできそう。コロナ禍で夏らしい遊びもできていないしな~という申し訳なさもあり、今年から子連れセミフェスの始動です。

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