「虫目」を育てる絶好のチャンス!? 夏は子どもとセミフェスだ・前編

文=ムシモアゼルギリコ
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 今年の関東地方は、7月中旬がセミ羽化シーズンでした。個人的な体験からなんとなく、気温の高い日照り続きの夜が狙い目のような気がします(雨の日は出てきません)。セミフェスのマイ装備は、暗がりで幼虫を探すためのライトと、虫を入れるための洗濯ネットもしくはファスナーつきのビニール袋(プラスチック製の虫かごはかさばって邪魔なので、飼育以外では使っていません)。

 自分の予定と羽化のタイミングで、セミフェス決行日は急に決まります。そのため、記念すべき子連れセミフェス第1回目は、娘とふたりで地味~に決行。19時には幼虫が姿を現すので、それまでに夕飯をすませ、ダッシュで目的のポイントへ向かいます。

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樹の周りにある「セミ穴」を探すことからスタート。

 目的地に到着すると、まずは子どもにセミ穴の説明から。絵本でよく、土の中で暮らすセミの幼虫が「樹の根っこのジュース」を飲んでいるでしょう? あれがセミのごはんだから、樹のないところにセミはいない。でもって樹の周りの地面に開いている穴が、先発隊が出てきた跡。後から出てくるチームも同じ樹の根にいる可能性が大きい……ってよくわからないか。とにかく「周りに穴がたくさんある樹の根元」で待てばOK。それを見つけたら、暗くなってから樹の幹をライトで照らし、羽化場を求めて登っている最中のセミ幼虫を指でつまんで採って洗濯ネットに放り込め。地面の上を移動中のセミもいるので、土の上にもライトを当て、周辺をくまなく探すべし。

 おそらく子連れセミフェス最大の危機は「もう帰る」と飽きられてしまうことでしょう。捕獲の基本を叩き込みたい初回は、セミの幼虫を見つけて「すごい?」とドヤる娘を「やだ天才~!」とおだてたり、「マルチーズ署長! うーむ、この樹がにおいますよ……?」なんておしり探偵ごっこをしながら間を持たせ、なんとか小一時間の作業に成功。しかしこれって、「親の手伝い感」がハンパないわあ(セミ採りが手伝いってのもどうかしてますが)。もっとレジャー感、もといセミフェス感を出すにはどうしたら?

 そんなタイミングで、救世主が現れました。セミフェスの王者・虫好きキッズです。保育園で娘がセミ採り話をしたようで、お迎え時に「僕も一緒にセミ採りに行きたい」と申し出てくれたのです。てぃ、Tく~ん! ホント~!?  お友達がいれば、イベント感が出そうで嬉しいわ。

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 どんなイベントにも当てはまりますが、本番を盛り上げるには事前の準備が大切。保育園の帰りに行こうとT君母と約束した日の前日、狙い目スポットの下見のため現地へ足を運びました。そして食欲に負け、この日も捕獲。

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「ちなみに今日はこのくらい採れましたよ~。明日も採れるといいんだけど」。LINEでT君母に幼虫の写真を送ると……。

「え!!!!!!!」
「これは一体どういう状況…?!」
「私の想像しているセミ採りとはちがった!!笑笑」

 え! そうなんか! ここ10年来の習慣から、虫食いの我々はセミ採り=おいしい幼虫を採るという認識でしたが、普通は成虫なのか~。よく考えなくても、普通はそうか?

 2回目のセミフェス当日、18:00にT君親子と保育園を出発し、コンビニ経由でセミスポットへ。芝生で夕飯を食べながら日が沈むのを待っていると、山中のロックフェスでメインステージを待つ感じを思い出します。セミでも音楽でも、夏フェスは楽しい。子どもたちも「外でコンビニごはん」という非日常を楽しんでいて何よりです(安!)。油断すると目的を忘れ、「遊ぼ~!」と駆けて行ってしまうので、「セ~ミ~! セミがはじまるよ!」と大声で呼び戻すハメになるのですが。

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地味だけど、ハマるとクセになる幼虫探し。

 あたりが薄暗くなってきたら、いざ本番。狙いをつけておいた樹の周辺や幹をライトで照らすと……。ゾロゾロゾロ。土の中から、キター。樹や土と同化する保護色でも、外皮がツルリと光沢を放つので、ライトを当てるとすぐにわかります。

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手で捕まえて、あっという間にこのとおり。子どもは指が細いため、セミの幼虫の外皮で手が滑って落としがちなので、やさしくにぎるように捕まえるといいようです。

 はじめてセミ採りしたときはカギ爪に「痛い~」とひるんでいた娘も、ここはお友達パワーなのか。次々上手に幼虫を見つけるT君と一緒になって、「見つけたよ~!」と大はしゃぎ。ついでに母たちも、つい本気モードにスイッチが入り黙々と探してしまう。

 目線が低い子どもは、セミ探しに大変有利です。そこに加えて虫好きの実力を発揮して、T君は葉の裏で羽化中のセミも発見。何度見てもアガる、羽化現場。普段は食べるために幼虫を採る私たちの中にも、このステージになると「キレイすぎて手を出せない」という人も度々出てくるほどです。ちなみにいわゆる「ソフトシェル」の状態なので、あえてこれを食べるのが好き、という人も存在しますけど。

 30分もすればそこそこの数を捕まえることができ、達成感とともに捕獲タイム終了です。

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脱皮中は触れないように気を付けましょう。柔らかい翅が伸び切らず、飛べなくなる場合もあります。

 その後は採った幼虫を家に持ち帰り、ゆっくり羽化を楽しんでもOK。その場で幼虫を見て満足ならば、もといた場所にリリースしてあげましょう。密にもならず、それぞれが黙々とセミを探し回る、夏の夜の省エネレジャー。コレを覚えると、セミポイントを無意識に探すようになるのも副産物です。この樹の周りは穴が多い(=実績のある樹)。低い位置に抜け殻がたくさんあるある(=楽に採れるポイント)。羽化は樹だけに非ず。柵やベンチも捜索すべし。街灯が近いほうが、たくさん出てない?(注:これの真偽はわからず。著者の単なる感想です)

 娘はセミフェス以降「この樹、セミ穴いっぱいあるよ!」「セミ、近くにいる音するねえ」なんて言い出すようになり、セミの気配を探る機能が備わったようです。ついでにT君母も「この前、○○に行ったら、セミの抜け殻がすごかった! 来年はあそこを狙うといいかも!」と、虫目線を発動。楽しく遊んで虫目が育つ、いいこと尽くしのセミフェスなのでした。

 さてセミフェスにはもう少し続きがありまして、後編では「自宅での羽化観察(&味見)」をお届けします。

夏の「セミフェス」クライマックス! 変身の瞬間、羽化ウォッチ・後編

 夏の夜の楽しみは、毎年恒例「セミフェス」です。セミの幼虫を味わいながら、ついでに羽化も観察……だったのが、子連れになると観察ときどき試食となりました。…

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「虫目」を育てる絶好のチャンス!? 夏は子どもとセミフェスだ・前編の画像2 ウェジー 2021.08.28

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