女神を自称するスピリチュアル教祖様に傾倒し、そして失望した一部始終

文=山田ノジル
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――ヒカル先生は「こうするとうまくいく」とか、具体的なアドバイスはくれるのでしょうか?

メイ:コレを使えばOK! みたいなグッズをすごく上手に売っていましたよ。私もですが、多くのファンが買っていたのは「岩戸の塩」。これはヒカル先生が「体に入り込んだ悪いモノが浮かびやすくなる」と言い、小さじ1をお白湯に入れて飲むことをすすめていました。チェルノブイリで被爆した子どもをたくさん救ったスピリチュアルなお塩だという説明もあったかな。当時は福島の放射能漏れ事故が起こったあとだったので、私は飲み過ぎなくらい飲んでいましたね。実感は、白湯なので身体がポカポカしてくるくらい(笑)。 あと、飲みすぎると吐き気がしてくる。塩なんで当然なんだけど。

ハナ:その塩、ヒカル先生が言っていた「放射能のデトックス、アレルギーが治る、子宮の病が治る」というようななことって、結局誰か体験したのかなあ。ファンのブログでは「お風呂に入れると除霊できる」なんて話もあったわ。

メイ:昨今は「ファブリーズ除霊」なんてワザもあるから、アリっちゃアリかもしれないけど……。塩のほかにはクリスタルのブレスレットも、ファンのあいだで定番アイテムだったよね。

ハナ:先生本人とそのファンは「清らかすぎて常に闇のエネルギーから狙われているので、クリスタルで防御が必要」という設定になっていて、オリジナルとして販売されていたヤツだ。先生は片腕に3つ重ね付けしたうえに、足首にも付けたりしてた! するとファンたちがそれを見習うんですよ。イベントに行くと、先生のサイトから買ったパワーストーンのアクセサリーを何重にも重ね付けしている女子があちこちに。まるでありったけの貴金属を身につける、遊牧民みたいな光景だった。私は自分が特別に清らかだとも思えず、強大な闇の勢力に狙われている実感もないので、最新のブレスレットをひとつだけつけてました。

メイ:伊勢神宮の五十鈴川で、このブレスを洗うのも流行ってなかった? 五十鈴川で、ヒカル先生のファッションをコピーしたようなファンらしき女性たちか、控えめにパワーストーンをゆすいでいるの、見たことあるわ。ヒカル先生のファンは、基本的には今どき珍しいくらい、純粋そうなやさしそうな若い女性が多かった印象。中には変わった人もいて、突然話しかけてきてトンデモ健康法を延々説明してくる人とかもいたけれど。イベントの開演前に、どちらがよりスピリチュアルに造詣が深いかを競い合うような、マウンティングのバトルも目撃したな。でも今、みんな穏やかで幸せに暮らしているといいな。そこは、心から願いますね。

――パワーストーンに塩。扱っているモノ自体はすごくありきたりなんですね。

ハナ:先生のトークで、オリジナリティがあったのは「バブ」かな。

メイ:ああ……その言葉にはさんざん振り回されたわ。私はいまだに、先生の言うバブとは何なのか理解しきれていないけど、要は幼児性のエネルギー体? でいいのかな? もともとヒカル先生の宇宙母胎にぬくぬくと住んでいて、長年懇意にしている顧問神主さんとのスピ儀式の最中にオギャーと泣いていたのを見つけたって話だった。これ強烈で、今もセンテンスごと頭に入ってる(笑)。

ハナ:そんな話あったあった! バブ玉ヒカル先生の中に巣くってただけでなく、地球上をあまねく侵略していたことがわかったという話。パソコンのモニターに、ひとりでにバブのBという頭文字が「BBB…」入力される話、当時はすごい怖かった(笑)。そして憑りついたバブを外すサポートに、3万円くらいするトルマリンブレスレットが有効だとヒカル先生が宣伝すると、これがまたバカ売れするんですよ。

メイ:イベントで、ファンクラブ会員を壇上にあげて、バブかどうか判定するパフォーマンスも覚えてる。たしか汚部屋女子が、バブだと認定されてたハズ。それに対し、ヒカル先生はとりあえず神社に行けと言ってたけど、その点は信者だった当時でも「バブって神社でお祓いできるんだ~」と、ウケてしまった。

ハナ:やっていることは古典的な霊感商法と変わらないんだけど、キャッチーでオシャレな感じに仕立てるのがうまかった。わかるようなわからないような先生の語る概念に支配され、他人のことは「あいつはバブだ」とジャッジして、自分は「私、憑りつかれてる」「私はバブかも」と不安を煽られる。そして不都合の原因がすべてバブでは? と思えてくる。でも結局はヒカル先生が言っているだけの存在だから、わかるわけがない。そしてヒカル先生に「バブで大変なんです! これはバブですか?」と泣きつくループを作っているように思えました。

――依存させるテクニックなのでしょうかね? 当連載がよくとりあげる子宮系女子も「カルマ粒」だの「子宮の声」だの、集金のための自由な世界観を女性一般にあてはめて発信していましたが、テンプレがあるんだなと感心してしまいます。実際、お金はどれくらい使いましたか?

メイ:ファンクラブは年会費1万円くらい。それに加えてイベントが辺鄙な地域での開催が多いのと、昼の部・夜の部、数日にわたり何コマも組まれていたので、逐一仕事を休んで泊まりがけで行くことが必須になってきます。チケット代、交通費、宿泊費その他もろもろ、そして物販! これを足すと1回のイベントで7~8万は出ていたかな。

ハナ:そのイベントも急に「光のタイミング」で決まることが多いから、結果的に生活全般が振り回されるんですよね。そんな感じでコツコツと10年くらいで、私は200万近くは使いました。ほかの高額なスピリチュアルビジネスに比べるとかわいいレベルの損失と思われそうだけど、金銭面で多くを奪っていかないことに対する安心感から、メンタルを明け渡してしまうというデメリットがあるように思える。

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