女神を自称するスピリチュアル教祖様に傾倒し、そして失望した一部始終

文=山田ノジル
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――おふたりとも今はファンをやめたとのことですが、そのきっかけは?

メイ:私は、ヒカル先生が出産し、お子さんを商品にしはじめたことが決定打でした。以前は、自分は波長が高すぎてこの俗世に順応できなくて「子どもを産めない設定」だと発信していたんですよね。でもそれを乗り越えて出産したことは、心からおめでとうって思ってた。ところが、出産後「神の子を産みました☆彡」と言い出したのでドン引きです。しばらく活動中止していたので「おかえりイベント」が開催されたけど、それもすごかったですよ。

ハナ:私と一緒に行ったやつだ。自分の子どもについてひたすら語り、「●ちゃんは、頭から金粉を出すの!」「●ちゃんは地球の救世主のうちの一人なの!」「神の子とか言うと、この地球では、すぐに自慢! と嫉妬されるの!」と……。ふたりで顔を見合わせてしまいましたね。だから、冷めたタイミングはハナさんと同じかな。急におかしな人に思えてきてしまって。

メイ:スピリチュアル界では、胎内記憶なんか、すごく子どもを商品として使いますよね。『かみさまは小学5年生』のすみれちゃんとか。ああいった普通の子どもを大人の都合で「神さま」としてビジネスのレールに載せるのは、私個人の意見だけど、虐待にあたるのではと思ってるんです。特にヒカル先生は産まれる前から神様設定を発信してそのレールを準備して、子供を自分のファンクラブのマスコット的な存在にしている。大人になってから、お子さんが心のバランスを崩さないか、老婆心ながら心配になります。ヒカル先生は高齢出産の初産なんですが、条件的に受け入れてもらうのがむずかしそうな「自然なお産」を金科玉条とする有名医院で出産したことを著書でも公言しています。かなり頼み込んで受け入れてもらったという話だけど、あれって後にファンや自然派ママから見て、箔が付くことをわかっていたからじゃないかな? 

ハナ:お産も子供も、どこまでも自己実現の道具にしている感じだよね。私が一番嫌悪感を抱いたポイントは、ヒカル先生が不妊治療などで授かった赤ちゃんを「肉の子」とネーミングしたこと。あれはさすがに酷くて、決定的な分岐点となりました。ちなみにヒカル先生やファンの子どもは「神の子」なんですって。あと獣の子、悪魔の子ってのもあったかな。優生学にも結びつきかねない発言です。腹が立って仕方ありません。ヒカル先生はこのような意見が出ると「私の発言を歪んで理解している」と詭弁で済ますことが多かったけど、いくらなんでもこの発言は重すぎるでしょ。ちなみにこういった炎上するような発言は、ブログもファンクラブの書き込みも、全ての発信をすごくこまめに消しています。絶対にアーカイブを残さないのは、抜かりない。

メイ:今回、この企画で当時を振り返るためにすごく久々にサイトやTwitterを見たら、反ワクチンやパンデミックにすら懐疑的なゴリゴリの「Jアノン」になってたよ。最近はイベントの開催がむずかしくなってるからか、ラジオ配信しているようなんだけど、配信中に何度も音声が途切れた原因について「やっぱり邪魔が入った! 大切なところで邪魔が入る!」と騒いでいて、ご本人もファンも相変わらずな様子でした。いまだに闇の勢力につけ狙われているんだね、きっと(笑)。荒唐無稽な世界感が、年々ディープになっていくけれど、どこまでもついていかれるファンはすごいなあ。私がファンやめした理由は、中年になって自分のダメな部分も見逃せるようになったからかも。もともと自己肯定感が低いので強くて女王様っぽい人になびいてしまったけれど、歳をとるとその自己肯定感の低さをなんとかしようと思わなくなるというか。

ハナ:私の場合は、信じてお金も時間も使ったぶん、それなりのリターンを得たいと思ってもがいていたので、きれいさっぱりお別れというふうにはならなかった。沼から抜けたつもりでも、つい気になって2年間くらいはチラチラサイトを覗いたりしていた。その未練が意地汚く思えて、自己嫌悪になったり……。最近は自分が望めば、エセスピやトンデモを牽制してくれる情報をSNSで得られるのが、本当にいいことだと思う。そこで他者の体験や意見を耳にすることで、呪縛がちょっとづつ解けていって、今こうやってネタとして笑って話せるようになったかなと思っていて。

メイ:ハナさんも私も、ヒカル先生の体験を経て、霊的な話やスピリチュアル全般を嫌悪しているかと言えば、そんなことはないんですよね。変わらずそういう世界が好きだし、エンタメとして楽しんでいます。でも、特定の発信者に入れ込むことは、この先もうないと思います。霊能力のある知人の話を興味津々で聞くこともありますが、小一時間もすれば忘れてしまう(笑)。今の自分には、そのくらいの楽しみ方がいいと思っています。

ハナ:あらためて振り返ると、スピ教祖様は課金して「繋がっている」ときはリップサービスで気まぐれにやさしさをおすそ分けしてくれるけど、本当に窮地に陥っても、一切助けてくれません。今はコロナ禍で出口の見えない不安から、スピリチュアルやトンデモに手を伸ばす人が多く見られます。会員制の閉鎖空間では、エコーチェンバーもより強固になりやすい。そういったシステムを見抜いたり抜け出そうとしたりするときに、私の話した体験が、小さな布石になるといいなと。それが今回この取材をお受けした理由です。

メイ:こうした沼って、表向きは「女性たちを応援」とか「女性や子どもをサポートしたい」と爽やかで明るいけれど、内部に濃く関わるとコンスピリチュアリティ※※の巣窟。子どもまでを救世主に担ぎあげ、教祖ポジションに執着する姿には、本人も引っ込みがつかなくなっているのかなとも感じます。コンスピリチュアリティは、信者も教祖も両方を幸せにできないのではないか? 遠くから界隈を眺る今、そう思えてなりません。

※※コンスピリチュアリティ=陰謀論(コンスピラシー・セオリー、Conspiracy Theory)とスピリチュアリティ(Spirituality)を組み合わせた言葉。

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 当時の出来事から自己分析まで、大変意義のある体験談をありがとうございました。今回お話くださったメイさん&ハナさんは、「ヒカル先生」という華やかなスピリチュアル有名人にハマりましたが、商売の手口や説得力を盛るための物語は、多くのスピビジネスに共通するものばかり。そして、それにハマってしまう心理も。メイさんとハナさんのリアルな体験談、身に覚えのある人もいるのではないでしょうか? 似たような体験をした方は、出来事を自分の中で整理するきっかけに。こういった世界に魅力を感じている人は、そこが健全な場かどうかの見極めに。メイさん&ハナさんの体験が、参考になるかもしれません。

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