宋美玄先生に聞く「いつかは子どもがほしい! 妊娠前にしておいたほうがいいことは?」

文=宋美玄
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Gettyimagesより

産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A

Q.いつかは子どもがほしい! 妊娠前にしておいたほうがいいことは?

A.健康診断、婦人科検診、ワクチン接種で健康を維持しておくことです

 そのうちに子どもを産みたいと思っていても、パートナーとの話し合いが必要だったり、気持ち的になかなか踏み切れなかったり、仕事が忙しかったりして「いつかは……」と躊躇してしまう女性も多いでしょう。でも、いざ妊娠を希望したとき、または妊娠したときに問題があると大変ですね。ですから、やっておいたほうがいいことをお伝えしておきます。

1.健康診断

 まずは、年に一度は健康診断を受けておきましょう。妊娠を希望していてもしていなくても大事なことですが、ご自身の身体の状態を把握し、病気が見つかった場合は早めに治療しましょう。例えば、特に高齢出産の場合、妊娠時に初めて糖尿病だとわかるケースがありますが、あらかじめ血糖値をコントロールしてから妊娠したほうが様々なリスクを回避できます。

2.婦人科検診(がん検診)

 年に一度は婦人科検診とがん検診も受けておいてください。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が見つかり、治療が必要な場合もあります。また、とても悲しいことですが、妊娠してから子宮頸がんが見つかり、赤ちゃんを諦めて治療をしなくてはいけない場合があります。子宮頸がんは若い女性にとても多く、日本では年間1万人以上が新たに発症し、約2800人が死亡していますが、検診で見つけることが可能です。すぐに妊娠を希望しない場合は、ピルやミレーナなどを使って月経をとめておくのもいいですね。かかりつけの婦人科ができ、定期検診を受けやすくなるのもメリットになります。

3.ワクチン接種

 もうひとつ大事なのが、ワクチンです。前述の子宮頸がんは、HPVワクチンによって防ぐことができる病気です。HPVワクチンは、性交渉前の10代でないと意味がないと誤解されていますが、感染していないことを確認したうえで性的に活発な20〜30代が接種しても、その後の感染を防ぐことができるのです。そのほか、妊娠中に感染症にかかると、流産や早産、赤ちゃんに障害が起こるなどのリスクがあるので、麻疹・風疹、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふく風邪)の抗体価を確認し、低い場合はワクチンを接種しておくと安心です。産婦人科や内科などで相談してみてください。

 このほかは普通の生活で大丈夫。さまざまなメディアで「妊娠力をアップする方法」なるものを紹介していることがありますが、妊娠する確率は年齢を重ねるにつれて下がっていくもの。妊娠力をアップさせることは不可能です。ただし、いつか妊娠するためにできることがあるとしたら、あとはタバコを吸わないこと、体重を激しく増減させないこと、ストレスをためすぎないことくらいです。 

<今回のポイント>

○年に一度は健康診断を受けて
○年に一度は婦人科検診を受けて
○必要なワクチンを接種しておこう

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