宋美玄先生に聞く「妊婦健診を受けずに出産すると危険だと言われるのは、どうして?」

文=宋美玄
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Gettyimagesより

産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A

Q.妊婦健診を受けずに出産すると危険だと言われるのは、どうして?

A.母子に病気がないか、 妊娠経過が順調かなどの確認ができないからです。

 少し前に妊婦健診を受けずに出産した方が話題になりました。でも、妊婦健診は、お母さんと赤ちゃんの健康や命を守るために、とても大切なもの。必ず受けてほしいと思います。その主な目的は以下の通りです。

 まず、お母さんに何らかの持病がないか、感染症がないかを定期的に確認します。持病や感染症が見つかれば治療を行ったりすることで、なるべく赤ちゃんに影響しないようにします。例えば、HIVは母子感染しますが、事前にわかっていれば、赤ちゃんが感染しないよう対策をとることができるのです。また、お母さんに高血圧や糖尿病などがある場合、それぞれ妊娠高血圧や妊娠糖尿病によって母子ともに危険があるため治療が必要です。

 また、赤ちゃんに何らかの障害や病気がないかどうかも、エコーなどで確認します。病気が見つかった場合は、事前にできることがあれば行い、また出産後すぐに対処できるよう準備することができます。

 そして、妊娠の経過に問題がないかどうかも重要なポイントです。子宮内に妊娠しているかどうか、胎盤の位置が正しいかどうか(子宮口をふさぐ前置胎盤でないか)、赤ちゃんの頭は下になるかどうか(逆子でないかどうか)など、異常がないかどうかを定期的に確認する必要があります。

 こうして妊婦健診を行っておけば、母子両方の安全を守ることができ、なるべく正産期(妊娠10カ月の37週0日以降)まで赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいられるよう工夫することができます。

 なぜできるだけ長くお腹にいてほしいかというと、正産期になってはじめて赤ちゃんは全身の器官がしっかり成熟し、体重も増え、外界で生きていくための準備が整うからです。それよりも早く生まれれば、それだけ低出生体重児(2,500g未満)になることが多く、様々な障害を持ったり、死産になったりするリスクが増えてしまいます。また、将来的にも生活習慣病になる確率が上がってしまうこともわかっているのです。

 健康や安全は、当たり前ではありません。未受診で出産しても無事だった人もいるでしょう。でも、未受診で出産するとなると、母子ともに何らかの病気があってもわからないため対策がとれないうえ、場合によっては命を失うこともあります。また、その出産を手助けする医療者も感染などのリスクを負うことになるのです。ですから、赤ちゃんとご自身、医療者の命を守るためにも妊婦健診は必ず受けてくださいね。

<今回のポイント>

○   妊婦健診は母子の安全のために必須
○   病気が見つかれば対策を取れることが多い
○   未受診だと医療者にも大きなリスクがある

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