新型コロナウイルス感染前に知っておきたい「お金」の話

文=川部紀子
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 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がおさまりません。身近な人が感染したという話を以前に比べてよく聞くようになったのではないでしょうか? 

 自分もいずれ感染するかもしれない。あるいは濃厚接触者に該当して自宅待機をしなければいけない……といった事態に陥る可能性は誰もがあります。そんなときのために、治療や療養にはどのくらいのお金がかかるのか、手助けしてくれる仕組みはあるのかを知っておく必要があるでしょう。今回は新型コロナウイルスに関係する「お金」の話をしたいと思います。

治療にかかるお金

 新型コロナウイルス感染症に罹った場合、通常の病気との大きな違いは「保健所」の介入があることです。これは、政府として法律で決めています。

 この場合の医療費ですが、入院中、ホテル・自宅療養を問わず原則公費で支払われます(一定基準の高所得世帯では月額2万円までの負担があります)。つまり基本的に治療にかかるお金はありません。

治療中の食事にかかるお金

 食事については、入院中は医療機関で作っているもの、ホテルではパンや弁当、自宅にはレトルト食品などの給食が多いようです。これらの配食されるものにはお金がかかりません。

 ただし、自宅療養で家族も外出できない状況だとしても、陽性者以外の分は配食されません。

治療以外にかかるお金

 入院、ホテルともにパジャマ、寝具、シャンプーや石鹸などのアメニティは自己負担です。また、個人の希望で個室に入院する場合などの「差額ベッド代」も自己負担です。

 新型コロナウイルス感染症の検査は自主的に行った場合、有料です。

民間の生命保険の医療保険の対象に

 現在、入院、ホテル・自宅療養を問わず、新型コロナウイルス感染症療養の要件を満たせば、民間生命保険会社の医療保険給付が行われています。請求漏れのないように、自身で契約したものはもちろん、親が契約していたものなども確認しましょう。複数契約していた場合は全ての給付金が支払われる可能性があります。

給料は出るのか

 労働法では「ノーワーク・ノーペイの原則」があるので、療養のためであっても、会社のためを考えた自主隔離であっても会社は給料を払う義務はありません。

給料代わりの「傷病手当金」の対象は?

 陽性と判明した場合は、入院、ホテル・自宅療養を問わず、また、無症状であっても「傷病手当金」(健康保険法によるもの)の対象となります。

 3日以上連続で仕事ができなかった場合、4日目からが対象で、該当日には給料(日給)の約3分の2を受け取れます。給料の約3分の2とはいえ、最長約1年半後までもらえる点は会社員の特権でしょう。

 なお、給料を一部または全部支給するという会社の場合、傷病手当金が少なくなったり、支給されないこととなります。

 濃厚接触者となった場合、家族が陽性の場合などあっても、陽性が確認されない場合は対象外です。

 感染が「業務上」であると認定されれば、傷病手当金ではなく、休業補償給付と休業特別支援金(労災保険法によるもの)の対象となります。この場合、給料(日給)の約8割です。

 いずれも、会社経由で手続きを進めます。また、計算の元となる給料(日給)の根拠は複雑で健康保険法と労災保険法で異なるため上の数字はおおよそのものと考えておきましょう。

給料代わりの「休業手当」の対象は?

 体調不良、濃厚接触者に該当、家族が陽性などの場合で、会社の判断やルールにより休業させされる場合は、「休業手当」(労働基準法)を受け取れるでしょう。平均賃金の6割が義務となっています。

 しかし、会社と何のやり取りもなく、さらに濃厚接触者となった証拠もなく自身の判断で休んだ場合は休業手当の対象とならない可能性が高いので注意しましょう。その場合、有給休暇を使う、有給休暇の残日数がなければ無給と考えておくべきです。

 会社の指示か自分の判断かによって大きな違いがあります。

まとめ

 陽性となった場合、治療面、会社員の収入面はおのずと決まります。でも、他の病気と違い新型コロナウイルス感染症は、濃厚接触者となった、同居する人や家族が陽性となった、検査はせずとも体調が悪いなど、自身の陽性が判明していない状態で出勤や外出が難しくなる可能性が大いに考えられます。今回お伝えした考え方の基本には目を通しておきましょう。もしもの時に役に立つはずです。

お知らせ

 筆者の新刊『得する会社員 損する会社員 手取りを活かすお金の超基本』(中公新書ラクレ)が刊行されました。

 

 

 今回お伝えしたこと以外にも「学校で教えてほしかったお金の知識」が山ほど存在します。主に会社員向けのお金の基礎を解説していますので、併せてお読みいただけると幸いです。

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