性暴力被害への無知と偏見がセカンドレイプを生む 被害者のためにすべきこととは

文=雪代すみれ
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——最近は露骨なセカンドレイプは減ったように感じるのですが、今でも非難されたり責められたりする被害者はいるのでしょうか。

 確かに10年前、20年前と比べれば状況は改善されています。ですが、依然として様々な文脈で「自慢なの?」「モテるってことだよね」「ついていったあなたが悪い」などの二次被害を受けている人は多いです。

 大学で授業をしていると、学生たちから性暴力被害の実態や、どういった言動が傷つけるかを「知らなかった」と言われることは少なくありません。まだ世間一般に十分認知されているとは言えないでしょう。

「何かしてあげなきゃ」と背負う必要はない

——セカンドレイプをしてしまわないためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

 まず被害の実態を知っていただくことが重要です。性暴力被害はどのように起きて、どれくらい深刻なものなのか。イメージではなく、事実を知ってほしいです。

 また、もしもあなたの身近な人が、自分の被害について話そうとしているときは、まずは黙って耳を傾けていただければ、と思います。目の前に傷ついている人がいると、「何かしてあげたい」という気持ちから安易に励ましたりアドバイスをしたりしてしまいがちですが、結果的に被害者をより苦しめてしまいます。被害について相談することはとても勇気のいることなので、「話してくれて有難う」と傾聴し、そばにいるだけで十分に支えになることを覚えていてほしいです。

——確かに、「助けになりたい」という思いから、励ましたりアドバイスしてしまう人は少なくないのかもしれません。

 身体だけでなく、心の傷に対しても、専門家のケアや支援が大切です。被害者が一人で行動することが難しければ、一緒に精神科やカウンセリング、支援機関を探すのは有効だと思います。しかし、それでも相談に行くかはその人自身が決めることです。「何かしてあげなきゃ」と、相談された側が背負うのではなく、その人の意思を尊重していただければと思います。

 安易な励ましやアドバイスは、無力感の裏返しだと思うのですが、話を聴いたり、専門家を紹介することは十分に被害者の力になっています。

 性暴力に関しては、47都道府県にある「性暴力被害者ワンストップ支援センター」が専門の相談機関となっていますし、電話で話すことが難しければ、現在は内閣府の事業「Curetime」にてチャットで相談が可能です。

 残念ながら、まだ、精神科へのハードルは高い状況でしょうし、性暴力やトラウマを専門にしている専門家はあまり多くないので、自分に合う機関を探すことは大変ではあります。しかし、精神科やカウンセリングも、利用していただければと思っています。

~相談先~

■全国の性暴力被害者ワンストップ支援センター 全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」

発信地の最寄りのワンストップ支援センターに繋がります。
ワンストップ支援センターの受付時間や所在地などを確認したい場合は、内閣府ホームページ内の一覧を参考にしてください。

■性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103(ハートさん)」
発信地を管轄する都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口に繋がります。

■内閣府 性暴力に関するSNS相談支援促進調査研究事業「Curetime」
月・水・土曜日の17時から21時まで、年齢・性別・セクシュアリティを問わず、匿名でチャットで相談できます。こちらは日本語のほか、10カ国語に対応しています。

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